安藤桃子『0,5ミリ』を「安藤サクラのために書いた」と断言、力強い姉の姿に涙する場面も【第30回東京国際映画祭】

映画『0.5ミリ』が25日より開催されている第30回東京国際映画祭のJapan Now部門・銀幕のミューズたちにて上映され、トークショーに主演の安藤サクラと監督の安藤桃子が登壇した。

0.5ミリ

サクラは会場に入るなり「わあ、すごい!」と観客の多さに感動した様子を見せ「台風もきているし、多くて10人くらいかなと思っていました。本当に嬉しいです!ありがとうございます」と観客と共に笑いあった。また、桃子も登場するなり同じ反応を見せ、姉妹の仲の良さが伺えた。

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本作は監督、安藤桃子が自身の経験に基づき小説化したものをさらに実写化している。原作を書いたきっかけを聞かれた桃子は「我々は祖母の在宅介護を8年間しておりまして、ただその時は介護のことを描きたいと言うよりかは、家族で誰かを看取るということは誰にでも訪れることで、その生死観とか、人が抱えている最大の矛盾を描きたかった」と語り、続けて「それをやるのであったら妹である安藤サクラに(主演を)やって欲しいと思いました」と振り返った。

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また本作の脚本について「私は留学していたから家にずっといなかったけれど、サクラは本当に渦のど真ん中にいて、私は定期的に帰ってきては家族の状況、妹の状況を見てたから、この客観性が生まれたのかなと思います。これはサクラのために書いたものです」と断言。

続けて、様々な作品で色んな一面を魅せるサクラについて「(本作では)超欲張ったので、安藤サクラの素というか、生まれた時から見てきたことを活かすっていうのが、この映画の1番の意味だなと思っていたので、多分表情とか表現とかは他の作品にはないサクラをキャプチャー出来ているように思います」と語った。

0.5ミリそんなサクラは本作について「この映画に出るまでは『もっと怖くて、岩みたいなでっかい女だと思ってました』とか結構言われて、自分のまだ出してないところを『女性だよ、岩ではないよ(笑)』って、この映画でイメージテェンジをはかったんです」と明かし、桃子も頷くと「サクラより私の方がどちらかと言うと岩みたいな(笑)」と同意。それにサクラは「本当に!私は岩の影にいるミミズみたいで、ずっと守ってくれてたんです」と語った。さらに桃子は「だからこの可愛い、可愛いサクラをちゃんと映画に撮りたい、フィルムに刻みたい、っていうのは願望だったんです」と優しい笑顔見せた。

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観客からの質問に応えるコーナーで「本作で映される安藤サクラの最も見て欲しいシーンは?」と聞かれた桃子は「予告編でも使われてるんですけど、キッチンで「おはよう」振り返る、顔!フィルムの映画の黄金期の女優にしか出来ない、今は無いあの顔!思い出すだけで泣けてきます」と即答。「あれが母性であり、忘れられた日本人の魂が光る顔だと思いますね」と語ると、サクラも「最初に見たときに、すごい恥ずかしいと思ったけれど、そういう私をこうやって切り取ってくれて本当にありがとうございます」と改めて頷きあった。

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一方サクラはこれからの目標を聞かれ「私、今回の上映のために他の作品のメイキング見てたりしてたんですけど、前の自分を見るとすごく気持ち悪くなって、すごくやだなって思ったんですけど。でもそうやって思えていることは良いことだと思って。そういう風にずっと過ごしていきたいです」と打ち明け、「これから先も、役に出会った時に心が踊ったり、演じることに携わっていたいと思える体であれば良いなと思います」と語った。

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また、桃子は「目標は事情も都合も関係なく、魂をむき出しで生きて、表現して生きたいです」と応え、そんな真っ直ぐな姿にサクラは「やらなくても生きていける中で、子供がいて、この仕事を選ぶ理由がわからない、やらなくて良いと言われた時に貫ける自分の考え方が見つけられない」と思わず姉に本音を吐露。

すると桃子も「ついちょっと前までは、子育てだけがしたい、子供に集中したいって思ってました。 けどいきなり『違う!違ったー!』って思ったらエンジンが切り替わって。サクラも同じように思うと思う」と話し、「自分たちの子供や、さらにその子供たち、未来を担っていく子達が生き抜いていける、ちゃんと先導者になれる人達にしてあげないと。私はそのための道を切り開いていく、棘が刺さろうがジャングルでボロボロになろうが『お母ちゃんが開いてってるぞー!』っていうのを、この業界入ったからには貫いていく」と力強く語った。そんな姉の頼もしい姿にサクラの瞳には涙が。

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さらに桃子は「我が子の顔を見た時にきっとこいつは私と同じように刀を抜くんじゃないか。と思うと『この背中を今、見とけ、もし私が死んでもお前は今見たことを忘れないはずだ』と本当に思っちゃったんですよ。映画ってすごいと思いませんか?みなさんのハートや魂に何かを突っ込んでくる。だからサクラも一緒で、お母ちゃんが命がけで体当たりで、人々のハートに、演技という形で何かを打ち込んでいる。我々が出来ることは観た人の心を開くことだと思う。想像力で魂を解放できる、だからこの仕事についたからには、戦っていくしかない」と話すと、サクラは安心したように頷き「私も戦います!」と宣言、姉妹の絆をしっかりと刻んだ舞台挨拶となった。

第30回東京国際映画祭は2017年10月25⽇(⽔)〜11⽉3⽇(⾦)にわたって六本⽊ヒルズ、EXシアター六本⽊ほか開催

公式サイト:www.tiff-jp.net

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