芥川賞受賞作家・中村文則の原作『悪と仮面のルール』を玉木宏主演で映画化されることが発表された。
原作者の中村文則は、2005年に「土の中の子供」で芥川賞を受賞して以来、その評価は国内に止まらず「The Wall Street Journal」で[年間ベスト10ミステリー]に2012年、2013年と連続で選出。2014年には、ノワール文学(=犯罪や暴力を主題に据えた小説)への貢献を讃えるアメリカの文学賞「デイヴィッド・グディス賞」を日本人として初めて受賞、世界的にも注目されている日本人作家だ。
本作は、“純粋悪”になることを望まれて生まれた、ある財閥家の男・久喜文宏を主人公にした物語。狂気にして巨悪、当主である実父に「お前に地獄を見せる」と告げられる。想いを寄せ合う相⼿、久喜家の養女・香織が父の手によって汚されようとしている現場を目撃した文宏は、⾹織を守るために父親を殺害する。奇しくもそれは、父が望んだ悪に近づくことでもあった。次第に望まない父に似ていく自分に気付き、おびえる香織のもとから離れた文宏は、顔を捨てて別⼈・新⾕に成りすまし、彼⼥を影から見守り続け、再度罪を犯すことを決意を固めていく。
愛がありながらも“純粋悪”に満ちてしまう主人公・久喜文宏を玉木宏が演じる。監督を中村哲平が務める。
玉木宏 コメント
──本作品のオファーがあった時の第一印象
中村文則さんの持ち味である、深く深く出口のない溝に落ちていくようなスケールの大きい作品を映像化するというのはチャレンジングだと感じました。
──主人公はすべてを秘めて押し殺した役柄ですが、演じてみてのご感想や、演じる際に意識したことなど
非常にデリケートで難しい役柄だと感じました。結論から言うと、文宏は整形をして他人の顔を手に入れ、覚悟を決めて進もうとするが、人の内面は整形出来ない。悪に対して理性があるが故の脆さを大切に演じたいと思いながら、この作品と文宏という役に向き合いました。
──出来上がる作品への期待
特異な作品だからこそ、「善悪」「真の愛」「家族」「友人」の事を、改めて見つめ直すきっかけになるのではないかと思います。
中村哲平監督 コメント
中村文則先生の描く世界を映像化することは、プレッシャーと共に大きな喜びでした。
闇の中に一筋だけ感じる温かな光。
作品は重くて、苦しくて、ズシリと心に来るけれど、
それを乗り越えた先には、純粋な愛が感じられる。
玉木宏さんを筆頭に、魅力的なキャスト、優秀なクルーが集結し、素晴らしい作品になりました。
先生の表現する光や空間や熱、繊細に描かれた人物にストーリー、そして心に響く言葉たち。
その全てを大切に、この映画の中に込めました。
中村文則 コメント
素晴らしい役者の方々に演じていただけて光栄です。
現場にお邪魔して、とても面白くなると肌で感じました。大変楽しみにしています。
中村文則
映画『悪と仮面のルール』は2018年公開
【CREDIT】
出演:玉木宏 ほか
監督:中村哲平
原作:中村文則『悪と仮面のルール』(講談社文庫)
(C)中村文則/講談社 (C)2017「悪と仮面のルール」製作委員会