映画の教科書!名匠・黒澤明の映画の「動き」を分析したビデオエッセイ

名匠・黒澤明の映画の「動き」を研究した、まるで映画の教科書のようなビデオエッセイ『Akira Kurosawa – Composing Movement』を紹介します。8分半の映像の中に、黒澤明作品の「動き」が映画としてどこがどうすごいのか──サンフランシスコ在住の映画エッセイストTony Zhouにより、セリフではなく、俳優の動作とカメラワークだけでストーリーを伝えた黒澤明の手法が分析・解説されています(黒澤明の『七人の侍』と比べると、いかに『アベンジャーズ』が映画としてダメかも解読されています)。日本語字幕あり!

このビデオエッセイの作成者Tony Zhou曰く、映画における「ショットの良し悪し」は人物やカメラの「動き」で決まり、黒澤の映画の全ては「驚くべき映画的な動きに満ちている」のだという。

【黒澤明映画の「動き」の素晴らしい点】

⒈ 画面背景にある「自然(天候)の動き」
自然の動きにより、画が面白くなっていて、例えば、誰も動かない場面でも背後の雨が目を引く。
ロバート・アルトマン「(『羅生門』について)雨はいつだって心を動かすんだ。雨は観客の五感に訴えて、共感を呼び覚ますからね」

⒉「群衆の動き」
黒澤映画にはいつも人々が集まったり、散らばったりするシーンがあることに注目。
「群衆シーンこそ映画の醍醐味」であり、「画面に人を詰め込めば、印象は倍増します」。
4人以上複数人を1ショットに収め、よいリアクションを撮影しているが、しかし黒澤は、大事な場面では「個人の動き」を使う。

⒊ 個人の動き
黒澤映画の魅力の一つは、「誇張された芝居」にある。
例えば、不安な人物は右往左往し、怒りに駆られた人物は立ち上がる。
そのように演出する理由は、「黒澤は俳優に好きな動作をひとつ選ばせ、終始それを繰り返すように指示」することにより、「観客はすぐに役柄を把握できるから」

⒋ カメラの動き
流れるようなカメラワーク。
「黒澤の特徴は、動きにはっきりとした始まりと、中間と、終わりがあること」であり、「カメラの動きだけでもうストーリーになっている」

⒌ カットの動き
自身で編集も行っていた黒澤。「黒澤映画がスムーズなのは動きをカットするから」。
「黒澤はあるシーンを終えるとリズムを変える。たいていは静かな場面で終わらせ、次の瞬間いきなり動きをぶつけてくる」。
このような編集により、観客は「次どうなるか予測がつかないから」、その巧みなリズムに引き込まれる。

このビデオエッセイを通して、Tony Zhouは、
映画とは、黒澤明の作品のように「シーンの意味を考え、動きで表現」すべきだとし、登場人物が感じていることを動きで表現し、内面の感情を背景に反映させる、個人と集団を対比させるなど「動きと感情がぴったり一致することで、真に映画的なシーンが生まれるのです」と解説しています。

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