原作書籍の累計発行部数260万部を突破した住野よるの小説デビュー作、浜辺美波と北村匠海のW主演で2017年7月に公開され実写映画も大ヒットした「君の膵臓をたべたい」。劇場アニメーション作品としてスクリーンに登場する今作では、他人に興味をもたず、いつもひとりで本を読んでいる高校生「僕」役に高杉真宙、膵臓に病を抱えるも、天真爛漫な性格でハツラツと日常を過ごすヒロイン・山内桜良役にLynnが声を当てる。
映画ランドNEWSでは、主演声優を務める高杉真宙に、初声優にチャレンジした今作への想い、アニメとの出会いや“自身の成長”を振り返ってもらった。
──声優のお仕事を初めて体験してみて、難しかったことや大変だったことはありますか?
高杉:アニメとか漫画、ゲームが大好きなので、声優さんのことを“すごいな”と思いつつも何気なく見ていました。だからこそ、自分がやってみると「自分がやってきたお芝居と本当に別物なんだな」っていうのを実感することができましたね。自分の中では、こうやってやりたいなっていう理想はもちろんあるんですけど、そこに行くまでの技術だったりとか、いろいろなものが足りなすぎて…。理想に簡単には近付けないのはわかっているんですけど、明らかに“違う”というのがわかった瞬間ではありました。
──アニメや漫画が好きだからこそ、気をつけた部分だったり、参考にされたことはありますか?
高杉:(アニメや漫画の素晴らしさを知っているからこそ、どこに気をつけたらいいか)本当にわからなかったですね。明らかに何かは違うけど、その違いがわからないから、“どんな風に何を気をつければいいかわからない”っていうのが1番怖いなと思って。だからこそ、「自分ができることだけをひたすらやろう」と思ってやらせていただきました。
──実際にアニメが作られていく現場を見ていかがでしたか?やってみたいポジションなどありましたか?
高杉:マイクがあって、画面があって、それにあわせて喋るって感じだったんですけど、自分がいろいろ読んできた映像制作の本だったりとか、そのままの光景でした。自分がもっと詳しく知りたい部分とか、僕が普段やっている実写の方と比べると、アニメの方が監督が多いんですよ。音響監督とか、美術監督だったりとか、作画監督とか…いっぱいあるんですけど、そういう知らない部分もたくさん知れました。だからこそ、もっと声優の仕事もやってみたいなって思いました。けど、制作部分も、よくアニメを見ているからこそ興味があるんです。出来るのかはわからないですけど、「そちら側(制作側)で見てみたいな」というのもありますね。どんな風に出来上がっていくのかも興味ありますし。もちろん、映画の実写の方も興味あるんですよ。
──それは作り手として?
高杉:そうですね。演者で何も知らないっていうのもすごく変なことではあるので。本当に何でも話せる監督と、1から“演者じゃなくて”制作からいつか入ってみたいなって思ってはいます。別に作りたいわけではないんですけど(笑)。作る側より、演じる側の方が好きなので。ただ、どんな工程で出来上がっているのかっていうことを一緒に見ていきたい。それを知ることで、もっと身近になるのかなと思います。実際は、照明部、録音部とか、俳優部も同じはずなんですけど、区切られている感じはあるので。だからこそ、もっと制作の部分は知ってみたいなって思うんです。
──「僕」というキャラクターに感情移入できる部分はありましたか?
高杉:ありました。かなりこじらせているので(笑)。理解できるところはたくさんあったと思いますね。僕も「僕」までではないんですけど、“人との距離感”というものを大事にしたい人ではあります。自分の中の見せたい部分と見せたくない部分もハッキリしていると思います。「僕」の距離の取り方っていうのは大げさではありますが、わかる部分はたくさんありました。本の中にしか興味が無いっていうのも、僕はそこまでではないですけど、本も小説も、ゲームも漫画も好きですし、現実ではない世界ではあるので。やっぱり僕はそっちの世界の方が好きですし、そっちに没頭している時間の方が僕にとって幸せなんです。そういう部分で似ている考え方が結構ありました。あと、ずっと自分と戦っているっていうのも「なんかわかるなー」って。この仕事をしていると、必然的にそうなっていくものなんですが(笑)。そういうところも理解して、わかる部分はたくさんありました。
──シンパシーを感じられる役どころであったと思いますが、人とのコミュニケーションで“いちばん大切にしていること”はありますか?
高杉:最近はだいぶ落ち着きましたけど、人見知りな方なので、だからこそ“人との距離感”が気になります。
──人に話かけられたら“笑顔で応える”とか?
高杉:そうですね!笑顔ですよ!あとは、人の話をちゃんと聞くとか(笑)。
──アフレコ中に苦労したエピソードなどはありますか?
高杉:本当にやりたい仕事で、夢の一つだったので本当に嬉しくて。“この作品に出会えてよかったな”って改めて思います。演じるときは、やはり大きな作品なので緊張していました。何かをやり遂げたい時って、やっぱり緊張すると思うんです。何を頑張ったら自分のレベルが上がるのかわからなかった状態だったので、自分の中で久々に少し逃げ出したくなるお仕事ではありましたね。「明日が来なければいいな」と思ったりもしてました(笑)。でも、現実逃避も勿体ないので、そう思う時間の中で「僕」のことを理解して、寝る時も考えるくらい「僕」のことを考えていました。
──誰かに相談したり、アドバイスを求めたりはしなかったんですか?
高杉:僕はあまりしないです。ただ、友達が急に「近くに居るから」って僕が仕事している時に来た際にはパラッと話しました。その時は「自分の理想はこうだけど近付けてない」って話をしたら、“高杉真宙にオファーしたんだから、自分が思うようにやれば”って話してくれて。安心材料になりましたね。
──桜良のように“死ぬまでにやりたいことリスト”をつくるとしたら、高杉さんなら何をリストアップしますか?
高杉:意外とないんですよね!意外と後悔ないんです(笑)。“今日死にます!”ってなったら「あぁ、そっか」ってなるんじゃないかな。ただ、「孫の顔見たかったな〜」くらいですかね(笑)。ホントそれくらいです!多分、毎日必死に生きてるからなんだろうなぁ(笑)。
──2018年も既に6本の映画に出られていますが、振り返ってみて“自身の成長”を感じることはありますか?
高杉:20歳以降は、なんとなく1年が早い感じがしていて。だから「1年は大事にしないとなー」って感じてから、もう22歳になったんですけど(笑)。本当に今年は“自分の中に無いものを作り出さなきゃいけない瞬間が多かった”ですし、今回みたいに夢の一つを叶えることができたり、新しくいろんな人に出会って、考えなきゃいけないことも増えたので、そういう意味でも仕事というより精神的な部分で一つずつ成長してるのかなって思ったりしてますね。
──今回、“声で感情を現す”という仕事をして、その後のお仕事にも活かせるようなところはありましたか?
高杉:本当に別モノな気がしますね。実写の方は“表情から作って声ができる”と思っていて。嬉しい顔をしたら嬉しい声になると思うし、怒った顔をすれば怒った声になる。だから、あまりお芝居の中で“声のお芝居”ってつけないんですよね。キャラクターを作る上では、つけることもあるんですけど。高くしたり、低くしたり。逆に、声だけのお仕事になると、“声だけで感情を伝えないといけない”。今回は特に、無表情で、声も感情の起伏も激しくない役でした。だからこそ、やりやすい部分もありましたし、一方で難しいところもたくさんありました。声でどのくらいの表現をして「僕」を伝えていけば良いのかなって。細かい部分で「こう出来たらいいな」って思うことはたくさんありましたけど、どれくらい(「僕」の感情が)伝わっているかは自分では判断できないです。
──すごく伝わってきましたよ!
高杉:ホントですか(笑)ありがとうございます!
──今回の経験を経て「こういう役の声をやってみたい」とか、そんな想いは生まれましたか?
高杉:これから自分がどれくらい出来るかわからないですけど、声のお芝居だったら何でもやりたいなって思います。いろいろ挑戦して、もっともっと楽しんでやりたいです。今回やってみて思ったのは、大変でしたけど、結果的に楽しんでやることができたので、お芝居どうこうというよりは、“純粋に楽しんでやることができた”ので。もっといろんなことを見て聞いて演じれば、もっと楽しくなるんじゃないかなって。機会があればいいなって思いますね。
──桜良と「僕」の関係性について、どう感じながら声を当てていましたか?
高杉:映像を見た時に、友達なのか恋人なのかわからない“あの距離感”だからこそ違った感情になるのかなって思ったんです。でも、その距離感を生むのは、「僕」の性格の中心にあるもの、人に興味が無いっていうのと、基本的に怖がりな子っていうのがあって。その怖がりは、人に傷つけられるのが怖いから人に興味が無い。だから、自分の中で完結する小説に執着していると思うんです。自分の中にあるものが世界の全てである。桜良に興味が出ることが、小説の中に無い桜良の考え方に惹かれている理由なんだと感じましたね。近付きすぎると、寿命があるから自分も傷つく。この距離感が“友達にも恋人にもなれない距離感”なんですよね。
──高杉さんが、もし「僕」の立場だったらどうしますか?
高杉:もし恋人になっていたら、あの結末になっていないかも。ハッピーエンドに終わる方法が自分の中で見つけられたらいいなって思います。
──好きなシーンはありますか?
高杉:ずっと楽しみだったのが花火のシーン。すごい素敵だなって思った瞬間だったんですよ。好きな言葉は、桜良の病院での「自分は他の人によって作られている」っていうセリフがすごく好きで。あの言葉は、“自分自身と戦っている”ことがよく表れてるなって。人の言葉とか考え方、意見によって自分が出来ていることを、その言葉で改めて気付かされました。
──学生時代に自分を変えてくれるような出会いはありましたか?
高杉:まず一つはアニメですね(笑)。本当にそうなんですよね。東京に中学2年生の時に出て来て、友達を作ろうと思っても出来なかったんです。何かに反抗してたんでしょうね(笑)。ずっと1人で机で寝ていたから。アニメに出会って、アニメの話をするようになって友達ができたんですよ。アニメに出会えて良かったなって改めて思いましたね。高校に行ってから出来た友達で、本当に仲が良い友達が2人いて。その2人に出会えて、本当に3人とも考え方がバラバラでタイプも違うんですけど「今後ずっと一生友達でいるためにどうしようか」って話をするくらい仲が良いんです(笑)。
──自分の中で支えになっているもの、新しいことをはじめる時の原動力になるものって何かありますか?
高杉:いまは単純に“楽しい”だけでやってるんです。それだけが原動力なところはありますね。楽しくなかったらやってないと思います。キツいこともたくさんあるし、逃げ出したくなる時ももちろんあるんですけど、それも全て楽しいなって思える状況を作っていきたいです。
──劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』とあわせて観るとオススメだと思う作品はありますか?
高杉:牛嶋新一郎監督はもともとアクションがすごく多い監督で、「自分はこういう作品は初めてだ」っておっしゃっていて。監督のおかげで、細かいお芝居だったりとか、自分の中の「僕」というキャラクターを構成する上でも、監督と話し合って作りました。監督が携わったアニメ「ワンパンマン」とか、逆にあわせて観てみると面白いのかなって思います。
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劇場アニメ『#君の膵臓をたべたい』高杉真宙インタビュー|“夢だった”初のアニメ声優「この作品に出会えてよかった」想い告白 @MahiroTakasugi_ @kimisui_anime #高杉真宙 #キミスイ
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— 映画ランド (@eigaland) 2018年8月29日
劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』は9月1日(土)より全国公開
(C)住野よる/双葉社 (C)君の膵臓をたべたい アニメフィルムパートナーズ
取材:矢部紗耶香/写真:小宮駿貴