「桐島、部活やめるってよ」で知られる小説家・朝井リョウの第2作目となる同名青春小説を実写映画化した映画『チア男子!!』のBlu-ray&DVDが9月26日(木)にリリースされる。
物語は、道場の長男として幼い頃から柔道を続けてきた大学1年のハルが、親友のカズとともに男子チアチームの結成をめざす青春物語。横浜流星が男子チアの世界へ飛び込むハルを、中尾暢樹が男子チアチーム「BREAKERS」の発起人・カズを演じるほか、浅香航大、瀬戸利樹、岩谷翔吾、菅原健、小平大智らが共演。監督を、『帝一の國』『恋は雨上がりのように』のスピンオフドラマなどを手がける弱冠27歳の新星・風間太樹が務める。
インタビューでは、男子チアチーム「BREAKERS」として一致団結し切磋琢磨していく役どころを演じる横浜流星×中尾暢樹×瀬戸利樹×岩谷翔吾×菅原健×小平大智×浅香航大の7名に、3ヵ月を超える徹底的な練習で本格パフォーマンスに挑んだ撮影時のエピソードや、作品への熱い想い入れを伺った(取材・文:矢部紗耶香/撮影:ナカムラヨシノーブ)。
──今回クランクイン前に3ヶ月の練習期間があったとのことですが、練習でハードルを感じた所はありましたか?
浅香:やっぱり、流星のバックフリップですかね。「それぞれが」というより、みんなで1つの大技を決めるっていうのは、やっぱり危険も伴うし、1つの目標としてやりました。
横浜:みんなで飛ばしてくれるんですけど、体感的に結構高いんですよ。
岩谷:最初は「これ本当にやるのか!?」って思ってたんですけど、信頼関係の中で徐々に徐々に出来上がってきて。
浅香:なんか見てると簡単そうなんだけどね(笑)。本当に難しくて・・・。
──1人だけチア経験者という役を演じた、瀬戸さんはいかがですか?
瀬戸:やっぱり・・・質じゃないですかね?
一同:し、質!?(笑)。
瀬戸:ロンダートバク転とかの。チア経験者の役だったので、やっぱりキレイに見せないといけないというのは大変でした。
──作中でも出てくるように、誰かの言葉によって動かされたエピソードはありますか?
中尾:練習期間が3ヶ月間あったんですけど、一緒に練習していることによって、すごく刺激をもらいました。練習の中で関係性とかもできあがっていって、クランクインできたので。バク転でケガをして、悩んでいた時期もあったんですけど、毎日練習をして、みんなで明るくやっていたことに救われましたね。
──練習期間が良い関係性も作っていっていたのですね。小平さんはいかがですか?
小平:僕は、作品の中である宣告をされたというか、「ここはこうして欲しい」と言われてショックですごく落ち込んでいたことがあったんです。監督(風間太樹)が説明している間、ハル(横浜)が、右手を左肩にずっと置いていてくれたんですよ。慮ってくれるというか、「大丈夫だよ」っていう右手だなと思って。ずっと一緒に練習してたからこそ、本当にそういう1つの触れ合いがすごく嬉しかったです。
──素敵なエピソードですね。続いて、浅香さんはいかがですか?
浅香:『チア男子!!』のモデルになっているSHOCKERSっていう団体がいて、SHOCKERSのOBの方達に指導してもらっていたんです。SHOCKERSのショーを観に行ったとき、そのOBの方達が、物販とかチケットとかを手伝っているんですよ。いつも指導してくれるOBの人が、「本当に演技している彼らのことが羨ましくてしょうがなくて」って、僕にすごい良い笑顔で言ったのをすごく覚えていて。「素敵な経験してきたんだな、この人は」って思いましたね。
──カッコイイですね!瀬戸さんはいかがですか?
瀬戸:僕は、ラストチアでのエキストラの皆さんですかね。人を応援するチアを練習しているのにも関わらず、練習期間は普通の部屋で練習していたので、見せる機会がラストチアまで無かったんです。
──あのシーンが初のお披露目だったんですね!
瀬戸:ラストチアでエキストラの皆さんに見せた時、本当に素敵な笑顔で応援して見てくださって。その応援によって、僕らの表情とかも変わっていって、それが映像に出ていると思うんです。そこは、すごく影響を受けましたね。
──ラストチアは本当に必見ですよね。続いて、菅原さんいかがですか?
菅原:僕は撮影が残り数日っていうときに、体調を崩して・・・。
一同:(笑)。
菅原:40度くらいの熱が出て、すごく迷惑をかけたんですよ。もう本当にヤバい、どうしようって思ったんですけど、体調が戻って現場に行った時に、みんな心配してくるわけでも無く、今まで通りの普通の感じで接してくれて。
一同:・・怒ってたよ!(笑)。
菅原:え、怒ってたの?(笑)。なんかもうプロとして、そういう今まで通りの感じで接してくれたことに感謝というか。だから6人と、監督、スタッフさんにはもう頭が上がらないですね。
中尾:一番風邪引かなそうなのにね(笑)。
──菅原さんが皆さんに愛されている感じがすごく伝わります(笑)。では、岩谷さんはいかがですか?
岩谷:僕とハル(横浜)は同じトップというポジションだったんですけど、流星とは高校の同級生で、この作品に入る前からの長い付き合いだったんです。
──同級生だったんですね!
岩谷:だからこそ、トップならではの悩みや苦悩を、話さなくてもわかる部分がありました。良い意味で切磋琢磨し合いながら、相談し合いながら、これがチアの良いところなんだなーって、やりながら改めて実感しました。
──そんな皆さんのお話を受けて、横浜さんはいかがですか?
横浜:さっき中尾も言ってましたけど、3ヶ月間の練習期間で、各々が頑張ってる姿を見て、すごく刺激をもらいましたし、トン(小平)が一生懸命練習を頑張って来たのも見て来たからこそ、悔しくなるのもわかったんです。自分もラストチア前に怪我をしてしまったんですけど、みんなが駆け寄ってくれて、心配してくれて。そういう時に、仲間の絆というか、この3ヶ月間で築きあげてきたものをすごく感じました。他にもいっぱいあるんですけど、一番年上で、一歩引いて冷静に見守ってくれる立場の浅香さんのような人ほど、心に秘めているものが一番アツかったりして。みんなのチアに対する、作品に対する姿勢に、すごく刺激をもらいました。
──素敵なお話ありがとうございます。では最後に、様々な想いが集結した『チア男子!!』は、皆さんにとってどのような作品になりましたか?
中尾:青春ですよね、本当に。監督の年齢も近くて、こうやって汗だくでやることってそんなに無くて。青春って言われたら、僕は『チア男子!!』を思い出しますね。死ぬ時に。
一同:死ぬ時に!(笑)。
中尾:「青春はいつですか?」って言われたら、僕は『チア男子!!』を思い出します。
瀬戸:そうだよね!青春ですよね!僕は、高校とか、修学旅行も行ってないので・・・。
中尾:いじめられてたんだ?(笑)。
瀬戸:いじめられてねぇわ!(笑)。
一同:(笑)。
瀬戸:やっぱり、青春かな。僕も青春といったら『チア男子!!』を思い浮かべるんだろうなって思います。
浅香:僕はみんなよりちょっとだけ年齢が上だったんで、現状ですけど、練習中も撮影中も、「青春もの」の最後の作品になるんじゃないかなって。それくらいの気持ちでしたね。
──まさに浅香さん演じる溝口の想いとも、重なる部分がありますね。
浅香:そうですね。
──岩谷さんと菅原さんはいかがですか?
岩谷:自分は初めての映像作品への挑戦だったので、初めての映像作品が『チア男子!!』で良かったと思いますし、『チア男子!!』という作品に出会えて本当に良かったです。
菅原:僕は、観終わった人の人生をちょっと変えられるような、行動力、原動力になる作品だなって思ったんで、そういう作品に出られて有り難かったですね。一生懸命7人で何ヶ月も練習して作り上げたものが完成して、自分たちで観ても感動出来たから、きっと伝わるんじゃないかって思っています。
──伝わると思います!続いて、小平さんにとってはどんな作品になりましたか?
小平:僕はメインキャストが初めてで、チラシにクレジットが乗ったり、こうして取材を受けさせていただくのも初めてだったので、ほんと「はじまりの作品」です。トンちゃんも一歩踏み出して頑張ったけど、僕も、お芝居で初めて前に出たのはどこですか?って聞かれたら、ずっと『チア男子!!』って言いたいです。それこそ、背負っていく作品になると思うので。特別な作品です。
──最後に、横浜さんお願いします。
横浜:僕はもともと学生時代、ずーっと空手に青春を捧げていたので、団体競技に触れてこなかったんです。学生時代は自分との戦いで、孤独だったんですけど、今回仕事で『チア男子!!』を通して、団体競技の素晴らしさとか、仲間と何かに熱中することの素晴らしさに気付くことができました。自分がダメだったら誰かが補ってくれたりとか、仲間の心強さとか。
──その感覚って、映画作り自体にも生きてきますよね。
横浜:そうですね!だからより、次にも繋ぐ事ができるような作品でした。
──ありがとうございました!
映画『チア男子!!』Blu-ray&DVDは9月26日(木)リリース
(C)朝井リョウ/集英社・LET’S GO BREAKERS PROJECT
取材・文:矢部紗耶香/撮影:ナカムラヨシノーブ