山田洋次監督の最新作『母と暮せば』の音楽を坂本龍一が手掛け、9月14日に、レコーディングが行われた。山田洋次監督とは今回が初タッグで、昨年より療養中だった坂本龍一にとって今作が復帰第一作となる。
東京フィルハーモニー交響楽団演奏による坂本龍一の音楽は、本作をより感動へと導くあたたかなものとなった。坂本氏が、「今の日本で山田洋次さんと吉永小百合さんに何かをお願いされて断る勇気のある人はいないでしょう(笑)。光栄です」と語ると、オーケストラはあたたかい笑いに包まれた。
映画『母と暮せば』は、作家・井上ひさしが、広島を舞台に描いた『父と暮せば』と対になる作品を長崎を舞台につくりたいと発言していたことを、井上さんの三女・麻矢さんを通じて知った山田監督が、終戦70年となる今年、その井上さんの想いに捧げ映画化したもの。母・伸子役に吉永小百合、息子の浩二役に二宮和也、浩二の恋人・町子役に黒木華という素晴らしいキャスティングが実現。
物語は、1948年8月9日、長崎で助産婦として暮らす母のもとへ、3年前に原爆で亡くしたはずの息子がひょっこり現れる。楽しかった思い出話や、残していった恋人の話をして過ごす二人の日々を描いた、山田監督が初めてつくる、やさしく泣けるファンタジー。
音楽の収録会場には山田監督も訪れ、レコーディング前のオーケストラに向けて、「この映画の音楽はどうしても坂本龍一さんにお願いしたかった」「長崎、広島の原爆の犠牲者を含めて戦争の犠牲者への鎮魂の思いをこめて、そんな気持ちでどうぞみなさん演奏なさってください。」と、作品や音楽へ込めた熱い想いを語っていた。
12月12日(土)全国ロードショー
配給/松竹株式会社
(C)2015「母と暮せば」製作委員会