森下典子によるエッセイを黒木華主演で映画化した『日日是好日』が10月6日(土)、10月7日(日)、10月8日(月・祝)の3日間に限り先行上映されることがわかった。
原作は著者・森下典子が街の茶道教室に通い続けた約25年に渡る日々を綴ったエッセイ『日日是好日 –「お茶」が教えてくれた15のしあわせ–』。大学生の典子が、就職につまずき、失恋や大切な人の死という悲しみの中で、「お茶」を通して季節を五感で味わう歓びから「いま、生きている!」と実感していくさまを描く。
主演は『小さいおうち』『母と暮せば』で2年連続日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した黒木華。共演に樹木希林、多部未華子が名を連ねる。監督・脚本を『まほろ駅前狂騒曲』『セトウツミ』などで知られる大森立嗣が務める。
本作は、9月15日に逝去された樹木希林さん(享年75)が、女優人生で初めて“茶道の先生”(武田先生役)を演じた映画。本作において“影の主役”とも言えるお茶室は、様々な季節を表現しながら、約20年間に渡るドラマの時を刻む、本作の最も重要な舞台だ。その空間は、お茶室の主人である武田先生を演じた樹木希林さんによる“女優の域を超えたこだわり”と、“本作に対する深い愛情”によって命を吹き込まれた。
お茶室のロケーションセットは、樹木希林さんが推薦された民家を改築して建てられ、お茶室内に掲げられている「日日是好日」の額の書は、樹木希林さんのアイデアにより、撮影当時まだ小学生だった女生徒によって書かれた。そして、主演の黒木華や多部未華子が演じる生徒役の成長を温かく見つめる眼差しや、シーンごとの役割を様々なアプローチで演じる表現力により、映画『日日是好日』は、観客までもが“樹木希林先生”の愛によって包み込まれる映画へと昇華した。
9月15日の逝去が報じられて以降、今もなお、樹木希林さんへの惜別の念が絶えない。映画本編で樹木希林さん演じる武田先生に、このようなセリフがある。正月に武田先生が生徒一同へ挨拶をするシーンのセリフ。
「こうしてまた初釜がやってきて、毎年毎年、同じことの繰り返しなんですけど。でも、私、最近思うんですよ。こうして毎年、同じことができることが幸せなんだって」
世の中には「すぐわかるものと」と、「すぐわからないもの」がある。本作は、凄まじい速度で目まぐるしく移りゆく現代において、その「すぐわからないもの」こそが大切であること、それこそが、人生を豊かにする可能性を生み出すことに、茶道を通じて肉薄する。生きることを楽しむ天才のような方であった樹木希林さんは、本作にも様々なインスピレーションをもたらした。最後の最後までその生を全うした女優・樹木希林の躍動を、いち早く観たいという多数の声から先行上映が決断された。
映画『日日是好日』は10月13日(土)より全国公開
©2018「日日是好日」製作委員会