『嘘八百 京町ロワイヤル』
山田裕貴インタビュー
中井貴一演じる「胡散臭い古美術商」小池則夫と、佐々木蔵之介扮する「腕利きだがくすぶり続ける陶芸家」野田佐輔の「骨董コンビ」が繰り広げる“愛と感動”のドタバタ劇で大ヒットを記録したお宝コメディ『嘘八百』。広末涼子ら豪華キャストを新たに加え、京都を舞台に全方位にパワーアップさせた続編『嘘八百 京町ロワイヤル』が、1月31日(金)より全国公開される。
陶芸界のアイドル的な存在で“陶芸王子”と持て囃される牧野慶太役を演じた山田裕貴に、共演者とのエピソードや、とめどなく溢れる演技へのアツい想いについて、たっぷり語ってもらった。(取材・文:渡邊玲子/撮影:山越めぐみ)。
──作品ごとに全く異なる顔を見せる俳優として定評のある山田さんですが、本作ではどんな役作りをされたのですか?
山田:今回は“陶芸王子”ということで、陶芸もしっかり練習させていただきました(笑)。初日に“ろくろ”の回し方を習って器を作らせてもらったのですが、それを先生が焼いてくださって。とても良い思い出になりました。“陶芸王子”役って聞いたときは、どれだけ王子になれるか心配だったのですが、実は僕、高校時代のあだ名が「プリンス」だったんです(笑)。でも、よくよく聞くと裏では「プリン」とか呼ばれていじられていたみたいです(笑)。
──プロフィールを見ていて気付いたのですが、山田さんは9月18日生まれで、主演の中井貴一さんと一緒なんですね!
山田:そうなんですよ!中井さんと僕は同じ誕生日なんです。そんなご縁もあって、中井さんとはずっとご一緒してみたかったんです。
──劇中で中井さん演じる則夫と佐々木さん扮する佐輔は、広末涼子さん演じる謎の着物美女・志野にメロメロですが、もし山田さんが志野のような女性と出会ったら……?
山田:僕、女の人にはすぐ騙されます。「好き」とか言われたらすぐに僕も好きになっちゃうし。すぐに相手のことを信じちゃう(笑)。
──ハハハ(笑)。志野のような美女になら、いっそ騙されてみたいとか?
山田:いや、別に騙されたいわけじゃないですよ(笑)。でも、僕の大好きな漫画「ONE PIECE」の中に、「女のウソは許すのが男だ」というサンジの名言がありまして。「まさにそれだな!」と思うんです(笑)。だから別に僕が傷つく分には翻弄されても構わない。相手の女性が傷つくくらいなら、僕が騙された方がマシだから(笑)。
──劇中に登場する“古田織部”の茶器の魅力は「歪み」と「疵(きず)」だそうですね。「歪みの美」について山田さんご自身はどう感じますか?
山田:ものすごく共感します。昔は僕も完璧になろうとしてたんですよ。「こう居なきゃダメだ」「ああ居なきゃダメだ」「俳優は苦しんでなきゃダメだ」「そうじゃないと強くなれないんだ」「幸せになっちゃダメだ」とかって。でもそうやってどんどん幅を狭めていくと、きれいに研磨された丸く“つまらない器”にしかならないような気がしたんです。いつもみんなに同じ笑顔しか見せない人って面白くないじゃないですか。時には怒ったり、ちょっとムッとしたりするところが垣間見えるから面白いわけで。それは「歪み」というよりは、むしろ“生き物”として、すごく自然なものだと思うんです。人間も歪んでいて当然だし、「歪みこそ美しい」という感覚もよくわかります。僕は「歪み」や「疵(きず)」を尊重したいです。
──過去のインタビューで山田さんが「俳優は“人の気持ちを考える”仕事」とお話されているのを目にして、とても興味深い考えの持ち主だなと思っていました。
山田:昔から僕は「人の気持ち」というものにすごく興味があって。ずっと「知りたい!知りたい!」と思っていたら、「じゃあ、この仕事しなよ!」と、俳優の仕事に自然と引き寄せられたような気がします。僕は、人の外側だけでどんな人かを判断するのも、自分がされるのもすごく嫌なんです。「山田裕貴って、こんな感じだろうな」と思われたくないんです。「なぜ僕はそういうイメージを持たれてしまうんだろう?」「なぜこうなっちゃったんだろう?」と考えるのと同じように、台本を読んで「なぜ陶芸王子は『嵐山堂』の大人たちに使われちゃったんだろう?」「牧野慶太って、本当はどんな人なんだろう?」と、延々と考えたりすることが多分ものすごく好きなんだと思います。
──“陶芸王子”や「牧野慶太」について考えていること自体が、自然と役作りに繋がっていく感覚なんですね。
山田:きっと考え続けることで「何かを解き明かしたい!」という想いが人一倍強いんでしょうね。
──山田さんは普段からSNSなどでもご自身の想いを赤裸々に綴られていますが、「言葉で何かを伝えたい」という気持ちが、もともと強い方なのですか?
山田:それこそ僕も、“陶芸王子”みたいにイメージを固められてしまったらきっと何も言えなくなってしまう気がしているんです。だからこそ「自分はこういうのがやりたい!」「こういう俳優になりたい!」「こういう風に演じたい!」と、あえて口に出すようにしているのかもしれません。じゃないと、いろんな力に無意識のうちにコントロールされちゃうんだろうなぁ……って思うから。もちろん「まわりの人の気持ちを考える」というのが大前提にはなるのですが、他の動物と違って人間は言葉を持っている生き物だから、自分が言いたいことすら口に出来ずに一度きりの人生を終えてしまうのは、ものすごく悲しいことだなと僕は思います。
──その反面、「俳優は言葉以外にも表現できる手段を持っている」とも言えますよね?
山田:役を通じて自分の中にある全てを伝えられるなんて、僕は到底思っていません。そもそも「役」はあくまでも「役」でしかなくて、僕自身とは全く違うものなので。だからそれを補完するために、こういった取材を通じて「あの時はこう思っていたんです」と伝えるようにしています。そうすることで、僕が考えていることもわかってもらえたら良いなと思うから。記事だけパーッて読んで、実際に作品を観に行ってもらえなかったら、僕の中の一面しか伝えられないことになるわけで……(笑)。だからこそ、僕は「映画も記事も両方見て欲しい!」と思っているんです。
──それはこの作品にも大いに通じるところがありますね。メディアに出ている“陶芸王子”のイメージだけでは、本当の「牧野慶太」のことは見えてこない、というわけですね?
山田:そうなんです!あらゆる物事には「語られていない部分」というのが必ずあって、家族や恋人や友人ですらわからない、当人にしかわからないことの方が圧倒的に多いはず。だからこそ、それを自分以外の他の誰かに伝えていくことは、きっと何より難しい。たとえば、織田信長のような歴史上の人物が「これはこうこう、こうだった」と、ちゃんと書き残しておいてくれれば史実は1つしかないはずだけど、「もしかするとこれは誰かが書き直したものかもしれないし……」ということまで、考えてしまうところが僕にはあるんです(笑)。
──劇中にも「織部の幻の茶器『はたかけ』には実は別の呼び名があって、そこにはこんな意味が込められているんじゃないか」という印象的なセリフが登場しますよね。正解がわからないからこそ自由に想いを巡らすことが出来るし、そこにロマンがあるとも言えるわけで。
山田:そう、まさにそういうことだと思うんです。だからこそ、僕は人の気持ちを理解しようとするのを決して諦めたくはないんです。
──山田さんは演じることを通じて、それを探り続けたいということですか?
山田:きっと僕は「人間って何なんだろう?」ということを知り続けたいから、この仕事をしているんだと思います。仮にもし「知りたい!」という欲求が僕から無くなってしまったら、もはや自分の人生すらどうでもよくなっちゃうんじゃないかと思うので(笑)。
──山田さんはこれからもずっと「答えの出ない何か」を追い求めるんでしょうね!
山田:僕の夢は“死んだときにニュースになる俳優”になることなんです。僕はきっと死ぬまでこの仕事を辞めたくないし、俳優以外のことをやってる自分の姿が考えられないんです。もちろん、そこから派生して「映画を撮ってみたい」「作品を書いてみたい」という思いは、今後新たに出てくるかもしれません。でも、いまは「人の気持ちを考える」ことがそのまま僕の仕事になっていて、それをやっている時が生きている中で一番楽しい瞬間だからこそ、こうして俳優をやっているんだと思うんです……って、なんか「情熱大陸」みたいな感じになっちゃいましたね(笑)。
──素敵なお話をありがとうございました!
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『嘘八百 京町ロワイヤル』山田裕貴インタビュー|とめどなく溢れる演技へのアツい想い「夢は“死んだときにニュースになる俳優”になること」
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— 映画ランド (@eigaland) 2020年1月26日
映画『嘘八百 京町ロワイヤル』は1月31日(金)より全国ロードショー
(C)2020「嘘八百 京町ロワイヤル」製作委員会