第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された映画『寝ても覚めても』。現地へ赴いた東出昌大、唐田えりか、濱口竜介監督のカンヌ滞在記が到着した。
到着時は小雨だったはずがランチ中に大雨…。え?!カンヌってこんなに天気悪いの?!
5月13日(日)の朝に東出昌大と唐田えりかはカンヌ入り。まずはカンヌを散策&下見へ。映画祭の公式グッズショップを見たり、砂浜での上映会場を見た後に、レッドカーペットへ。「明日はここを歩くんだね…」と感慨深く見つめる一行。コンペティション部門の作品が上映される“リュミエー ル”のほか、プレスセンターや記者会見場なども擁する映画祭のメイン会場である“パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ(通称パレ)”を見学後、パレの前にあるカフェのテラスでランチ。すると、急に大雨が!!南 仏と言えば、晴れ渡った空…のイメージだったのに、この洗礼にはびっくり。東出は爆笑!明日のレッドカーペット、天気予報は雨!どうなる?!
監督到着、海外セールスのmk2にてウェルカムミーティング!
午後には監督も到着し、合流して『寝ても覚めても』の海外セールスであるmk2のオフィスへ。カンヌ国際映画祭ではこの会社に様々なことを仕切って頂き、この場に来ることが出来たのだ。既に公開が決まっているフランスの配給会社や今回お世話になるフランス、インターナショナルの宣伝担当にも挨拶。海に面したmk2オフィスの見晴らしのよさは格別!雨も止んで、18時過ぎだというのに明るいカンヌに驚きつつ、シャンパーニュを頂く。
夜はプロデューサーおススメのイタリアンAcceuii Pizzaiola chez Xavier。「カンヌでは美味しいもの食べたいな」と抱負を語る東出。監督は深夜に公式上映の会場であるリュミエールでの上映チェックを行うため、眠ることはできない…。
レッドカーペットはまさかの快晴!公式上映では「Hamaguchi!」の声。
5月14日(月)レッドカーペットと公式上映。天気予報は雨。不安な気持ちの中、レッドカーペットへ向かう。レッドカーペット前で車を降りると快晴の空!!「晴れ女」と噂の唐田えりかの神通力だろうか。監督もタキシード、そして、クリスチャン・ディオールのタキシードに身を包んだ東出昌大の美麗な姿!アルマーニのシースルードレスを纏い、ヴァンクリーフ&アーペルの名作「マジック アルハンブラ」を見につけた唐田えりかは少し大人っぽい印象だがはにかむような笑顔はやはりキュート!中段でカメラに向かい手を振ったあとにレッドカーペットの最後の階段を上る途中、3人に異変が!唐田のドレスにヒールが引っかかって進めない。監督、東出のふたりがかがみこみ、ドレスの裾を直す。東出の見事なエスコートもあり、無事最上段から破顔一笑の3人は抜け渡るような青空にまぶしいばかり。映画の上映が始まると小雨が降っていたカンヌ。晴れていたのはレッドカーペットの間だけという奇跡。
場内に入ると大きな拍手と共にあちこちから「Hamaguchi!!」の声がかかる。5月2日からフランスでは『ハッピーアワー』が上映されており、大ヒット中とのこと。それもあって、濱口監督作品の最新作上映への大きな期待を感じる。場内には、パルムドール受賞経験もあるカンヌ映画祭の常連で、今年のコンペティション部門にも新作が出品されているヌリ・ビルゲ・ ジェイラン監督の姿も!期待の新人監督濱口竜介をライバルとして視察!?そして上映開始…気に入らない作品ならば、すぐに席を立ってしまうことで有名な、辛口なカンヌの観客だが席を立つ者は皆無!「こういうシーンで笑うのか」など学ぶことも多い上映だった。
上映後、大きな拍手と「Beautiful film!」の声と、二階席からも乗りだし拍手を贈ってくれる方々の笑顔に感極まり、監督はふたりの役者を抱きしめ、唐田は泣き崩れんばかりに顔を覆う。そんな唐田を東出が抱き寄せて労う映画的な会場から退出する一行に向かってしきりに「Bravo!」を連発する人物が。映画祭スタッフがなぜか列に加わるように促す。それは…西島秀俊主演作『CUT』で知られるアミール・ナデリ監督!会場を出た濱口監督に「ハマグチさん!Give me a hug!」と叫び熱い抱擁を交わす。いきなり、映画祭座敷童の心も鷲掴みにしている!
上映終了後は日本メディア向けの囲み取材を行い、その様子は数々のメディアで紹介された。また、フランスの媒体を中心に海外のメディアのインタビューなどにも対応。写真撮影もインタビューカット撮らず、アーティスティックなものが多い。すぐに掲載されたル・モンド紙の写真のクオリティに一同感嘆!レッドカーペット、公式上映、囲み取材、海外媒体取材と目まぐるしい一日の公式行事が終了した。取材場所となったテラスを仕切る若い男性がスタッフに声をかけてくれた。「この映画、観たよ!今年のコンペの中で一番好きな作品なんだ」こんな交流は本当に嬉しい。
アフターパーティーでは海外配給会社や映画関係者が祝福!お祝いは大量の肉?!
上映後はmk2でパーティー。多くの来場者でごったかえす中、3人へ感想を伝える者が後を絶たない。21:00を超え、さすがに暗くなったあたりで一行はパーティーを抜け出し、夕食へ。ふらりと入った店Le Tube Restaurant Cannesで「生ハム食べたい!」「肉食べたい!」と緊張の糸が切れたのか欲望が露わに。やってきた肉は…超絶ボリューム!店内に生歌を歌うシンガーがおり、プロデューサーがジョン・レノンの「イマジン」をリクエスト。当然の流れでマイクを渡されみんなで熱唱。監督はマイケル・ジャクソン「ビリー・ジーン」をリクエストし、ウェイトレスのお姉さんによるダンスパフォーマンスも満喫!
「カンヌなのにスナック状態!」とみんなで爆笑した、カンヌの熱い夜。『寝ても覚めても』撮影中、こんな夜がくるなんて誰が想像できただろうか!
フォトコールはまたしても快晴!ダイノジ大谷さんとばったり!街中でのビジョンにもドッキリ!
5月15日(火)この日は取材、フォトコール、記者会見。今日も天気予報は微妙だが、何故だか晴れ渡っている。朝からTV取材をこなす東出と濱口監督。午後は3人で合流してフォトコールへ。これがまた恐ろしいほどの快晴を呼ぶ。唐田えりかの晴れ女力、恐るべし!フォトコールに入る前に昨日の上映を観た一般客らしき人々が控え場所にカメラを構えている。唐田がSacaiのドレスでくるっと回ると「おお!」と歓声が沸く。如何に『寝ても覚めても』を温かく受け入れてくれたのかが分かる時間だ。フォトコールではカメラマンたちから「LaLaLa…!」の大合唱!実はこれ、「ここ、ここ、ここ!」のニュアンスで「こっちを見て!」と伝えていたのだ。すぐに何かはわかるけれども、「シャシンヲトリマショウ!」というカタコトに日本語とこの「ラララ!」にはほっこり。自然に笑みがこぼれる。マルタン・マルジェラのブラックスーツを着こなす東出はさすが元パリコレモデル、絵になる。
その後、記者会見では「日本のヌーベルヴァーグがやってきた」という言葉と共に「この映画に流れる自然体、軽やかさはどこからくるのか?」 と監督、俳優共に回答。会見後も、日本とフランスをはじめとする海外媒体の取材をこなした。パレを出ようとしたところでダイノジの大谷ノブ彦さんにばったり!ホテルへ戻る途中、街中にいくつもあるビジョンにフォトコールと会見の模様が流れ、ドキッ!驚きの溢れるカンヌ。
夜は映画祭主催のディナーへ。ディナー前、カンヌ映画祭の代表補佐であるクリスチャン・ジュンヌが挨拶にやってきた。映画祭ナンバー2の位置にいる彼は『寝ても覚めても』に惚れこんでおり、選定のために鑑賞後も、どうしてももう一度観たくなって個人的にまた観たというほどの気に入っているという嬉しい言葉を頂く!海の見える特設レストランで 花火も打ち上げられるという趣向満点なディナーに東出、唐田もテンションMAX!堪能したのだった。
3人最後の最後の夜は海辺の町カンヌらしく、海鮮満喫!
翌日、監督は終日アメリカ、レバノン、エジプト、ロシアなど、世界中のマスコミから取材を受けた。初カンヌでコンペ選出とあって、世界中からの注目度の高さを感じさせられた。夜はLe Caveau 30で3人揃う最後の夕食を囲む。ムール貝や牡蠣、サーモンなど地元料理が食べられる店。店内を仕切るおじさまはせっかちで、笑わせてくれる。映画談義に花を咲かせ、「やっぱり映画って最高だなー!」と東出。監督の話の面白さに、「濱口監督が面白いから、監督の映画も面白いのかー!」と突然気づく唐田。みんなで食卓を囲み、楽しく3人揃うカンヌ最後の夜は更けていった…。
俳優ふたりが帰ったあとも続く!濱口監督のカンヌ滞在
俳優たちが去った後も、監督の取材は続いた。取材後に、アイス乗せワッフルを頬張る監督。「カンヌで、甘いものとエスプレッソの組み合わせは最高だと学びました」とほっこり。会見やインタビューではスマートな印象の監督の別の一面が垣間見える。公式行事、取材をこなしたあとは、映画鑑賞三昧へ突入!映画を見に行った会場で「大ファンです!一緒に写真撮ってください!」とせがまれるなど、既にしっかり映画ファンの心を掴んだ監督。世界中に濱口ファンがいることを感じさせた。
本作は、忘れられないかつての恋人と、その恋人と同じ顔をした現在の恋人との間で揺れ動く女性の年月を描くラブストーリー。主演を東出昌大が務め、ヒロインの唐田えりかをはじめ、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、渡辺大知、仲本工事、
映画『寝ても覚めても』は9月1日(土)より全国公開
©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会