大ヒット公開中のDC映画『ジョーカー』。海外ドラマや映画好きとして知られ、ジョーカーの熱烈なファンである劇団ひとりが、“コメディアンとして”スタンダップコメディのシーンのリアルさを絶賛した。
共同脚本のスコット・シルバー(『ザ・ファイター』の脚本で米アカデミー賞・英アカデミー賞にノミネート)は、「アーサー(ホアキン・フェニックス)はもともと人を笑わせ、笑顔にすることだけを考えていた。だから、ピエロになり、コメディアンを目指そうとする。世の中に喜びを届けたい一心でね」と、<悪のカリスマ>ジョーカーに変貌してしまうアーサーは、かつては人の喜びが自身の喜びになるような人物だったと明かす。
アーサーが夢見る“コメディアン”として活躍し、後に映画化された「陰日向に咲く」で小説家として高い評価を受け、自著「青天の霹靂」の映画化に際しては監督を務め、連続ドラマ「べしゃり暮らし」では演出を手掛けるなど、クリエイターとしてマルチな才能を発揮している劇団ひとり。
「“ジョーカーって本当にいるんじゃないの?”と思ってしまうくらいリアルでしたね。特に僕がお笑いの仕事をしているからかもしれないですが、ステージでの漫談シーンは、ジョークの言い方とか佇まいとかもリアルでした。時々お客さんを引かせちゃう時があって、それがすごくジョーカーっぽいし(笑)」と、コメディアンとしてステージに立つアーサーのリアルさについて語りつつ、ジョーカーの片鱗はステージ上でも垣間見えていたと分析する。
『ハングオーバー!』シリーズをはじめとするコメディ作品を多く手掛けてきたトッド・フィリップス監督も、劇団ひとりの言うアーサーがコメディアンとしての夢を叶えようとステ ージに立つシーンについてはこだわりをみせており「僕は今まで多くのコメディ映画を撮ってきたし、大勢のコメディアンとも知り合いだ。でも、スタンダップコメディのシーンは、ホアキンとはたくさん議論を重ねて、上手くいかなくて居心地の悪い瞬間を考えていったんだ。僕だって面白いと思ったシーンで観客に笑ってもらえない時だってあるからね」とステージに立ち、多くの人に笑いをとどけようとするシーンでさえ、アーサーの心境を大切に描いたと明かす。
コメディアンに憧れ、ほかのコメディアンの芸風を観察しては声のトーンや、間の取り方を学び、自分なりにアレンジしてみるなど努力を重ねるアーサーだが、リアルなのはステージに立った時だけではない。「ジョーカーの弱い部分がフィーチャーされることで、よりジョーカーの存在がリアルに感じられるようになってきました。ジョーカーも我々と同じ人間なんだなと思えてきましたね」と、周知されている超人的な力は持たないが、予測不能の凶行で人々を戦慄させ、世界のすべてを狂わそうとするジョーカーとはかけ離れた“弱さ”を本作では見せているという。
さらに「当然、フィクションだけども、なんだか実録を観ているんじゃないかというくらい全てが生々しかった。観ながら共感している自分が怖くなるんです」と、ジョーカーへ変貌し悪事を働く人へ心を寄せてはならないと理性が働きつつも、アーサーの心に寄り添い共感するほど人間:アーサーがリアルだという。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気溢れる<悪のカリスマ>ジョーカーに変貌したのか?すべては劇場で明らかになる。
映画『ジョーカー』は大ヒット公開中
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