ラブストーリーに夢を見られなくなった大人の女性たちに「究極の愛とは何か」と突きつけ、読者を虜にした沼田まほかるの20万部を超えるミステリー小説「彼女がその名を知らない鳥たち」の映画化が決定。蒼井優、阿部サダヲが主演を務めることがわかった。
蒼井が演じるのは、クレーマーで自分勝手、陣冶の稼ぎで働きもせずぼんやりとだらだら過ごしているにも関わらず、彼を嫌悪しなじり、他の男と関係をもつ女・十和子。一方の阿部が扮するのは、不潔でちんけで下品で卑屈で下劣、「十和子が幸せならそれでいい」と言いながら、毎日何度も電話をし、実は彼女を尾行していたりと、十和子に異様な執着を見せる陣治。監督は『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』などで知られ、ノンフィクションを原作に骨太な社会派エンターテイメントを作り出してきた白石和彌が務め、本格的な大人のラブストーリーに初めて挑む。
蒼井優 コメント
十和子という人は、自分に対する諦めができない人。かといって何か行動を起こすわけでもない、甘ったれた女性。共感は全くできない役だったけれど、ご覧になる方に自ら嫌われる勇気をどこまで持てるのか、試したいと思いました。そして白石監督であること、阿部さんとも(同じ作品に出演したことはあったけど)共演は初めてなのでご一緒してみたかったです。演じる上での不安もありましたが、白石監督と初めてお会いした時に、「最低なヒロインですね」と私が言ったら、「そうなんです、最低なんです。1ミリもいいところがない。それでも魅力的な女性なんです」とおっしゃってて。その言葉で、脚本通りにできればいいと思えました。
阿部サダヲ コメント
食べ方が汚いとか、たんが絡んだ咳をするとか、とにかく汚い男に見せるために、監督と色々相談しました。現場ではスタッフの方達とも楽しみながら、汚い男を追及しました。蒼井さんとの共演はほぼ初めてなのですが、今乗ってる女優さんと言ったらこの人!って必ず名前が上がる方だし、最近は迫力も出てますよね。実際すっごい迫力ありました(笑)一緒にお芝居していて楽しかったです。
沼田まほかる(原作者) コメント
小説執筆時の苦しい心境がよみがえる気がして、脚本を読むまでに時間がかかりましたが、読み始めたら、たちまち引き込まれてしまいました。たいへんな力作で、ラストあたりで思わず落涙。原作をよくここまで読み込んでいただいたものと感謝でいっぱいです。役者さんも演技力のある方ばかりなので、これはきっと素晴らしい映画ができることと信じております。
白石和彌監督 コメント
原作を読んで、雷に打たれたように十和子と陣治の物語に心を奪われました。誰であれ到底たどり着くことが出来ない究極の愛を僕自身がスクリーンでどうしても見たくなり映画化を決意しました。蒼井さんは予てから仕事をしたいと思っておりましたが、この最低な役をよくぞ引き受けてくれたと今でも信じられません。作中では今までに見たことのない様々な表情を見せてくれました。とんでもなく凄まじい女優です。阿部さんもイメージとは真逆な役でしたが、阿部さんの中の汚れた部分を全て出し切ってくれました。それでいて人間的な懐の深さや誠実さが、陣治という役を想像以上に大きく厚くしてくれました。登場人物のほとんどがクズばかりですが、見る人をとんでもないところへ連れていってくれる映画であると仕上げ作業の大詰めを迎えて確信しています。楽しみにお待ち下さい。
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』は今秋、全国公開
【CREDIT】
原作:『彼女がその名を知らない鳥たち』沼田まほかる著(幻冬舎文庫・刊)
主演:蒼井優 阿部サダヲ
監督:白石和彌
制作:C&I 配給:クロックワークス
(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会