古川雄輝「8年やってきた役者人生で一番大変だった」マジック初挑戦、北海道で極寒ロケ── 『風の色』インタビュー

古川雄輝
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猟奇的な彼女』『ラブストーリー』のクァク・ジェヨンが監督を務める本作は、流氷の北海道・知床と桜舞い散る東京の2つを舞台に、時空を超えた2組の男女が繰り広げるミステリアスかつ幻想的なラブストーリー。日本をはじめ中国に熱狂的なファンを持つ古川雄輝と、公募オーディションで約1万人の中から選ばれた藤井武美が主演を務め、共演に竹中直人、袴田吉彦、小市慢太郎、中田喜子らが名を連ねる。

突然消えた彼女を探す東京の青年・涼と、北海道でマジシャンとして活躍している自分とそっくりのマジシャン・隆という1人2役に挑戦し、劇中ではMr.マリック監修のもとマジックを披露している古川。本インタビューでは、1人2役に挑戦した心境やスタントなしで行われたマジックシーンの撮影秘話などを伺った。

風の色

──初めて脚本を読んだ時の印象を教えてください。

古川:マジックのシーンが結構出て来たり、1人2役だったり、読んだだけじゃ見えてこない部分が色々ありました。マジックも初めてでしたし、いま自分がどっちのキャラクターなのかを読みつつ…。当時、海外の作品も色々やらさせていただいていたので、そういうなかでクァク・ジェヨン監督の日韓合作で主演をやらせてもらえたのは非常に嬉しく思いますね。

古川雄輝
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──今回1人2役という役柄で、演じる上で苦労した部分はありますか?

古川:1人2役なんですが、ドッペルゲンガーがテーマなので、1人2役というよりも「似た自分がもう1人いる」設定なんです。涼だったらちょっと優しい雰囲気があって、隆だったらマジシャンでキリッとしてるみたいな。それぐらいの差で、性格が圧倒的に違うということではなかったので、難しくはなかったです。切り換えもそんなに大変じゃないし、監督も「そんなに差を付けなくていいよ」って感じだったので、大変ではなかったかな。

風の色

──ドッペルゲンガーを見かけたこととか、「あっ!」って思ったことはありますか?

古川:見かけたことはないですけど、しょっちゅう言われますね(笑)。僕の顔って結構いるみたいで、前もイギリスで仕事している時に、Twitterで「(古川が日本にいないのに)銀座線に乗ってる!」って言われていて。僕の知り合いの、知り合いの人も「友達の古川くんが銀座線にいるよ!」って同じ時期にありましたね。それが日曜の朝とかで、日曜の朝にまず銀座線乗らないから(笑)。たぶん相当僕に似た誰かが銀座線に乗ってたんだと思って(笑)。

──すごいですね!それもタイミングが(笑)。

古川:そうなんですよ!世界に2~3人でしたっけ?ドッペルゲンガーがいるっていうので、そのうちの1人をたまたま誰か見たんだろうなって(笑)。

古川雄輝
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──クァク監督とのタッグはいかがでしたか?

古川:監督は日本語が少しわかるんです。通じない時は、ジェスチャーや通訳さんを通したり。ご飯もよくご一緒させていただいたので、コミュニケーションの面で困ることはなかったですね。「日韓だから」じゃなくて、「クァク監督だから」っていう部分が非常に多かったです。韓国の方は上下関係が厳しいなとは思いました。例えば、アシスタントの人に僕が話しかけたらビックリされちゃって。「主演がアシスタントと話すことはない」みたいです。北海道でずっと撮影していて、スタッフとスタッフが飲み屋でばったり会ったら、必ず韓国人の1番上の人が払ったりとか。日本以上に上下関係がしっかりしている印象を受けましたね。

古川雄輝
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──マジックの練習はどれくらいされたのですか?

古川:マジックの練習に関しては、大体20分前くらいに何をやるかが決まるので、事前にMr.マリックさんやアシスタントさんに相談しておいて、ある程度練習しておくんです。マジックをしないシーンでも、監督から「こういう芝居やって、マジックで何かやってほしい」とか急に演出されることもあったので、それに対応出来るようにある程度身につけて撮影に挑みました。マジシャンは、やり方よりも見せ方が重要なんです。自信なくやっていたらマジシャンっぽく見えない。なので、指の動きとかに気を付けながら演じていましたね。

古川雄輝
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──手の動きがすごくキレイだなと思いました。難しかったマジックはありましたか?

古川:リハ無しで一発本番ばかりでしたね。見てる人のリアクションを生で撮りたいっていう理由だったかららしいんですけど。その中でも難しかったのは、紙の薔薇をつくって、その薔薇を浮かして、燃やしたら本物が出てくるマジック。本編だと、本物の薔薇が出てくるところしか使ってないんですけど、実際ちゃんとマジックをやっていて。確か本番失敗した記憶があるんです。難しいので(笑)。あとカードマジックも難しくて、カードって誰でも出来る仕掛けがあるわけではなく、技術なので本当に練習しないと出来ないんですよね。それが結構大変でした。

風の色

──北海道ロケでの思い出はありますか?過酷だったのでは?

古川:過酷でしたね。氷水とか…。水中でのシーンもほとんど自分でやってるので。北海道の1月・2月に水浴びながら撮影してるので本当に大変で。実際この作品で2週間くらい体調を崩して、1日3時間くらいしか歩けないくらい体調が悪かった時もありました。頭がクラクラして倒れちゃうみたいな、緊張型の偏頭痛みたいになっちゃったんですけど。それくらい体を駆使したので、まぁこれを越えるものはないなってくらい成長したというか、強くなれたというか(笑)。

古川雄輝
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──藤井武美さんとの共演はいかがでしたか?

古川:すごくすごく上手です。色んな女優さんと一緒にやってきましたけど、彼女は感情だけで芝居が出来る状況でいたんです。こういう仕事をしていると、だんだん技術的なものがついてきて上手くこなせるようになるんですが、感情だけで演技をすることは感覚的に忘れていってしまうものなんです。彼女はそれが保てていて、あるシーンでは過呼吸になるくらい感情を持っていける。器用にこなさずに、もう1歩先まで行っちゃう。それが出来る人は少ないと思っていて、一緒にやっていて「これは選ばれるな」と。それって映像を通してではなくて、一緒に仕事をした役者間じゃないと実はあまり理解出来なかったりする部分ではあるんですけど…。今まで色んな役者さんと一緒にやってきましたけど、その中でも「上手いな」っていう感覚はありましたね。

古川雄輝
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──最後に、この作品はどんな人に観て欲しいと思いますか?

古川:まず、“邦画”ではなく“洋画”だと思って観て欲しい。日韓合作にしたことによって、韓国の文化と日本の文化がごちゃ混ぜになってる映画なんです。日本人の感覚だけで観るとわからない部分だったり、韓国の人が観たりすると実はすんなり観れたりっていうシーンが実はすごく多いんですよ。例えば「僕は彼女を愛してます」っていうシーンも、「愛してます」っていう言葉を日本人はあまり使わない。「好きです」とか。でも、外国的に言うと「I LOVE YOU」だからすんなり入るというか。そういう文化の違いがごちゃ混ぜになってる映画だからこそ、ミステリアスな要素がより強く感じられると思うんです。そこにマジックだったり、ドッペルゲンガーだったりが入った上でのラブストーリーだから。日韓合作だからこそ出てる雰囲気が、この映画のすごく特徴的な部分なので。

ラブストーリーで、季節的にもピッタリだと思います。マジック、1人2役、水中撮影など僕が初挑戦したものが非常に多く含まれている映画。僕が8年やってきた役者人生で一番大変で、恐らくこれを越すようなものはないというような映画なので、このインタビューを読んだ上で「このシーンはこうだったんだ」って考えながら観てもらえたら、また面白いかもしれないですね。

古川雄輝

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【応募期間】2018年1月26日(金)〜2月9日(金)終日(応募は終了しました)
【当選人数】3名様
【応募方法】映画ランドアプリをダウンロード→該当するSNS投稿を拡散→応募フォーム入力

映画『風の色』はTOHOシネマズ日本橋ほか全国公開中

【CREDIT】
監督・脚本:クァク・ジェヨン
出演:古川雄輝、藤井武美
主題歌:華原朋美「風の色」
マジック監修:Mr.マリック
公式サイト:https://apie.jp/movie/kazeiro/

(C)「風の色」製作委員会

ヘアメイク/赤塚修二
スタイリスト/五十嵐堂寿

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