平成仮面ライダーシリーズ第19作目で、シリーズ史上最高のIQを誇る“天才物理学者”が仮面ライダーに変身する「仮面ライダービルド」(テレビ朝日系毎週日曜午前9:00~)。初の単独映画であり、3つの国の対立で起きたライダーウォーズ(戦争)が終結した世界が描かれる『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』が8月4日(土)より大ヒット公開中だ。
映画ランドNEWSでは、仮面ライダービルド/桐生戦兎を演じる犬飼貴丈をはじめ、仮面ライダークローズ/万丈龍我役の赤楚衛二、仮面ライダーグリス/猿渡一海役の武田航平、仮面ライダーローグ/氷室幻徳役の水上剣星に、1年間をともにしてきたテレビシリーズを振り返りながら、劇場版の魅力や撮影秘話を伺った。
──それぞれ“仮面ライダー”を1年間演じてきて、改めて今のお気持ちをお聞かせいただけますか?
犬飼:「もう1年か…」というのと、「やっと1年か…」という、思い返せばすごく不思議な気持ちです。長いようで短い、短いようで長いような。毎日毎日が詰まっていたからこそ感じられることなのかなと思います。それって、ものすごくありがたいことですよね。
武田:僕は(テレビシリーズが)3ヶ月経ってからの参加だったんですが、それでも“1年間一緒にやってきた”と言えるような環境を、主演の貴丈くんをはじめ、赤楚くん、剣星さんが作ってくれた。そう言える関係になれたことを嬉しく思います。「やりきったぞ!」という達成感はものすごくありますね。映画が公開されて、テレビシリーズのオンエアも終えた時に、より「やりきったぞ!」と思えることを確信できるくらい充実していました。
赤楚:「もう1年か…」と思うと信じられないです。(テレビシリーズの)撮影自体も、あと3日くらいでアップなんですよね(インタビューを実施したのは7月某日)。「あと3日で終わるのか!」ってくらい、未だに信じられない気持ちではありますが、今まで培ってきたものは本当に大切なことばかりで…。皆さんと出会えたこと、1年間役を演じさせていただけたこと、本当に感謝しています。
水上:あっちゃん(犬飼)と一緒で、長いようで短いし、短いようで長いような、そんなことを感じています。演じる前から「1年やる」というのはわかっていたので、“後悔のないように”と心がけてやってきました。気づけば、「もうここまで来ちゃったか…」という寂しさがあります。もちろん達成感もあるので、すごく複雑な気持ちです。
──テレビシリーズの集大成であり、今回が初の単独主演映画となる『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』の見どころを教えていただけますか?
犬飼:見どころとしては、北九州で3,000人のエキストラさんが参加してくださったシーンですね(「仮面ライダーシリーズ」史上最大級の規模)。大規模なロケを行わせていただきました。映画として、すごく良いスパイスになっていると思います。
──赤楚さんも大規模なロケに参加されて、実際にエキストラの方々の熱気に触れてどう思われましたか?
赤楚:仮面ライダー作品には歴史もあって、だからこそ皆さん愛してくださっているんだなと改めて感じました。ただ、お芝居に関しては洗脳されていたので、特に絡むことなく、ずっと立っているだけだったんです(笑)。だから、もっと混ざりたかったですね!
──武田さんが思う今作の見どころは?
武田:やはり大規模な撮影で、ものすごいスケール感なんです。ドローンを使った撮影があって、おかげで斬新なカットがあったり、予告でも流れていますが、ビルドが追いかけ回されている画とかも面白いですよね。上堀内佳寿也監督の考えていることが、『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイド with レジェンドライダー』からさらにパワーアップした映像・演出に仕上がっていると思います。エキストラ3,000人の方々だったり、たくさんの人の協力で、かなり面白い映像になっています。
──水上さんは?
水上:みんなが言ったことはもちろんなんですが、やっぱり上堀内さんの演出力がすごく詰まっていると思います。撮っている段階から、「面白くなるな」と感じていて、特に画的な部分ですごく迫力があるだろうなと現場にいて伝わってきました。
武田:剣星さんが現場でおっしゃってました!「これ絶対面白くなるね!」って。なかなか(上堀内監督の演出が)斬新ですよね。
水上:そう。あと、エキストラさんが大勢参加してくださったのも大きかったですね。
──これまで“主演”という重責を担ってきた犬飼さんですが、改めて苦労した点、その中で最も得たものが大きかったのは何ですか?
犬飼:得たものとして一番大きかったのは、間近で先輩やスタッフさんの“プロの仕事”を1年間を通して見て来れたこと。自分の中で、すごく良い経験になりました。
──赤楚さん、武田さん、水上さんから見た“犬飼さんの成長”や主演ぶりはいかがでしたか?
武田:以前から犬飼くんのことは共演経験もあったので知っていました。僕が(シリーズの途中から)現場に入った頃には、すでに先頭を走っていて「今こういう状況で撮影がこういう風にいつも進んでいくので…」「こういう時はこうした方がいいですよ!」とか、僕の方が先輩なので、上手いこと立ててくれて。さりげないところの気遣いをしながら全員を引っ張っていく姿に、もう余計なことは言わずに「貴丈についていけばいいんだな」と思いました。それを一貫して貴丈がやりきったので、敬意を持って“素晴らしいな”という印象です。
赤楚:冬映画(『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイド with レジェンドライダー』)に関しては、歴代ライダーに負けていないくらいの存在感がありました。(テレビシリーズを含め)主役として1年間頑張っている姿を見て、僕には、その重さ、覚悟はわからないですが、1年間ちゃんとやってきたことは本当にすごいなと。尊敬します!
水上:“成長”というより、もともと素晴らしい人間性だった。第1話から一緒にやっていますが、“座長としての立ち位置”をその頃から極めていた印象があります。それを1年間ちゃんと全うしてくれたから、僕は敬意を払って、恥じないように自分の役に集中できた。むしろ、学ばせてもらったことの方が大きい気がします。
犬飼:(誇らしげな表情で)そうですね。
赤楚・武田・水上:(笑)。
──ビルド×クローズのコンビ感も劇場版含め見どころの一つだと思いますが、お互いに役を振り返ってみていかがですか?
犬飼:20歳を過ぎて、2人とも大人っていうこともあったので、若いと些細なことで喧嘩になったりすることもあるかと思いますが、そういったこともなく、お互い気遣うところは気遣って。程よい距離感でやってこれたのかなと思います。
赤楚:戦兎と万丈の話をすると、意味のないシーンでも、ちょっとアホなことをやったり(笑)。その一体感というか。それこそ高岩(成二)さんと永徳さん(スーツアクター)が面白いことをいろいろとやってくださって、(戦兎と万丈)2人のコンビ感をよりよくしてくださったなと思います。
──犬飼さんにお聞きしたいのですが、先輩にあたる武田さん、水上さんとの共演はいかがでしたか?どこか刺激を受けたりされたのでしょうか?
犬飼:終始、本当に“見本になる先輩”だったなと。
武田・水上:ホントか!?(笑)。
武田:たまにわかんないんですよね!本気なのか、ふざけてるのか(笑)。
犬飼:ホントです!後輩の気持ちを汲んでくださる先輩ですし、的確なアドバイスをくれたり、仕事以外での付き合い方など、学ばせていただくことが本当に多くて。将来は、この2人のような先輩になれたらいいなと思います!
武田:ありがとうございます!(照)。でも、嬉しいですよ。こうやって言ってくれて。正直なところ僕も剣星さんも、年下の若い俳優さんと、こんなに付き合ったことはなかったので、素敵な2人(犬飼と赤楚)が本当に大好きなんです。こんな根が良い若い俳優さんは、そういないと思うので、そういう2人に出会えたことは“逆に僕らが運が良かった”というか。
水上:うんうん。
武田:逆にこっちが感謝したいくらいです。一緒にご飯食べに行く時も、気兼ねなく「行こうよ!」って言えたり、そういう環境を見えないところで上手く気遣ってやってくれてたんです。こっちが“ありがとう”と思うことが多いですね。
犬飼:(誇らしげな表情で)まぁそうですね。
赤楚・武田・水上:(笑)。
武田:「そんなことないですよ!」くらい言ってくれよ(笑)。
──普段お食事など行かれた時は、どんな雰囲気なんですか?
犬飼:男子校の休み時間のような感じですね!文字にするのもおこがましいレベルの、言い方が悪いかもしれませんが“同級生同士”のような(笑)。真面目な話とかもあまりしないですし、本当に近い“身内感”というか、そんな会話が多いですね。
武田:もはや女の子の話なんてしないくらい、ただ単に“楽しい”みたいな。もちろん仕事は真面目ですが、普通に喋っているだけでケラケラ笑ったり。信頼しあっているからこそ、仕事の話は特にせず「仕事は仕事で」みたいな。
──水上さん演じる氷室幻徳の“独特なファッションセンス”が放送回を追う毎に話題を呼んでいますが、改めて演じてみての感想をいただけますか?
水上:正直なことを言えば、“私服がすごいダサい”っていうので、全身でやるときは振り切ってやっていました(笑)。全然抵抗はないです。ただ、ストーリーの邪魔をしたくないことが根本にあって(笑)。それでスタッフと話し合ったりもしました(笑)。
犬飼・赤楚・武田:(笑)。
──ファンから何か反響はありましたか?
水上:苦情の連絡がすごいみたいですね(笑)。
武田:「真面目な話なのに…」みたいな感じですか?
赤楚:「“幻徳像”が全部ぶっ壊れました」って。本当に愛があるからこその苦情ですよね。
武田:あ〜。その逆で子供とかは「幻徳おもしろ〜い!」ってなったと思いますけどね。そこって難しいですよね。その中で剣星さんは(ストーリーの)“流れが壊れないか”をめちゃくちゃ気にして苦労してお芝居していましたよ。(実際に)それが上手くいってるから“妙技”ですよ!
水上:(笑)。
──武田さんは「ダークキバ」「イクサ」と10年前にも仮面ライダーに変身していますが、自分だけの仮面ライダーに変身するのは“グリス”が初ですよね。改めて“仮面ライダー”への想いが強くなったのかなとは思いますが、その辺りいかがでしょうか?
武田:おっしゃる通りです。仮面ライダーのすごいところは、日本全国の方々、ましてや世界各国にまで広まっている“かっこいいヒーロー”ですから。改めて向き合うことができて誇りに思っています。特撮って、子供向けのようですが、脚本家の方が非常に男くさいものを書くプロフェッショナルで、話としても非常に面白いですし、それを堂々と“ヒーローとして”演じられることは本当に特別なこと。選ばれた歴代の方々は、メジャーシーンで活躍している方ばかりですから。胸を張って「仮面ライダーだぞ!」と言っていいんだと、改めて認識することができました。僕が今までやってきたお芝居の中で、間違いなく一番だと思います。やってよかったです!
──最後に公開を待つファンへメッセージをお願いします。
犬飼:“ビルド”としての集大成、僕達の全てが詰まっている映画です。ぜひ見逃さずに劇場でお楽しみください。(テレビシリーズ)本編に関しては、終盤になるにつれて話が加速していき、より話が濃密になっていくので、一つ一つ噛み砕くように、そこの“厚さ”を味わってほしいです!
劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
取材:小宮駿貴/撮影:ナカムラヨシノーブ