直木賞作家・重松清の同名小説を映画化した『幼な子われらに生まれ』にニコラ専属モデルの南沙良が出演することがわかった。
本作は、44歳の信が、元妻、現在の妻、妻の連れ子、元妻と暮らす実娘、そして新しく産まれくる命をめぐって不器用な大人たちが成長していくヒューマンドラマ。重松清の傑作小説を、夫婦別姓、同性婚など、家族のあり方を問うと同時に、つぎはぎだらけのパッチワークのような家族の中で、成長していく大人たちをリアリティあふれるタッチで、かつ優しく見守るように描いた作品だ。
バツイチ子持ちで再婚した中年サラリーマンの主人公・信を浅野忠信が、二度目の妻・奈苗を田中麗奈がそれぞれ演じるほか、宮藤官九郎、寺島しのぶらが共演する。監督を『繕い裁つ人』『少女』の三島有紀子が務める。
南が演じるのは、田中扮する奈苗と宮藤演じる沢田の間に生まれた長女・薫。今まで演技経験が全くない南だが、「nicola(二コラ)」専属モデルとして活躍する中、初めてのオーディションで約200人の中から選ばれた逸材だ。
南沙良 コメント
──初めて映画の撮影をしてみての感想は。
初めてで本当に右も左も分からない状態だったのですが、そんな中で皆さんが支えてくださったりアドバイスをくださったりして、すごく恵まれているなと思いました。
──オーディションを受けて、決まった時の感想は。
すごく嬉しかったです。でも驚きすぎて、現場に入ってやっと実感がわいてきました。
──浅野忠信さんとの共演についてどのように感じたか。
浅野さんは本当に透明感があって、とても優しい方で、そんな浅野さんとご一緒にお芝居をすることができて本当に嬉しかったです。
──田中麗奈さんとの共演についてどのように感じたか。
田中さんは面白くて、可愛らしくて、とてもお綺麗で、よく気にかけてくれたり、お姉さんがいたらきっとこんな感じなんだろうなぁと思っていました。田中さんのお芝居を間近で見ることができて、とても刺激をもらうことができました。
──撮影中に思い出に残っているエピソードは。
撮影期間中に、誕生日を迎えたんですけど、浅野さんや田中さん、スタッフさんがケーキとプレゼントを用意してくださって、とても嬉しかったです!
──この映画の見どころは。
この映画は、家族の暖かさや、大切さだったり、家族とは何かというのを改めて感じることのできる作品なので、是非ご家族で観ていただきたいです。
三島有紀子監督 コメント
〝異質な者同志の人間と人間の化学反応をつぶさに記録する〟
それがこの映画の目指したことでしたので、とにかく、言われたことができるのではなく、相手の投げた感情を受け取って自分の中に生まれた感情をそのまま返すことができる女の子、を探し続けていましたが、なかなか見つかりませんでした。薫役はこの作品にとってキーになる役で、確信の持てる役者さんが見つかるまで撮影には入らないと決めていたんです。
沙良さんは、子供でもあり少女でもある顔立ちで、不安定な声、はにかみ屋で眉をハの字にして笑い、でもどこか大きな不満を抱えている佇まいで、所在無げに立っている、そんな女の子でした。
演技が始まると、いままでお芝居をしたことがないのに、相手役の投げる芝居に動物的なするどい勘で反応し、感情を反射的にしかも的確に返してくる。
演技した後には、もっと演じたいという渇望を強く感じ、真摯な目でこちらを見つめて自分の考える薫について話してくれました。イマジネーションと反応力は役者さんに求められることの要素だと思うのですが、いきなりここまで出来る人はなかなかいません。誤解を恐れず表現するなら、ずっと探していた〝イマジネーションに溢れた知的で危険な動物〟を「見つけた」と思いました。
撮影では、他の役者さんが入る前に、感情の確認とお芝居の反応を軽く確認して、本番はなるべく、1テイクでその瞬間をねらいました。
台本にない台詞や動きを投げても的確に返します。
いつもそうではありますが、私は、彼女から生まれたものを、丁寧に観察してバランスをとっていただけです。
彼女の、クランクアップした時の言葉が忘れられません。
「毎日お芝居ができて、これ以上幸せなことが、これからの人生にあるんでしょうか」。
あります。
最高の役者さんです。
映画『幼な子われらに生まれ』は8月26日(土)よりテアトル新宿・シネスイッチ銀座ほか全国公開
【CREDIT】
出演:浅野忠信 田中麗奈/水澤紳吾 池田成志 南沙良 鎌田らい樹 新井美羽/宮藤官九郎 寺島しのぶ
原作:重松清「幼な子われらに生まれ」(幻冬舎文庫刊)
監督:三島有紀子 脚本:荒井晴彦
配給:ファントム・フィルム
公式サイト:Osanago-movie.com
(C) 2016「幼な子われらに生まれ」製作委員会