『沈黙の艦隊』ユースケ・サンタマリア インタビュー ソナーマンは潜水艦の目

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ユースケ・サンタマリア

「SUPPORT EIGA PEOPLE ON THE LAND.〜映画に関わるすべての人々をサポートする〜」をビジョンとして掲げる映画ランド。そんな弊社が、映画界で活躍する監督・スタッフ・役者にお話を伺う。

かつて各方面で論争を呼び社会現象となった、かわぐちかいじの大ヒットコミック『沈黙の艦隊』が映画化され、9月29日(金)より公開される。本作で海自一のソナーマンを演じるのは、近年は『あゝ、荒野』、『アキラとあきら』など数々の映画に出演し、来年のNHK大河ドラマ『光る君へ』への出演が発表されるなど、円熟味が増すユースケ・サンタマリア。そんな彼に今作についてお話を伺った。

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ユースケ・サンタマリア
YUSUKE SANTAMARIA

1971年生まれ、大分県出身。
ラテンロックバンド・BINGO BONGOのボーカル&MCとしてデビュー。バンド解散後はタレント、俳優、司会者として、数多くの番組に出演。近年の出演作に、映画『アキラとあきら』、ドラマ『パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜』『THE MYSTERY DAY』、配信ドラマ『モダンラブ・東京〜さまざまな愛の形〜』、舞台作品に『音楽劇 海王星』、ミュージカル『おとこたち』『OUT OF ORDER』など。『ナゼそこ?』にMCとして出演中。2024年放送予定の大河ドラマ『光る君へ』では陰陽師 安倍晴明を演じる。

 

ソナーマンとは

――今作で演じられた南波栄一(なんばえいいち)という役について教えてください

ユースケ・サンタマリア(以下、ユースケ):海自(海上自衛隊)一のソナーマンで、原作の漫画でも結構人気のあるキャラクターなのかな?緊張感が98%ぐらいを占めているような作品なんだけど、その2%みたいな、ちょっとふわっとさせるところを担っているキャラクターで、経験からくる余裕のある発言であったり、緊張感あるところにちょっと場を和ませる一言を言うことによって、いい状況を生み出すということは分かってる人だと思うんです。

僕が乗っている「たつなみ」という潜水艦は、ちょっと熱い艦長と、その艦長が大好きなみんなが集まっていて、他の潜水艦にはないファミリー感がある。その辺は、やり過ぎないということをテーマに、ちょこちょこアイデアを出させてもらいました。監督は何でも僕がやることをOKしてくれるので、「この人、考えが読めない…」ってだんだん怖くなってきたんですが(笑)。実際は監督もそれが必要だと思っていたみたいで、本編を観たらすみませんって感じでした(笑)。監督は分かった上でそれにOKしてくれてたし、僕もちゃんと理解した上でそれを言ってたつもりなので、それがすごくうまくハマった感じ。

――具体的にはソナーマンとはどんな仕事でしょうか?

ユースケ潜水艦の目ですよ。ソナーマンがいないと何もわかんない。潜水艦は、車や飛行機みたいに前が窓になっててそこが見えているという状況じゃない。完全に密閉された潜水艦で、周りにいったい何があるのかを耳で探知する人間なんですよ。ソナーマンがいないと、潜水艦は海の中を走ることはできない。これは僕がいないとどうにもならないとても大事な役なんだと思いました。

潜水艦がメインの映画は、憧れの一つというか。狭そうだけれどやってみたいなと思っていましたが、なかなかそういう話はなくて。今回、実際にやってみたら、想像以上にストレスフルでした(笑)。

潜水艦映画って撮影の仕方がすごく地味だなって思うんですよ。外でドッカンドッカンするのって全て別撮りで、役者が演技するのは狭い潜水艦内じゃないですか。今回セットが輪切りになっていたりは一切なかったんですよ。潜水艦の僕らがいるところの部分を全部作り、その中にカメラが入るもんだから、とても時間もかかるし、狭いところにカメラクルーがドンと入ってきて、照明さんもいるからさらに狭くなる。それを1月の結構寒いスタジオで撮影して。でもその閉塞感が絶対いい感じに映ると思っていました。

でも僕らがストレスを抱えているからと言って、その空間が怖いのかと言ったら怖くはないんですよ。昔番組で潜水艦に乗せてもらったことがあるんです。中に入ったらとにかく狭い、通路も狭い。ベッドは寝返りを打てないぐらいの3段ベッドですよ。目を覚まして目の前に壁があったら普通パニックになりますよね。「パニックになる人はいませんか?」と聞いたら、みんな試験をくぐり抜けて隊員になるわけで、そこでパニックになるような人は隊員になれないという話でした。そこも意識して、変に圧迫感があるという演技は一切せず、それが当たり前で、ここは自分の職場という感じでやりました。

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ユースケ・サンタマリア

――実際のソナーマンの方にお話は伺いましたか?

ユースケ聞きました。聞いたけれど、「今ので全然大丈夫です」と言って、特に何も指摘はありませんでした。「僕らもぼーっとしているときあります」とか聞きました。常に座っていて耳を澄まして聞いているというわけではなく、艦長からの司令があって、それに応じてやり始めるという。なのでソナーマンだからというのは、あんまり意識しなかったですね。

耳に神経を集中させるときって、人間、目をつぶったりするじゃないですか。それだとずーっと目をつぶった状態になるので、それもどうかなと思って。耳が頼りとはいえ、やっぱり目はぼんやり開いているんじゃないかなとか、そういうところを僕は少し意識したんですけど、本職の方は全部、今のでOKですみたいな感じで。あんな感じですって全然何も言われなくて逆に気を使いました。もっといろいろ言われてガチガチなものかと思ってたんですね。言うことを全部聞こうと思って現場に入ったし、ちゃんとしなきゃいけないし。でも思った以上に何にも言われなくて、見てないんじゃないかなって思うくらい(笑)。

――専門性があり分析能力があるところなど、「ネゴシエーター・真下正義」を思い出しましたが、そのあたりは演じていて懐かしい感覚などはありましたか?

ユースケ全然なかったし、その時は思い出しもしなかったんだけれど、そう言われたら確かにと思います。あれもやっぱり耳で、向こうの言ってくる内容や息遣いなんかを聞いていて。今はもっと技術が発達しているから色々出来ると思うけれど、ネゴシエーターやっていた時はストップウォッチを持って、全部自分の耳で判断するという。

今回は乗っている船がちょっと旧型だったんですよ。それが最新鋭の潜水艦(シーバット)を追いかける内容に後半はなっていくんだけれど、その時は結局、経験がものを言うんだろうなと思って。試写を観てびっくりしたんだけれど、「シーバット」のソナーマン、前原君もメガネかけとるんかいと(笑)。あえてソナーマン対決として、同じようなメガネキャラでぶつけたのかもしれない。最初は彼の方が有能に見えるんだけど、観ているとだんだん違ってきて。人としての余裕というか、キャリアは確実に南波の方が上って見えてくると良いですね(笑)。

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ユースケ・サンタマリア

玉木宏のセンス

――玉木さんとは以前ドラマで共演されていますが、今作でも共演されていかがでしたか?

ユースケ前回玉木くんと一緒になったのは、僕が一方的に彼を嫌っている設定だったんですよ。でも今作では100%信頼している、自分より歳は若いけれど実力を認めた艦長をやっている人。

今回は台本では専門用語ばっかり喋ることになっていて、「たつなみ」の他とは違う感じが出せないなと思っていたので、色々考えていたんですね。そしたら玉木くんも同じことを考えていたみたいで。すごくしっくりくるいい感じのアイデアを、これどうですかねって監督と話していた。さすがだと思ったし、彼はしっかり本を読み込んでいて、かつ乗っけてくるアイデアがすごくセンスがいいと思いましたね。

流れを壊さずに、たった一言だけで人間関係が出る、そんな言葉のチョイスをしてくるし、役者として力のある人だと今回改めて思いました。だからやっていて頼もしかったし、「たつなみ」の一番トップの人で、彼が司令を出してそれを僕らが信頼して指示を聞く、それが自然とできた。いつもニコニコしてて、玉木くんがイラついてるのを見たことない。彼はメインで出ることも多いし、スケジュール的にも結構大変なんですよ。でもいつも和やかにいるなと思って。「玉木くんキレないね」って言ったら、「僕は絶対にキレません。売られた喧嘩を買うだけです」って言ってました(笑)。喧嘩売ったら絶対やべぇなって思いました(笑)。

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ユースケ・サンタマリア

僕らの話をこれでもかと聞いてくれる

――吉野監督の作品に出演されていかがでしたか?

ユースケ:監督とは今回が初めてで、仙人みたいな、バックパッカーみたいな、着てる服の色味も黄緑やオレンジで、髪も長いのを上で結んでて、ずっとインドに行ってる人みたいな風貌なんですよ。最初はどんな人なんだろうと思っていたら、ものすごくソフトで。相談したりすると、まずはニヤッとするところから始まるんですよ。

そのニヤっとするのが、僕の不安を煽っていたんですが(笑)それが彼の優しい人間性というか。声も荒げないし、撮影するのが楽しくて仕方がない人。本当に映画が好きというか、映像が好きというか。だからこの人に任せられると思いましたね。やっぱりキモは、海中で起こる潜水艦対決や、潜水艦がどう映像に映るんだとか、そういうところだと思うんですが、人間を撮るのもすごく上手な方ですね。

僕らをまず不快にさせないし、僕らの話をこれでもかと聞いてくれる。吉野監督は楽しんでるんですよね。今回出来上がりを観て、本当に信頼に足る人だと思いました。潜水艦モノをこういう感じのテンポ感で仕上げていてなんかスタイリッシュだなと。潜水艦モノってもっと泥臭いというか、汗かいてて、じとーっとした心理線みたいなイメージだったけど、それをさらりとやってるんですよね。そこがとてもいいなと。

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ユースケ・サンタマリア

――最後に記事を読んでいる方にメッセージをお願いします

ユースケいろんな人気のある漫画原作が実写化してますよね。その中でこの「沈黙の艦隊」の実写化は、ものすごい成功例だと僕は思っていて、出演できて光栄だったし、関われたことをすごく誇りに思います。もちろん人気のある作品にはファンがいて、実写化したら、思っていたのと違うという意見があると思うんだけれど、それを差し引いてもみんなが楽しめるエンタメになったというか、単純にめちゃくちゃ面白かったです。

漫画ファンの人たちのことをあんまり考えすぎると、腰の引けたものになるじゃないですか。こっちはこっちで「最高のエンタメを作るんだ!」みたいな気概でやってるつもりだけれど、正直気にならないといったら嘘になります。やっぱり漫画ファンの人たちにも楽しんでもらいたいし、そういう人たちの「良かった」という意見も聞きたいから。そういうのも全部まるっと含めて、今回すごくうまくいったって今は思っています。

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ユースケ・サンタマリア

(取材・写真:曽根真弘/ヘアメイク:池田真希/スタイリスト:藤本大輔)

沈黙の艦隊』は9月29日(金)全国東宝系にてロードショー

原作:かわぐちかいじ「沈黙の艦隊」(講談社「モーニング」)
監督:吉野耕平

出演:大沢たかお/玉木宏/上戸彩/ユースケ・サンタマリア/中村倫也/中村蒼/松岡広大/前原滉/水川あさみ/岡本多緒/手塚とおる/酒向芳/笹野高史/アレクス・ポーノヴィッチ/リック・アムスバリー/橋爪功/夏川結衣/江口洋介 ほか

配給:東宝

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公式サイト:https://silent-service.jp/
公式X(旧Twitter):@silent_KANTAI

 

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