公園のよう
新型コロナウイルスの影響により、オープンが遅れていた「
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オープン企画として、アップリンクの恒例企画「見逃した映画特集 in KYOTO」。ほか『ホドロフスキーのサイコマジック』
また、「
「アップリンク京都」オープンに寄せて
浅井隆 アップリンク代表 未来の映画館プロデューサーの挨拶
本日は「アップリンク京都」の内覧会にお越し下さりありがとうございます。
アップリンクとしては、渋谷、吉祥寺に次ぐ3館目、そして関西初の映画館です。この企画はおよそ3年前から進めており、本来春に完成し4月16日にオープンする予定でしたが、コロナ禍のため開業が再々延期となり、6月11日にオープンとなります。
自分自身、父親の仕事の都合で子供の頃は引っ越しを何度もしていて、幼少期は四国の徳島市で過ごしましたが、小学校は滋賀県の守山小学校に通い、その後、大阪の豊中市に引っ越し、中学、高校時代を過ごしました。京都は週末に訪れ、京都書院によく本を探しに行った記憶があります。またアップリンクを1987年に設立してからは、旧新風館の煉瓦作りの棟で「配給ワークショップ」を開催しました。東京とは違い、コンパクトな都市に様々なカルチャーが詰まり、人との出会いが容易な街だと感じていました。
3年前にNTT都市開発から新風館再開発計画の話をいただき、東西南北の地下鉄が交差する烏丸御池という立地、さらに地下鉄駅から直結でエスカレーターを登れば地下1階の映画館まで行け、なにより新築のビルですので、映画館の設計が自由にでき、そして今まで作ってきた映画館と比較して天高があるというのが大きな魅力でした。
「アップリンク京都」のコンセプトは、吉祥寺同様「ミニシアター・コンプレックス」です。いわばミニシアターとシネコンのいいとこどりをするコンセプトです。上映作品はミニシアターで上映されるアート系やインディーズ、そしてドキュメンタリー作品をメインに編成します。ここで上映される一本一本の映画の向こうには世界が広がっていて、不寛容さが分断を生む社会を変えるきっかけとなるような、世界の多様な価値観を知ることができる社会のインフラとしての映画館でありたいと思います。そして、シネコンのようにポップコーンやホットドッグやコーラをコンセッションで販売します。ただし、手作りの伊良コーラや、アップリンク渋谷のキッチンタベラの自家製ジンジャーエールなど、こだわりのあるドリンクやフードを提供します。そして、番組編成はシネコンのように月曜日に先週末の動員をみて、その週の金曜から編成を毎週行います。1スクリーンで1日最大6作品編成できるので、計4スクリーンで1日最大24作品を上映することができます。
また、映像のこだわりは、座席数が少なくスクリーンからの距離が近いため、通常の映画館で使用される小さな穴の開いたスクリーンだと、前方の席では穴が目立つので、ファブリック・タイプのスクリーンを使用しています。音響は、吉祥寺で映画館では世界初となるタグチの平面スピーカ使用し好評を得たので、さらにバージョンアップしたものを京都でも使用しました。車で言えばエンジンとなるパワー・アンプはイタリア、フィレンツェのパワーソフト社のアンプを使用し、スクリーンごとにベストなチューニングを施しています。そこから聞こえる音は、映像表現でよく使用する言葉ですが「解像度」の高い音で、録音された音の輪郭がはっきりとわかり、特に生の音はスクリーンの中にその世界が広がっているように感じる音響特性があります。
観客の身体に接する椅子は、吉祥寺で好評を得たフランス、キネット社の椅子を3種類使用しています。椅子は全てオーダーメイドで、スクリーン1を「レッド」、スクリーン2を「レインボー」、スクリーン3を「抹茶」、スクリーン4を「ストライプ」とそれぞれのカラーコンセプトを決めて生地を選びました。
館内デザインは、「レトロフューチャーな地下鉄の駅」をキーコンセプトとしました。モロッコの街並みや、メキシコのルイス・バラガン邸などをアイデアソースとし、無機質なコンクリート打ちっ放しに無垢の木という、ミニマルな方向からは遠い「色は生命力」だという考えのもと、この映画館の空間に入った瞬間にワクワクするような演出をしました。
ロビーやギャラリー、マーケット、コンセッション、そして奥の映像ショールームは、映画を観なくても誰もが訪れることができます。映画だけでなく様々なイベントやワークショップのチラシも手に入れられるカルチャーのハブでもあり、地下1階にある公園のような、自宅と職場と違うもう一つの場所「サード・プレイス」でもあることを目指します。
「アップリンク京都」をどうぞ宜しくお願い致します。
「アップリンク京都」公式HP:https://kyoto.uplink.co.jp/