映画『湯を沸かすほどの熱い愛』完成披露試写会が20日、都内・イイノホールにて行われ、主演の宮沢りえをはじめ、杉咲花、松坂桃李、篠原ゆき子、駿河太郎、伊東蒼、中野量太監督が登壇した。
本作は、自主制作映画『チチを撮りに』が、ベルリン国際映画祭など数多くの映画祭で上映された中野量太監督の商業映画デビュー作。銭湯「幸の湯」を営む幸野家の母・双葉は、余命2か月の宣告を受けたことを機に、家族からすべての秘密を取り払うべく「絶対にやっておくべきこと」を実行していくさまを描く。余命2カ月と宣告されたが、絶望のどん底に落ちることなく、やり残したことをいくつも成し遂げようと力強く生きる幸野家の母・双葉を宮沢りえが演じる。娘・安澄役に杉咲花、夫役にオダギリジョー、彼女の母性に触れ人生を見つめ直していく青年・拓海役で松坂桃李が共演するほか、篠原ゆき子、駿河太郎、伊東蒼が出演する。
大歓声で迎えられた宮沢は「中野監督による本当に衝撃的で素敵な脚本に出会えたことを感謝しています。そんな脚本を愛したみんなが、密度・熱量を持って作り上げた作品。いつも自信はない方なんですが、この作品は心から自信を持ってお届けできると思います」と挨拶。
中野監督のオリジナル脚本に惚れ込んだといい、「読み終わった後にずーっと余韻が残った。これが監督の(商業映画)デビューになるという責任感もありましたが、この作品に参加しなかったら後悔するだろうなと思って(出演を)決めました。スタッフさんたちも『この本はいいね〜』って(笑)」と明かす。さらに、同い年の中野監督の活躍に「同年代の映画人がこうして頑張っているのは、役者として励みになります」とメッセージを贈った。
そんな宮沢と娘役で共演する杉咲は「ご一緒させていただけて本当に光栄です。緊張していたら、この映画が良くならないと思っていて。どうにか緊張しないように『自分と闘わないとな』と思っていたんですが、お母ちゃんが『どれだけ現場で時間がかかっても大丈夫だよ』って言ってくださったんです。その言葉で必要以上の緊張感が排除されて、本当にお世話になりました」と感謝を伝えた。宮沢は「(杉咲が)すごく器用な方ではないので、『朝ドラとか大丈夫かな〜』『ちゃんと自分のやりたいことやってるかな〜』とか気になって(笑)この映画を通して生まれた家族だからね」と笑顔をのぞかせた。
一方、本作について「人生に残る作品。そんな気持ちになるのはなかったので、自分でもびっくりするくらい。本当に暖かく残る作品です」という松坂。宮沢や杉咲が魅せる家族の姿に「なんとも言えないほっこり感を作品でも現場でももらいましたね。家族の暖かさと兄弟のような無邪気さ、そういう姿を見て『いいな〜自分も入りたいな〜』って羨ましかったです」とヤキモチ。宮沢は松坂との共演に「すごく共演してみたい役者さんだった。瞳の奥に底がない感じ、見てるとフワーッて吸い込まれそうになる。まだまだ、もっともっと知りたい人ですね」と笑顔を見せた。
駿河は「りえさんともっとご一緒したかったんですが、怪物の娘がいたんでね(笑)監督と初めてお会いした時に、『演じるより家族になってください』と言われたんです。僕は実際子供2人いるので、子供と仲良くなるのは早いタイプだった」と明かすと、宮沢は「娘さんが本当になついて、ずーっとそばにいるんですよ。肩車したりね(笑)もう微笑ましかった」とにっこり。中野監督も「あれ太郎さんじゃないとできなかった」と絶賛していた。
最後に中野監督は「自信があります。ちょうど撮影が終わった時に、りえさんが僕に『脚本もいい。芝居もみんないい。これで面白く出来なかったら監督燃やすからね!』って言われて(笑)なので面白いっていうのを広めてもらわないと、僕燃やされてしまうので、生き永らえるために宜しくお願いします」と笑い混じりにアピール。宮沢は「命があって幸せで健康でいる日常は、決して当たり前なことではなくて。薄紙のような奇跡が重なってできたものが日常。それがこの作品には充満していると思います。皆さんのいつもの風景がちょっと素敵に見えたら、どうぞ心の底から楽しんでください」と真摯に語り、イベントを締めくくった。
映画『湯を沸かすほどの熱い愛』は10月29日より新宿バルト9ほか全国公開
【CREDIT】
出演:宮沢りえ 杉咲花 篠原ゆき子 駿河太郎 伊東蒼 /松坂桃李 /オダギリジョー
脚本・監督:中野量太
配給:クロックワークス 公式サイト:atsui-ai.com
©2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会