沼田真佑の原作「影裏」を大友啓史監督が映画化。キャストに綾野剛×松田龍平を迎え、2020年に公開されることがわかった。
2017年文學界新人賞を受賞、同年第157回芥川賞を受賞した沼田真佑『影裏』(文藝春秋)。高い技巧と繊細で美しい文章の交差で文壇を驚愕させ、人間の心の裏側や、現代社会における繊細なテーマを描いた純文学の傑作である本作の映画化が決定。
監督は、『るろうに剣心』シリーズ、『ミュージアム』『3月のライオン』などで知られる大友啓史。多様な作品を次々に送り出し続けている監督が、再び濃密な人間ドラマという自らの原点へと回帰し、自身が生まれ育った岩手県を舞台にしたヒューマンミステリーに挑む。綾野剛、松田龍平は今作が初共演となる。撮影は今年7月・8月に原作の舞台でもある岩手県にてオールロケで行われた。
綾野剛 コメント
これほど愛おしく苦しく刹那な人を生きたことがありません。
私の中で静かに生きていた感情を、今野秋一は呼び覚ましてくれました。
そして日浅は、今野の中で生きる微かな影裏を見つけてくれた。そして照らしてくれた。
私はあなたを忘れません。
影裏で生きる全ての人々に出会えた事、大友監督の眼差し、各部署の愛、松田龍平さんが日浅であったからこそ、私は私で居られた。心から感謝します。
松田龍平 コメント
大友組のもと、「影裏」で日浅を演じました。
表があればもちろん裏もあって。
大抵の人は裏は見せないもので。
人によっては裏表なんてものは大して差がないのかもしれませんが。
まだワンシーンだけ撮影が残っていて、終わってないのですが、どんな映画になるのか、とても楽しみです。
大友啓史監督 コメント
原作を読んだ時、静かな文章と行間に宿る巨大なエモーションを感じ、すぐに映像化したいと思いました。震災以前、震災以降。変わらないものと変わりゆくもの。東京オリンピックの熱狂と喧騒に追いやられる前に、寡黙な東北人の身体の奥底に潜む感情に、真正面から触れておきたい。熱烈に「撮りたかった」二人の俳優、綾野剛、松田龍平両氏との地元・盛岡での濃密な撮影は、まるで東北の短い夏のお祭りのように、強烈に脳裏に沁みついています。良い作品に仕上げたいと思います。
映画『影裏』は2020年全国公開