『影踏み』北村匠海インタビュー|「役に対して“どこまで深く迫れるか”が問われる作品だった」俳優としての真価が試される──

影踏み
北村匠海インタビュー

北村匠海
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「64-ロクヨン-」「クライマーズ・ハイ」などで知られるミステリー界の巨匠・横山秀夫の原作の中でも、小説ならではの仕掛けから“映像化不可能”と言われてきた「影踏み」を、『月とキャベツ』以来のタッグとなる主演・山崎まさよし×監督・篠原哲雄により映画化。11月15日(金)よりテアトル新宿ほかにて全国順次公開される。山崎扮する伝説の“ノビ師”真壁修一を慕う青年・啓二を演じた北村匠海に、作品へのアツい想いや「篠原組」の撮影の舞台裏、共演者との意外なエピソード、「最近ハマっているもの」についてたっぷり語ってもらった(取材・文:渡邊玲子/撮影:山越めぐみ)。

──11月3日で22歳になられたそうですね!誕生日を迎えた心境は?

北村匠海
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北村:22歳になってから初めて公開される映画が『影踏み』なんですよ!誕生月にこの映画の初日を迎えることができるのは、僕にとってはすごく意味があるような気もするんです。というのも、『影踏み』にはどこか自分自身を試す側面もあったから。ここ数年、アニメも含めていろいろな作品と出会っていく中で「北村匠海、『君の膵臓をたべたい』から数年経って、お前どこまでやれるんだ?」と自らに問う、みたいなところもあったんです。

──ご自身の中で、俳優としての“真価が試される”作品でもあったわけですね。

北村匠海
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北村:はい。しかも今回は役柄的にもチャレンジングな部分があったので、いつも以上に頑張んなきゃなって思ったし、「お前、この作品でどう爪痕残すんだ?」「こんな素晴らしい大先輩に囲まれて、どう戦うの?」って、撮影中ずっと自問自答してたんです。でも、個人的にはこういう作品の方が自分にカチッとハマる気がしましたね。『影踏み』の場合、お芝居の経験値ではなく、役に対して“どこまで深く迫れるか”が問われる作品だと思ったので、いろんな人の意見に耳を傾けながら、自分が演じた役柄と真摯に向き合いました。

──こういう作品に「カチっとハマる」と感じた理由とは?

北村:普段の僕は大体こんな感じで……(笑)。全体的にエネルギー不足というか、日々生きていて、基本的に結構テンションが低めなんですよね(笑)。

──え〜!?でも「DISH//」のライブの時は、ものすごくパワフルですよね。

北村匠海
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北村:「DISH//」でパフォーマンスをするときは、また別のスイッチが入るというか、ステージに上がると普段とは違う自分が出てくるんです。僕はもともと役者が繊細な芝居をしている作品を観るのが好きで、演じる上でもそっちの方がやりやすいところがあるんですよね。コメディの場合、普段は絶対にやらないような大げさな身振り手振りで演技をしなくてはいけなかったりもしますけど、『影踏み』みたいな作品であれば、手も足も使わない表現ができるというか・・・。

──“手も足も使わない”というと……?

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©2019「影踏み」製作委員会

北村:例えば、セリフとセリフの間だったり、眉毛の動かし方や目線の配り方ひとつで感情が伝えられる芝居が僕は好きなので、演じていてすごく気持ちが良かったんです。啓二は常に跳ねているような青年で、飄々としながらも、どこかあっけらかんとした可愛らしさもあって、自分とは全くタイプが違う役柄ではあるんですけど、ふとした瞬間に急に心細くなって、切ない表情をしたりもするんです。そんな啓二の繊細な心情をお芝居で表現するのが、すごく楽しかったんですよね。

──撮影中、特に印象に残ったシーンはありますか?

影踏み
©2019「影踏み」製作委員会

北村:一番思い出深いのは、まさよしさんと自転車で2人乗りするシーンですね。自転車のシーンは何回か登場するんですが、修兄ィと啓二が一緒にいる場面の中でも、特に温かさが感じられる気がするんです。まさよしさんが音楽をつける時にも、「賛美歌のような子どもが歌っている曲を使いたい」ってお話しされていたこともあるんですが、暗くて重い部分も描かれている『影踏み』の中で、僕が演じた啓二という存在は、どこか「光」みたいな役目を果たしていたのかもしれないな、とも思ったりしました。撮影中はまさよしさんと一緒に過ごす時間が長かったんですけど、まさよしさんは本物の兄弟のようにフランクに接してくださったんです。お互い「音楽」という共通項があったことも大きかったと思いますね。

──北村さんのご両親が、山崎まさよしさんのファンだとか。

北村匠海
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北村:そうなんですよ。僕も家で「セロリ」や「One more time, One more chance」をよく聴いていました。昔、音楽番組でまさよしさんがセッションしながら曲を作っている姿を目にしたりもしてたんですけど、先日「Augusta Camp 2019」のステージでまさよしさんと一緒に歌わせていただく機会があって、改めて大先輩のアーティストと一緒に作品作りができたことのありがたさを実感したんです。まさよしさんのお子さんも会場に来てたんですけど、ものすごく可愛いんですよ!

──ちなみに、いま北村さんご自身がハマっているものは何ですか?

北村匠海
北村匠海

北村:僕が最近ハマっているのはカレー作り。暇があるとスパイスカレーを作ってますね。めちゃくちゃ美味しいんですよ!インドに行った友人からスパイスをもらったり、自分でも集めたりしてるんです。カレーは本当に奥が深いんです。あとは、この前IMAXシアターで『ジョーカー』を観たんですけど、ホアキン、ヤバすぎ!(笑)。昔からリバー・フェニックス(映画俳優/ホアキン・フェニックスの兄)がめっちゃ好きで。彼のファッションとかヘアスタイルを一時期めっちゃ真似してて、前髪をかきあげまくってたんですよ!でも『ジョーカー』でついにホアキンが「リバー越えたわ~」と思いましたね(笑)。

──ミュージシャン同士でもある山崎さんと竹原ピストルさんが、役者として真っ向勝負するシーンに立ち会われた感想は?

影踏み
©2019「影踏み」製作委員会

北村:凄かったです。僕、高校生の時、ピストルさんの追っかけだったんですよ。(村上)虹郎から薦められたのがきっかけで。ピストルさんが東高円寺のライブハウスとかでやってるのを聴きに行ってて、アーティストとしてもめちゃくちゃ好きなんです。

──憧れのピストルさんと現場で対面されてみていかがでしたか?

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©2019「影踏み」製作委員会

北村:刑事役のピストルさんが、タバコを吸いながらまさよしさんと喋っているシーンがあるんですけど、「めっちゃかっけぇ!」と思いながら見てました。ピストルさんに胸ぐらつかまれても、まさよしさんが全く臆さないんですよね。お2人の芝居を間近で見られるなんて、ものすごく贅沢だなぁって感じてました。

──現場には張り詰めた雰囲気が漂っていたのでしょうか?

北村匠海
北村匠海

北村:意外と和やかな現場でしたね。全員で作品をより良くする方法を探りながら、じっくり撮っていく感じでした。篠原監督からも「啓二としてどう思う?」とか「このセリフどう言う?」って何度も聞かれたりして。篠原監督って、ご自身の撮りたい画とか、見たいお芝居だけじゃなくて、演じる側の気持ちをちゃんと汲み取ってくれる監督なんです。お芝居って、一旦始まったらどうなるか分からないんですよね。相手がどう出てくるかによっても変わってきたりするので。篠原監督が役者の可能性をすごく信じて下さるからこそ、時にはそれが迷いにつながったりすることもあるんです。でも、みんなで一緒に答えを導き出す姿勢が僕はすごく素敵だなと思っていて、篠原監督が撮るものを信じてみんながついていく理由が本当に露骨にわかる現場でした。この温かい現場を作り出しているのは他でもない篠原監督で、本当に有意義な時間でした。

──大竹しのぶさんとの共演はいかがでしたか?

影踏み
©2019「影踏み」製作委員会

北村:大竹さんが家の前で張り紙をガンガン剥がすシーンがあるんですけど、(大竹さんの口調を真似て)「わからないです……」って口では言いながらも、いざ本番になるとあの芝居が「パン!」って出来ちゃうのが本当にすごいです。大女優を目の前に、完全に腰が引けました(笑)。

──実は、大竹さんは山崎まさよしさんの大ファンで、音楽もすごく詳しいそうですね。

北村匠海
北村匠海

北村:そうなんですよ!大竹さんとは現場でもずっと音楽の話をしてました。通常、関係者席に案内されると座ったまま観ることが多いと思うんですが、大竹さんは「なんでライブを観に行って踊らないのかわからない」「私はいつも通路に出て踊ってる!」って(笑)。本当にチャーミングな方でしたね。「DISH//」のツアーもこれから始まるので、ぜひ大竹さんに観に来ていただきたい!

──では最後にあらためて、映画『影踏み』の魅力とは?

北村匠海
北村匠海

北村:キャッチコピーでは「異色の犯罪ミステリー」と謳ってはいますけど、家族や兄弟、恋人など大切な人への愛が、時に憎悪に変わってしまったりする瞬間も描いているんです。人と人との大きな愛がいろいろな場面で感じられて、僕はものすごいヒューマンドラマを観ているような感じがしました。ぜひ劇場に足を運んで観ていただきたい作品です。

──素敵なお話をありがとうございました!

映画『影踏み』は全国公開中

©2019「影踏み」製作委員会

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作品情報

影踏み

影踏み

4.4
2019/11/15(金) 公開
出演
山崎まさよし/尾野真千子/北村匠海/鶴見辰吾/滝藤賢一/中村ゆり/中尾明慶/下條アトム/根岸季衣/大竹しのぶ/竹原ピストル ほか
監督
監督:篠原哲雄/原作:横山秀夫