“スケート界のヌレエフ”ジョン・カリーのドキュメンタリーが2019年初夏公開、町田樹が字幕監修・学術協力で参加

「スケート界のヌレエフ」と評された美しき英国の金メダリスト、ジョン・カリーのドキュメンタリーが『氷上の王、ジョン・カリー』の邦題で2019年初夏に公開される。

氷上の王、ジョン・カリー

アイススケートをメジャースポーツへと押し上げ、さらに芸術の領域にまで昇華させた伝説の英国人スケーター、ジョン・カリー。彼はバレエのメソッドを取り入れた演技で、1976 年インスブルック冬季五輪フィギュアスケート男子シングルの金メダルを獲得する。だが、マスコミが真っ先に伝えたのは、表に出るはずのなかった彼のセクシュアリティだった。同性愛が公的にも差別されていた時代に、ゲイであることが公表されたメダリストの存在は、世界中を驚かせ論争を巻き起こす。

映画はアスリートとしてのカリーだけでなく、栄光の裏にあった深い孤独、自ら立ち上げたカンパニーでの新たな挑戦、彼を蝕んでゆく病魔AIDSとの闘いを、貴重なパフォーマンス映像と、本人、家族や友人、スケート関係者へのインタビューで明らかにしていく。

日本公開にあたり、10月にさいたまスーパーアリーナで開催された「ジャパン・オープン」と直後のアイスショーを最後に、プロスケーターを引退した町田樹が字幕監修・学術協力として参加。本作へのコメントも到着した。

町田樹 コメント


ジョン・カリーは、ともすれば「男が華やかに踊るなんてみっともない」と揶揄されるような時代に、芸術としてのフィギュアスケートをその生涯をもって追求し続けた孤高のスケーターである。

この映画では、貴重な映像資料や身近にいた者の生の証言によって、様々な困難に抗いながらもアーティストとして生き抜いたカリーの人生を、彼が紡いできた珠玉の作品群と共に色鮮やかに甦えらせていく。

だが一方で、私はその華やかな舞台の裏で彼が一人抱えていた葛藤を目の当たりにした時、このスポーツを取り巻く諸問題が、未だ根本的に解決されていないことに愕然とするのである。私たちは、今もなお多くのスケーターがカリーと同じような困難を抱えて氷上に立っていることを、決して忘れてはいけない。

映画『氷上の王、ジョン・カリー』は2019年初夏に公開

(C) New Black Films Skating Limited 2018

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