『栞』三浦貴大×阿部進之介インタビュー|再共演を経て感じた“成長”と“信頼感”「芝居の基盤になっている」

映画『』三浦貴大×阿部進之介インタビュー

栞

監督を務める榊原有佑の実体験をもとに描かれた本作は、理学療法士という職業の人たちと患者との絆の物語。主演の三浦貴大をはじめ、阿部進之介、白石聖、池端レイナ、前原滉、池田香織、福本清三、鶴見辰吾らが出演する。

映画ランドNEWSでは、三浦貴大と阿部進之介の2人に、作品の魅力やお互いの印象、再共演を経て感じた“成長”について話を伺った。

──脚本を読んで、役を受けてどのようなことを感じましたか?

栞

三浦:はじめに脚本を読んだときは、いつも前情報無しで監督が誰かとか、どういう人かとか聞かずに読むんですけど、この脚本読んだ時は、この重いテーマを、死を扱ったテーマだけど、それを決してお涙頂戴の話では無いので、こういう話を、誰がどういう想いで書いたんだろう?ってすごく気になって。監督とお話をさせて頂いてから、監督の想いを聞きました。今回は役をやるってことはもちろんですけど、監督の想いをしっかり伝えられる映画にしたいなあと思いながら演じることに力を入れていましたね。

──監督は元理学療法士ということで、結構細かい部分までお話されたんですか?

三浦:そうですね。監督が想っていることとか、自分が理学療法士だった時に思っていたことを伝えたくて、映画監督になったという部分もありますという話だったので。僕がライフセービングとか、PTとはまた違うんですけど、精神保健福祉っていうものを勉強していたっていうのをインタビューで読んでくれていて。命と向き合う仕事をしていた人に、この役をやって欲しいと思ったと言われたので、これは是非、そういう想いのある作品だったらしっかりやりたいなと思って、受けましたね。

──阿部さんは役を受けて、はじめて脚本を読んでみていかがでしたか?

栞

阿部:孝志の役を演じてもらいたいって聞いて、本を読んで。やっぱり演じるのが難しい役だなって思いましたね。映画に関しては、さっき貴大もちょっと言ってたんですけど、人の命を描いて泣いてもらおうとか、そういう作品では無いなって思って。命について考えたり、人生における困難な状況になった時にどうやって生きて、どうやって向き合っていけばいいかってところを描いた映画だなって思えたので。それを押し付けるわけでもなかったですし。観ていただいたお客さんに、いろいろ考えていただける映画になるんじゃないかなって本を読んで思いましたし、あと、理学療法士の実情とか考えごととか知らなかったんですけど、読んでいてとてもリアルに感じられるところがあって。嘘無く、もしかしたら現実はもうちょっと辛いこともあるのかもしれないですけど、とても地に足をつけて演じていけるような作品になるなって本を読んで感じましたね。

──阿部さんはハートの部分もそうなんですけど、体の動かし方もすごいいろいろ見て演じていたのでは?と思ったのですが・・・

阿部:今回は理学療法士協会が全面バックアップしていただいたというところもありますし、理学療法士の方といろいろお話する部分もありましたし、トレーニングにお付き合い頂いて、トレーニングしながら、もともとラグビー選手ということもあって体を大きく作りたかったので、体の動かし方も相談に乗っていただいたりして。こういうシーンがあるんですけど、こういう場合はどういう風に動かすのが自然ですか?って聞いたりとか。どこまで動きますか?とか、細かく確認しました。でも、それを体現するのはすごく難しかったんですけれども、現場でも根気よく教えて頂いて。いろいろとご相談しながら。もちろん監督ももともと理学療法士ですし、信頼出来ましたね。患者の症状的な面を見る目も、すごく信頼がおけますし、ちゃんとわかってOKを出しているってわかりましたし。みなさんのサポートもありながらやれたので、なんとか。

──三浦さんから見て、阿部さんの体の動きとかどうでしたか?

栞

三浦:健常と呼ばれている人たちと、全く体の動かし方って違うと思うんですよ。逆に僕らが実現出来ない動きだったりもするので、その中で本当に細かく相談しながら動きを作っていってました。完璧には実現出来ない中でも、どうしたらそれが実現できるのかっていうところも、いろんな工夫をしながら阿部さんが演じているのを見て、僕もそれを介助していくっていう中で、こういう方に対してどう接していくのかっていうところも、いろいろ相談させてもらいながらやっていました。実際に観ていただいて、理学療法士をやっている方に違和感を持ってもらいたくないなという気持ちもあったので。

阿部:そこはたぶん2人で現場でやっていくっていく中で、全体的に空気が、理学療法士でもそうだし、たぶん患者としてもそうだし、出来るだけ嘘の無い世界を作るっていうことを意識しましたね。きっと理学療法士の方に見ていただく機会が多いと多いので。そこは共通認識として、僕は患者としている中で嘘が無いように。彼も理学療法士として嘘が無いようにというというところも、暗黙の了解で、どうしていこうかっていうのはありましたね。

──お2人が演じた高野と藤村の関係性もそうでしたけど、三浦さんと阿部さんが芝居をする中で気付いたものとか、感じたこととかありましたか?

栞

三浦:僕は今回阿部さんと共演できるのがすごく楽しみだったので、デビューして間もないころに一度阿部さんと共演していたので、それからずっと尊敬する役者さんだし・・・

阿部:もっともっと!(笑)。

三浦:(笑)。うーん、そうだなー(笑)。

阿部:(笑)。

三浦::本当に一番はじめに共演した時に、阿部さんに言われたこととか、実際に芝居をしている姿とか、ちょこっと芝居の合間に言ってたこととかが、すごく未だに心に残っていて。僕の芝居の基盤になっているような感じなので。また阿部さんとできるんだな、しかもガッツリ共演できるんだなっていうのが本当に楽しみで。本当に今回もすごく刺激的で。昔と変わらずかっこいいなっていうのももちろんあって。より進化してるやん・・・コワ!って思う部分もあったり(笑)。すげえ役者だなーっていうのを感じましたね(笑)。

──そんなお話を聞いて、阿部さんいかがですか?

阿部:ちゃんと、お金渡してるんで(笑)。

三浦:一媒体2000円で(笑)。

阿部:ちゃんと、わかってるな、うん。これで今日の彼の仕事は終わりなんで(笑)。

──(笑)。

阿部:いやー、でもそう言ってもらえるのは本当に嬉しいですね。こんなに影響を与えていたとは自分では自覚はないですし、でもその時共演していて、やれることをやっていく中で、共有したいなっていう想いがあったので。それで話すことも色々あったと思うんですけど。それがそこまで自分の役者の基盤になっていると言われると、逆にもっとちゃんとしないとなって思いますね(笑)。

三浦:いやいや、いいですそれ以上しっかりしないでください(笑)。

阿部:でもそれはすごく嬉しいなって思いますし、僕も共演していたときのことは色々覚えていて、今回一緒にできるってことは本当に嬉しかったですし、役を見ても彼が演じるのはとても合っているなって思ったので。すごい優しいし、人のことも気遣い出来る人間なんですけど、やっぱりどこかこう辛い面だったりとかを外に出さない人間だなっていうのを前回の時にも感じたので、今回の役はそこがとても大事な役だと思ったので。自分で抱えて、それを消化しきれずにどんどん抱えていって、そこで悩むっていう。その姿がすごくピッタリだと僕が感じたので、やっぱり貴大で間違いないなって思いました。それとは別に、今回はどういう姿で一緒にできるんだろうっていう楽しみもありましたし、前回はまだ貴大もそんなに作品出ていたわけではなかったので・・・

──何年目くらいの時だったのですか?

三浦:2年目・・・くらいですかね。

阿部:それでも堂々としたものだったけど(笑)。肝が座った部分とかあったりして、そこからまたどういう進化を遂げているのかっていう楽しみもすごくあって。僕も刺激を受ける部分もありますし、俺はこの年齢の時こんなに堂々としてなかったなーとか。役者をやる前の人生経験の厚みだったりすると思うんですけど、すごく尊敬している部分もあるので、一緒にやれるって聞いたときはすごく嬉しかったです。

──今回はベテランの方から若手まで幅広く集まった現場だなと感じたのですが、現場はどのような空気でしたか?

栞

阿部:ほぼ病院だったんですけど、穏やかな感じのところが多かった気がする。

三浦:やっぱり、プロデューサー陣が明るいからですかね(笑)。

阿部:それはある(笑)。監督も穏やかな人なので、それが現場の空気にもなってくると思うし、現場の空気をとても大切にするスタッフさんたちだったので、日常の空気感のまま撮影にいけるような感じでしたね。

──景色もとても穏やかで素敵でしたよね。

阿部:ちょっと海から離れて山の中腹くらいに病院があったと思うんですけど。ちょうど海が見えて素敵でしたね。

──阿部さんの看護師さんたちと屋上に来て上を見上げるシーンも印象的でした。

栞

阿部:あんまり悩んでるように見えても困るなと思いながら。すごく天気が良くて、風も気持ち良くて。天気が明るさを助長するんですけど、それがあのシーンのなんとも言えない、裏腹の心情が垣間見える良いシーンだったかもしれないなって。

──そうですよね。見ていても、いろんな感情が込み上げてくるシーンでした。お2人は困難にぶつかったときはどうしますか?乗り越えますか?

三浦:僕は最近は人に頼るようにしてます。今まで自分でなんでも消化しようとしてたんですけど、人に頼るってことは、一つの悩みを解決する方法として、あるなと思いましたね。良いことなのかもって。

──それは年齢を重ねていったから気付いたこともありますか?

三浦:やっぱり周りの人がどんな人かっていうのも、しっかりと人と向き合って、この人はどういう人なんだろう?って考えたり。やっぱり、人に頼るっていうことは、先に僕がその人を大事にしないと、頼った時に助けてないので。人を大事にしようっていうのは、近年これくらいの年になってからちゃんと思いましたし。人に頼って助けてもらったら、その人が出来ないことは、僕が助けてあげればいいし。そういう関係になれる友人とかが自分の周りにいっぱいいるんだなってことに気付けたから、最近は人に頼るようにしていますね。

阿部:頼れるって、いいことだよね。

──阿部さんにも頼ったり・・・?

栞

三浦:芝居の時なんて、阿部さんに頼り切りですよ(笑)。

阿部:いやいやいや(笑)。今回の(三浦さんの)役は、周りの人間に影響を受けて行く役だったので、余計に外的な刺激がないと成立しない役だったので。海人だったり、お父さんだったり、僕だったり、刺激があって、それをどんどんこう自分の中で考えていく役だったので、そうだったかもしれないですよね。

──阿部さん自身はいかがですか?困難に打ち当たってもガッツで乗り越えていきそうな感じもしますが・・・

阿部:そうですね。ガッツを出せる・・・んー、ガッツって何だろう?(笑)。

三浦:(笑)。

阿部:わりと「よし、頑張ろう!」って思えるのってもう前を向いてるんだと思うんですよね。前を向いて、一歩踏み出そうって思うまでは、中々しんどい時もありますし。もう、やるしかないんですよね。何か壁があったら、そこで壁に当たった傷みのことは考えないっていうか。じゃあこの壁はどうやったら越えられるかなっていう方法を考えるという風に、すごく論理的ですけど、切り替えるっていうか。その方が楽なので。ずっと痛かったことを考えても、壁の前で立ってしまうので。それ、どうやって回り道しようか、飛び越えようかとかっていう風に考えるようにしてますよね。

──役者という仕事をしていく中で、本作のテーマでもある「僕に何が出来るのか」を考えたことはありますか?

栞

三浦:最近は人に対して言うんですけど、結構コンプレックスの塊だし、結構自己評価が低いので、無力感と共に生きて来たっていうか(笑)。だからさっきのに繋がっちゃうんですけど、未だに一人じゃ何も出来ないなって思っています。人が居たら何か出来るかもしれないなって思いますし。誰か居れば何か出来るかなって。この仕事とかも、1人じゃ絶対何も出来ない仕事なので、プロデューサーがいて、監督がいて、撮影する人がいて、光を当ててくれる人がいて、音を録ってくれる人がいて、メイクをしてくれる人とかいろんな人がいて、成り立つ仕事なので。頼りっぱなしですね(笑)。

阿部:僕は結構出しゃばるタイプなので・・・(笑)。

一同:(爆笑)。

阿部:どっちかっていうと(笑)。ちょっと上手く言ってないことがあると、首を突っ込みたくなってしまうタイプで。誰かが何かを考えていたら、「それはどういうことなのか」っていう話をしてしまう、おせっかいなところがあるんです。癖だと思うんですけど。優しさとかではなくて、もうその場で何か問題があるって耳に入ってしまうと、何となく自分の問題になっているような気がしていて。だから結構出しゃばる部分があって(笑)。

三浦:そこが良いんですよ・・・!そこがかっこいいんですよ・・・!(笑)。

阿部:いやいやいや(笑)。余計なことを言ってしまうこともあるんでしょうけど、僕なんかで出来ることがあったら良いなって思いますけどね。昔はもっと自分のことばかり考えていたと思うんですけど、結局人のことを考えている方が自分の為になるので。だからそういう意識が年齢と共にどんどんどんどん。さっきの頼る頼らないって話じゃないですけど。

──阿部さんみたいな方が現場に居たら、なんか励まされる感じはありますよね。

栞

三浦:自分が出来ないことなので、やっぱりかっこいいなって思いますし。実際それで早く解決したりもありますし、それが解決する云々のことじゃなくても、僕は結構いろんなことを溜め込むタイプなので、聞いてくれる人が居ると話せるんですよね。

──こう壁を開けて入ってきてくれる人が居ると違いますよね。

三浦:阿部さんはこう「(壁を)バーーーン!」って(笑)。「(明るく)やってる?」って(笑)。

──珍しいですよね。役者さんでこういう方も。

三浦:そうですそうです。

阿部:やっぱ大阪出身っていうのがあるんですよ。やっぱり距離感近いですよ。大阪の人って街で知らない人と結構喋るんですよ。目の前で何か損をしそうな人がいたら、「お兄ちゃんお兄ちゃんそれ、損だからやめた方がええで」っておばちゃんが教えてくれるんですよ。損得勘定じゃないですけど、ちょっとお節介なところがあるんですよね、大阪の人って。だからさっきの首突っ込んじゃうっていうのはそこからかもしれないです。損するのを見ていられないっていう(笑)。もっとこうした方が良くなるんじゃないかなっていうこととか、距離感の近さっていうのはそこから来てるのかも。

──最後に、今まで様々な作品に出演されているお2人ですが、その中でも『』という作品はどのような作品になりましたか?

栞

三浦:映画を作っている中の1人としては、僕にとってもすごく良い経験ができたし、メンタリティがすごく近しい役だったし、経験が似ている部分もあるので、本当に色んなことは考えましたけど。やっぱり映画なので、自分にとってどういう映画であるかより、観てくれた人にとってどういう映画になるかなっていうところが、楽しみであり、怖い部分であって。自分と近い人間を自分が演じたっていうことで、他の映画よりも、怖いですね。

──自分と近いからこそ。

三浦:何を感じてもらえるかっていうところが。

──阿部さんはいかがですか?

阿部:役者としては、できればマイノリティな存在を演じたいなって思っていて。映画を通してそういう人のことを考える切っ掛けにもなると思うし、役を演じるということを通じて、愛したり、知ろうということが役者にとって大切だと思うので。そういうマイノリティな人への理解へも繋がりますし、僕という人間という成長へも繋がるので。今回は特にリハビリということもあんまり知らなかったし、本当に脊髄損傷した人がどのように生きているかを、今までの人生の中で一番考えたわけですよ。役として演じるということもとてもハードルが高かったですけど、また更に人の気持ちが考えられる経験が1つ出来ましたね。

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栞

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映画『』は10月26日(金)より全国順次公開

(C)映画「栞」製作委員会

取材:矢部紗耶香/撮影:ナカムラヨシノーブ

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作品情報

栞

4.4
2018/10/26(金) 公開
出演
三浦貴大/阿部進之介/白石聖/池端レイナ/福本清三/鶴見辰吾 ほか
監督
榊原有佑