映画『蜜のあわれ』試写イベントが2日、都内・丸ビルホールにて行われ、二階堂ふみ、石井岳龍監督、原作の大ファンという歌人・穂村弘ら豪華キャストが出席した。
徳田秋聲、泉鏡花と並び、金沢三文豪の一人である室生犀星が、晩年に発表した同名小説を映画化した本作。室生犀星自身を想起させる老作家・おじさまと、彼が愛でる少女の姿に変貌する金魚・赤子、老作家への愛を募らせ蘇った幽霊・田村ゆり子との三角関係を描く文芸ファンタジー。
少女の姿に変貌する金魚・赤子を演じる二階堂は「高校生のときに原作を読んでから、自分がやりたいってずっと思っていた。（演じる上で）言葉に意味を持たせず、動きも静止させず泳ぎ続けているようなイメージで」と撮影を振り返り、「子供とかの動きを参考にしたり、現場でいろいろな動きをやってみるとすごく楽しくて。その場のノリというか、自然と言葉が付いてくるような感覚でした」と笑顔をみせた。
また、赤子を妄想から生み出した老作家・おじさま役の大杉漣との共演に「たくさんの引き出しを空けていただいた。役にまっすぐ向き合っていく大先輩の背中を見ることが出来たので、とにかく監督やスタッフの皆さんと一緒に出来たことが私にとって財産になりました」と感慨深く語った。
一方、二階堂の演技を「素晴らしい金魚像だった」と絶賛する穂村は「映像化は難しいと思っていました。小説では一人一人の読者の中に理想の少女が生まれる、それが素晴らしいんですが、逆に映像化してしまうと理想との戦いになってしまう。でも理想の金魚像を越えてきたので、本当にすごいと思った」と褒めちぎった。
最後に二階堂は「原作の良さがちゃんと映画にも残っていて、観る人にとても自由な作品になった。この映画を観て、どういうことを考えたり思っても正解がないし、むしろすべてが正解だったり。そういう意味ではとても自由で素敵な映画になったのかなと思います。ぜひ劇場で観ていただけたら」とアピールした。
映画『蜜のあわれ』は4月1日（金）より新宿バルト9他にて全国公開
【CREDIT】
原作：室生犀星「蜜のあわれ」
監督：石井岳龍
出演：二階堂ふみ／大杉漣／真木よう子／韓英恵／上田耕一／渋川清彦／高良健吾／永瀬正敏
©2015『蜜のあわれ』製作委員会
