10月4日(金)公開の映画『蜜蜂と遠雷』のインスパイアード・アルバムが9月4日(水)に発売されることが決定した。
原作の繊細な“文章”による楽曲の表現に映像化不可能と言われていた原作を、日本最高峰のピアニストが、それぞれのキャラクターに沿った演奏で一音の妥協なく“音楽”を作り上げ映画化された本作。
松岡茉優演じる【栄伝亜夜】の演奏を担当するのは、感性豊かな音楽性と独創性で世界の数々の桧舞台で聴衆を魅了している実力派ソリストであり、昨今は後進の指導でもその多才ぶりを発揮する河村尚子。松坂桃李演じる【高島明石】には国内外のコンクールで活躍をみせ、2015年に行われたアイスショー「Fantasy on Ice」で羽生結弦と共演した実績を持つ福間洸太朗。
森崎ウィン演じる【マサル・カルロス・レヴィ・アナトール】には自身もマサル同様に海外で育ち、その才能を幼いころから発揮させ、2018年には国際NGO「難民を助ける会」の創立40周年チャリティーコンサートにて、皇后さまの前で演奏もした金子三勇士。そして鈴鹿央士演じる【風間塵】には弱冠18歳にして第27回クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝し「青年批評家賞」、「聴衆賞」、「現代曲賞」の特別賞を受賞。2019年6月に行われた第16回チャイコフスキー国際コンクール、ピアノ部門で第2位に輝いた藤田真央が参加。まさに映画史上最も贅沢な演奏陣が揃った。
今回発売となるインスパイアード・アルバムは、亜夜、明石、マサル、塵が劇中のコンクールで演奏する楽曲を収録した全4種類。それぞれのキャラクターに寄り添って奏でられる演奏の美しさに酔いしれること間違いなしの内容となっている。さらに、劇中で演奏されるコンクールの課題曲でオリジナルの楽曲である「春と修羅」もキャラクター別に収録されている。作曲を務めるのは国際的に評価の高い作曲家・藤倉大。藤倉は15歳で英国留学をし、現代音楽の作曲家としてロンドンを拠点に国際舞台で活躍している。
恩田陸(原作)コメント
この素晴らしい4枚のCDを作ってもらえただけでも映画化されてよかった!としみじみ思いました。映画では一部しか聴けない4人の演奏を、ぜひフルバージョンでお楽しみください。
河村尚子 コメント
この度は、このようなとても素敵で興味深い企画に参加することが出来て、大変光栄に思います。映画では、物語と演技と音楽がとても良い具合に調和され、3つの要素が交わることにより、より一層高揚していることに感銘を受けました。この映画のために藤倉大さんが手掛けられた「春と修羅」ですが、つい1週間前に作られた新作が、私自身の手によって、楽譜に書かれたおたまじゃくしが、生きた音楽になっていく過程が大変新鮮で、わくわくしました。
福間洸太朗 コメント
小説を読んだ時に、私は高島明石の音楽にかける想いや真摯な姿勢に心打たれ、さまざまなことを考えさせられました。彼と私は境遇がかなり違いますが、私なりに想像をめぐらし、家庭を持つ社会人として、コンクールに挑戦する明石の音を追求してみました。特に「春と修羅」では、カデンツァのメロディのヒントをくれた妻子に対する、明石の“無条件の愛”を意識しました。聴く人へ勇気と癒しを与えることが、明石と私の願いです。
金子三勇士 コメント
国際コンクールの本選には、まず選ばない難曲をあえてぶつけてきたマサル。彼に同化して弾いたプロコフィエフの協奏曲がどのような映像作品に昇華したのか、一番楽しみにしている一人です。
藤田真央 コメント
モスクワとは思えない強い日差しの中、滝のように汗を流しながらピアノを弾き、時おり聴こえてくる鳥の声にホッとし、壁にかかった作曲家の肖像画に語りかける……。
コンクール期間中、音楽院の練習室で過ごした日々を忘れることはできません。と同時に、練習室を一歩出ると、コンテスタントの友人とピアノや音響のことを話して励まし合い、見ず知らずの方に「昨日聴いたよ!次もがんばってね」と声をかけられる……。そんな勇気づけられる日々でもありました。いつもどおりに過ごそうと思いつつも、緊張しながら本番を迎えるのですが、舞台袖から一歩ステージに踏み出すと、早く弾きたい気持ちでいっぱいになります。ステージのピアノが輝いていて、ピアノに吸い寄せられるように、椅子に座って……。
「蜜蜂と遠雷」のような日々を過ごした今、あらためて映画になった“風間塵くん”のピアノ演奏を担当させていただいたことに、不思議な縁を感じています。そして僕も、“音楽の神様”に愛されるピアニストであり続けたいです。
映画『蜜蜂と遠雷』は10月4日(金)公開
(C)2019 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会