映画『あの頃。』公開直前イベントが3日、都内・スペースFS汐留にて行われ、松坂桃李、仲野太賀、コカドケンタロウ、原作者の劒樹人が登壇。イベントには、登壇者にサプライズでモーニング娘。OGの藤本美貴も登場した。
ハロー!プロジェクトへの熱い愛と、大切な仲間たちとの出会いと別れを描いた劔樹人の自伝的青春コミックエッセイ「あの頃。男子かしまし物語」(イースト・プレス刊)を『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』などで知られる今泉力哉監督が実写映画化。大学院受験に失敗し、地獄のようなバンド活動を続けながら、金なし、彼女なしの底辺の生活を送っていた劔は、松浦亜弥のMVを観たことをきっかけにアイドルにどっぷりハマり、やがて仲間たちと共に遅すぎる青春の日々を謳歌することに。
ハロー!プロジェクトのアイドルにのめり込んでいく主人公・劔役を松坂桃李が演じ、劇中で「恋愛研究会。」というバンドを結成しトークイベントやハロプロの啓蒙活動という名目でモーニング娘。の曲を熱唱するなど強烈なキャラクターたちを仲野太賀、山中崇、若葉竜也、芹澤興人、コカドケンタロウらが演じる。そのほか、大下ヒロト、木口健太、中田青渚、片山友希、西田尚美らが脇を固める。
原作者が登壇してのイベントは今回初。劇中で劔役を演じた松坂は、観た人から本人そのものだったという声があったことについて、「ありがたいことに、劔さんが撮影現場にたくさん来てくださったんです。劔さんがスタッフさんと談笑している姿や何気ない佇まいなど、ちょっとした日常のニュアンスみたいなものを垣間見ることができたのが良かったのかなと思います」と本作の役作りについて振り返る。
劔は「松坂さんがギターを弾いているシーンで少しピントがぼやけた時に、昔の僕だ!と本当に思った瞬間がありましたね。こんなこと言うとみんなに怒られるんですけど(笑)。でも出来上がった作品を見ても、やっぱり僕自身と重なりました」と松坂の演技を絶賛。
今回3人が演じたアイドルオタクたちは劇中で「恋愛研究会。」というバンドを組むが、撮影現場にはその本物のメンバーたちが来てくれたようで、仲野は「皆さんが現場に来られた時の存在感はすごかったです」と圧倒された様子。松坂も「当たり前なんですが、本物感がありましたよね。よくモノマネ番組とかで見る、“ご本人登場!”のような感じ(笑)」と嬉しい反面、妙な緊張感だったと語る。コカドは、「僕が演じたイトウさんは来られなかったのですが、実はご本人から直々にTwitterでメッセージをいただきました」と明かした。出来上がった作品を観たメンバーの反応について劔は、「“豪華すぎる再現映像だ!”と喜んでいましたね」と語った。
「恋愛研究会。」のメンバーはそれぞれとても個性的な人たちだったというが、演じるのが難しかったかと問われると松坂は、「振り切って演じてみたつもりですが、ご本人たちは僕たちが想像している以上の方たちだったので、どんなにやっても届かないなという感じはしました」と語ると、仲野も「演じてみて、普段の自分の生活から考えるとこんな青春を送ってみたかったなぁというのもあるし、もっと伸び伸びしていいんだ!っていう気付きもありました」と振り返る。今作が映画初出演となったコカドは「毎日現場に行くのが楽しみで、ワクワクしていました。まさに撮影自体が青春でした。最後の方になると、みんなリラックスしていて、太賀くんと若葉くんはギター弾きながら歌ったりもしてたよね。放課後に誰かの家で遊んでいるような感覚でした」と現場の様子を振り返り、遅れてきた青春の日々を謳歌する、まさに劇中同様、和気あいあいとした雰囲気だったと明かした。
そして、2月3日は「2(ふ)3(み)」と読む語呂合わせから、「絵手紙の日」であるということにちなんで、サプライズで劔からキャストへ手紙が準備されており、松坂への手紙が読まれた。「自分を松坂さんが演じてくれるという二度とない素晴らしい経験になりました。僕の愛しき記憶が他の誰かの愛しい疑似体験となり残っていく、こんな素敵なことはありません。外見の違いはあれど、僕の内面としっかり向き合い大切に演じてくれました」と読まれると、松坂は「隣のアクリル板がなければ、ぐっとハグしたい気持ちです」と感無量。さらに、松坂、仲野、コカドへ似顔絵のプレゼントも。
サプライズはここで終わらず、なんとこの後にモーニング娘。OGである藤本美貴が登場!松坂をはじめ、驚きが止まらない様子。特に劇中で藤本美貴を“推し”にしているコズミン役の仲野は「汗が止まらない」と緊張しながらも「やったー!!本物だー!!」と声をあげて大興奮。登壇した藤本は「この映画を観て、改めてファンの方々がこんなにも熱く人生を掛けて応援してくださっていることを知ることができて、本当に嬉しかったです」と当時を振り返りながら、作品の感想を語った。
最後に松坂は、藤本のサプライズ登場で一気に言おうとしていたことが飛んでしまったと笑いながら前置きをしつつ、「この作品はハロプロに人生を捧げた男たちの“あの頃”を描いた作品ですが、誰にでも大事にしていた“あの頃”って必ずあると思うんです。それが人生で一番良かったということではなく、それがあったからこそ今があるんだな、今を大切にできるんだなと気づかせてくれる映画です。どんな人にも共感してもらえる作品だと思うので、ぜひ多くの方に観ていただきたいです」と熱いメッセージでイベントを締めた。
映画『あの頃。』は2月19日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
(C)2020『あの頃。』製作委員会