宮崎駿監督にアカデミー名誉賞!「紙とエンピツとフィルムの時代に映画を作れたこと、日本が戦争しなかったことを幸運に思う」

アメリカで8日(日本時間9日)、宮崎駿監督(73)がロサンゼルスで行われた米アカデミー名誉賞の授賞式に参加した。
日本人の同賞受賞は故黒澤明監督以来、24年ぶり2人目の快挙。アカデミー賞長編アニメ賞に輝いた『千と千尋の神隠し』、ノミネートされた『ハウルの動く城』『風立ちぬ』では授賞式に参加しなかった宮崎監督だったが、今回は蝶ネクタイをつけて出席。宮崎駿監督は、「紙とエンピツとフィルムで映画を作る最後の時代に付き合えたこと」「日本が50年間戦争をしなかったこと」そして「(憧れの)モーリン・オハラさんに会えたこと」と自身の幸運について語った。

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映画業界の発展に寄与した人物へ特別賞を授与する、映画芸術科学アカデミー主催のガバナーズ賞授賞式において、アイルランド出身の女優モーリン・オハラ(94)、フランスの脚本家ジャン=クロード・カリエール(83)、宮崎駿監督の3名にアカデミー賞名誉賞が贈られた。

宮崎駿監督のプレゼンターとして、友人でもあり、ピクサーとディズニーでチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるジョン・ラセター監督が登場。「ウォルト・ディズニーと宮崎駿さんは現在のアニメを形成した2人であり、日本では国宝」「作品の質や影響力で彼をしのぐ者は現れない」と宮崎駿監督を紹介。『ルパン三世 カリオストロの城』は人生を変えた大好きな一本、とスピーチした。


宮崎駿「私の家内が「お前は幸運だ」とよく言います。一つは、紙とエンピツとフィルムの最後の時代の50年に私が付き合えたことだと思います。それから、私の50年間に、私たちの国は一度も戦争をしませんでした。戦争で儲けたりはしましたけれど、でも戦争をしなかった。そのおかげが、僕らの仕事にとっては、とても力になったと思います。でも、最大の幸運は、今日でした。モーリン・オハラさんに会えたんです。これは凄いことです。こんなに幸運はありません。美しいですね、本当に良かった。どうもありがとうございました」

賞に執着しない宮崎監督だが、アメリカ映画『わが谷は緑なりき』(日本公開1950年)以来のファンであるモーリン・オハラとの初対面には「生きていると、とんでもないことが起こる」と感激した様子。「オハラさんに比べたら僕なんてまだ小僧。リタイアとかは声に出さないで、やれるだけやっていこうと思う」と語った。

昨年公開した『風立ちぬ』を最後に長編製作から引退すると表明した宮崎監督だが、「小さいものはできる範囲でやっていく」と短編アニメは今後も製作する考えを改めて明かした。

「紙と鉛筆は、ずっと持つつもり。そう生きようと決めているので」。

(写真:http://www.hitfix.com/in-contention/watch-hayao-miyazaki-accept-honorary-oscar-in-rare-us-appearance)

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