「SUPPORT EIGA PEOPLE ON THE LAND.〜映画に関わるすべての人々をサポートする〜」をビジョンとして掲げる映画ランド。そんな弊社が、映画界で活躍する監督・スタッフ・役者にお話を伺う。
日本テレビ×Huluによる共同製作の連続ドラマ「君と世界が終わる日に」。ゾンビアクションドラマとして話題を集め、現在までにSeason4まで制作されている。今回、シリーズ初となる映画『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』が1月26日より公開され大ヒット上映中。竹内涼真演じる熱き主人公・間宮 響の物語がついに完結する。今作で初登場となる”謎の女性”を演じた吉柳咲良に、今作について今後についてお話を伺った。
吉柳咲良
KIRYU SAKURA
2004年生まれ、栃木県出身。
第41回ホリプロタレントスカウトキャラバン「PURE GIRL 2016」で、歴代最年少となる12歳でグランプリを受賞。
2017年2月にミュージカル『ピーター・パン』の10代目ピーター・パン役に抜てきされ、同年7月に女優としてデビュー。近年の主な出演作にドラマ『星降る夜に』(23)、『リズム』(23)、『アイドル誕生 輝け昭和歌謡』(23)、劇場アニメ『かがみの孤城』(22)などに出演。現在放送中の連続テレビ小説 『ブギウギ』に出演予定。5月にはミュージカル「ロミオ&ジュリエット」の公演も控えている。
台本にない部分を大切に
――今作への出演が決まったときは、どんな心境でしたか?
吉柳:Season1からずっと観てきたので、事務所の大先輩が長年作り上げてきた作品に出させていただけるというのはすごく光栄に思ったのと同時に、プレッシャーというか。竹内さんとまたご一緒できる機会をこの作品でいただけたというのは、すごく意味があると思っていましたし、重く受け止めていました。
――竹内さんから何かアドバイスはありましたか?
吉柳:撮影の期間は、お芝居にちょっと悩んでいた時期で。どうやっていこう、この役を全うするために何をしたらいいんだろうって、色々悩んでいたんですが、竹内さんから「大丈夫?」と声をかけてくださって。「大丈夫じゃないです」って言ったんです(笑)。そしたら「台本にない部分を大切にしてやってみたら」と言っていただきました。
それで、”謎の女性”という役を自分で小説を作成するアプリに書き込んでみて、台本では読み解けなかった部分を細かく作っていく工程をやってみました。そのおかげか、なんだかすっきりしたというか。その時の100%は出し切れたと感じています。竹内さんのアドバイスのおかげだなと思いました。
――人物像を書いて膨らませていったのですね
吉柳:そうですね。この子が今までどうやって生きてきたのかとか。あとは私が台本で大切にしているのは、その子が話す語尾。語尾だったり言葉の使い回しに、その人の性格が出ると思っていて。現場に行くときは、毎回きみセカの主題歌しか聞かないくらい世界観に入り込んで、その情報しか頭に入れないようにしていたら、本番はすごくやりやすかったというか。変に考えすぎずに役を全うできた感じがしました。
――今作で演じられた謎の女性は、吉柳さんから見てどういう役でしたか?
吉柳:いろんなことを経験して、自分の気持ちの葛藤や悩みを乗り越えた先にいる子。本当だったら起こらないような不幸がたくさん起こってきた世界なので、それに直面したこともきっとあったんじゃないかなと思うけれど、芯を忘れないというか、軸にある強さだけは、きっと忘れなかったからこそ生き抜いている部分がある。諦めない精神、強さみたいなものを秘めている子だというイメージで、台本を読みながらそこだけは常に忘れないようにしていました。
――彼女自身の見た目の部分はいかがでしたか?
吉柳:基本的にずっとマスクみたいなのをしていて、顔が覆われている状態だったので、画面に映ったときに届けなきゃいけないものが表情であまり映らない。なので、届けるんだったら目と声しかないと。何に説得力を持たせなきゃいけないのかというのを忘れないようにしたり、表情が見えない分、何で伝えなきゃいけないのかを大事にしました。目と声でどれだけ伝えられるか、自分が言いたいことや思っている気持ちを、相手に、画面越しに観ている方々に伝えられるかというのを研究しましたね。
あとは毎回胃が痛くなるくらい緊張していたので、声が震えないように、なるべく落ち着いた声というか、全体的に低めで喋っていると思います。
覚悟を持って参加しよう
――菅原監督の作品に参加されていかがでしたか?
吉柳:第一印象は背が高くてびっくりした記憶があります(笑)。どうしたらよいのかを明確に伝えてくださっていたので、この役を演じるにあたって大切にしていかなきゃいけないものが何なのか、ヒントをいただきました。
――撮影の前に具体的な演出はありましたか?
吉柳:衣装合わせの時に、ここを重要視してほしいとか、こういう気持ちを持ってやってほしいというのはいろいろお話しさせていただきましたが、何よりも監督の覚悟が伝わってきて。長年作ってきた作品のFINALということで、スタッフの皆さんも一丸となって気持ちを高めてやってきたんだろうなというのをひしひしと感じました。ここに参加させていただくなら、同じくらいの覚悟を持って演じなければ失礼に値するなと、私もしっかり覚悟を持って参加しようと強く思いました。
――世界観が作り込まれている作品ですが、現場ではいかがでしたか?
吉柳:何よりも、竹内さんを現場で一目見ただけで感じる何かがありました。響を見た時の緊張感がすごく大きかったですね。この人は、長年この世界で戦ってきたんだなというのを感じました。響と対面しただけで泣きそうになるくらい、竹内さんの覚悟が伝わってきましたね。
――先ほど現場で緊張するというお話がありましたが、今でも緊張されるんですか?
吉柳:毎回撮影直前まで、震えが止まらなくなるぐらい緊張するタイプ。「今日は無理かもしれないです」とマネージャーさんに連絡して、毎回現場に行くみたいな(笑)。
――撮影が始まってしまえば大丈夫なんですね
吉柳:そうですね。ただ本当にカメラが回っているときだけです。カットがかかった瞬間からまた緊張が戻ってきちゃうので。慣れてくると共演者の方々とお話したりして楽しんでいけるようになるんです。最初は本当に緊張して喋れなかったりするので、最初と最後で人が違うねって言われるぐらい(笑)。「ここに座っていいですよ」ってスタッフさんに言われても「大丈夫です」って言って、隅に立っているみたいなタイプですね。
ずっと泣いてました
――撮影現場でのエピソードがあれば教えてください
吉柳:吉田鋼太郎さんとご一緒したときに、それこそどうやって演じていいかわからなくて、テストの時点で納得がいかなかったりしていると、気さくに声をかけてくださって。「本当にこんな世界があったら、どうなるんですかね?」とか言って。鋼太郎さんも「怖いよねー(笑)」と。本当に大先輩なのに色々お話ししてくださって、緊張が解けたのはそのお陰が大きかったなと思います。大先輩すぎてどうしていいかわからず、どこまで踏み込んでやっていけるかなという不安もありましたが、そんなのは全部取っ払ってっていただきましたね。
――完成した作品をご覧になっていかがでしたか?
吉柳:いやー、泣きましたね。ずっと泣いてました。苦しいし、すごすぎて「響!」ってなりました。一視聴者として響への想いが溢れちゃって。
――印象に残ったシーンは?
吉柳:響が発する一言一言のセリフの重み。予告でも出てくる「俺はミライの父親だ!」っていうセリフ、予告でも何回でも泣けるのに、本編で観たらもうその瞬間ブワッてなっちゃって。もうダメだこりゃって。隣の席に監督がいらっしゃったので、ワンワン泣けないしどうしようと(笑)。静かに泣きながら観ていました。そのセリフはずっと頭に残っていましたね。
2024年は自分対自分の戦い
――今後はどんな役を演じてみたいですか?
吉柳:どんな役、というよりは、いただいた役に対してどれだけ向き合えるかということのほうが大事なのかなと思っています。逃げたくなる気持ちはこの役でもありましたし、始まる前は私には務まらないと思っていたんですよ。そうやって毎回思っているから(笑)。
ネガティブな気持ちとどれだけ逃げずに向き合って、全うするマインドに持っていけるかということの方が大事だと思っています。毎回私は、誰かに助けられてそのマインドに持っていってもらっている。今回は竹内さんに背中を押していただいた部分が大きかった。そういうふうに毎回誰かに助けられているけれど、いつかは自分が背中を押す側になれるように、いろんな経験を積むべきだなって思います。
――これから挑戦してみたいことはありますか?
吉柳:滝行(笑)。力やいろんなもの、無駄なものを落として、綺麗になって、強くなったら、少し物事の考え方が変わるかもしれない。あと個人的にずっとやりたいって言ってて勇気が出ないのが、バンジージャンプ。この2つをやりたい。なにかが変わりそうな気がするんですよね。
――強い衝撃を与えてでも何かを変えてみたい?
吉柳:私の中の何かを変えてみたい、強さが欲しいなと思いました。私は竹内さんを見て、突っ込んでいく強さみたいなものを感じて。このマインドになれたら超強いだろうなと。強いメンタルを無理やりにでも手に入れてみたいなと思いますね。すぐ胃が痛くなっちゃうから、胃痛と戦うのはもう終わりにしたい(笑)。
――仕事で挑戦したいことはありますか?
吉柳:バラエティにもっと出たいなと思います。私は基本的にはあまり出る機会はないんですが、お芝居とはちょっと違って、いろいろな方と関われて、お話しできるなと思うので。
あとは、去年は歌やダンスなど、役として特技を活かせるものが多かった。好きな事が仕事になるっていい事だし、ありがたい事です。歌やダンスで思いつくのが吉柳咲良だって思われるくらいまでもっと磨いていきたいと思いますし、それに負けないようにお芝居も頑張っていきたいなと。技術や自分のマインドみたいなものを高めていく1年にできたらいいなと思っているので、2024年は自分対自分の戦いをしていこうと思っています。バラエティで滝に打たれているかもしれない(笑)。
――最後に記事を読んでいる方にメッセージをお願いします
吉柳:この作品を早く観てほしい!ってすごく思っていて。いろんな人の魂が込められているからか、冒頭のタイトルが出た瞬間から鳥肌が止まらなかったんですよ。その快感と感動を生で映画館で味わってほしいです。大切な方々やご家族と一緒に観に行っていただいて、「こんな世界になったらどうする?」、「ゾンビが本当にいたらどうする?」など話をしていただけたら。みんながどんなことを考えるのかすごく楽しみなので、メッセージや感想がたくさん届くと嬉しいです。その声が届いた時に私たちも報われると思うので。
(取材・写真:曽根真弘/ヘアメイク:たにぐち翠彩/スタイリスト:李靖華)
『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』は大ヒット上映中
監督:菅原伸太郎
出演:竹内涼真/高橋文哉/堀田真由/板垣李光人/窪塚愛流/橘優輝/吉柳咲良/須賀健太/味方良介/黒羽麻璃央/吉田鋼太郎 ほか
配給:東宝
©2024「君と世界が終わる日に」製作委員会
公式サイト:https://kimiseka-final.jp/
公式X(旧Twitter):@kimiseka_ntv