第29回東京国際映画祭コンペティション部門でアジアン・プレミア上映され、審査員特別賞、主演のレーネ＝セシリア・スパルロクが最優秀女優賞を受賞したアマンダ・ケンネル監督作『サーミ・ブラッド（原題）』の日本公開が決定した。
ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの北部に存在する少数民族で、差別的な扱いを受けてきたサーミ人の少女のアイデンティティを描いた本作。主役の少女を演じたレーネ＝セシリア・スパルロク自身は純粋な南サーミ人で、普段はトナカイの世話をしながら暮らしているという。
1930年代、スウェーデン北部の山間部で暮らすサーミ人は、劣等民族とみなされ差別的な扱いを受けていた。中学生のエレ・マリャは成績も良く、街の高校に進学したかったが、先生にサーミ人には進学する資格がないと言われる。民族衣装を着ることを押し付けられ、見世物のようにテントで暮らすことを強いられる生活からなんとか脱したいと思っていたエレは、村の夏祭りのダンス大会で出会ったスウェーデン人の少年ニコラスと束の間の恋に落ちる。そのニコラスを頼ってエレは家出をするのだった。
ケンネル監督自身が、サーミ人の父とスウェーデン人の母の間に生まれたダブルで、祖母のルーツをテーマとする初長編作となる本作を撮った。ケンネル監督は「支配階級と劣等民族の構図はまだ存在します。映画はスウェーデン史の暗部を描いていますが、でも基本的には、同様なことが現在でも難民キャンプで暮らす誰かに起こりうるのです」と語っている。
映画『サーミ・ブラッド（原題）』公開日は未定
【CREDIT】
監督：アマンダ・ケンネル／撮影監督：ソフィーア・オルソン、ペトルゥス・シェーヴィーク
出演：レーネ＝セシリア・スパルロク／ミーア＝エリーカ・スパルロク／マイ＝ドリス・リンピ／ユリウス・フレイシャンデル／オッレ・サッリ／ハンナ・アーストロム／マーリン・クレーピン／アンドレアス・クンドレル／イルヴァ・グスタフソン
