のんが主演を務める映画『私をくいとめて』が第30回日本映画批評家大賞にて【監督賞】【主演女優賞】をダブル受賞することがわかった。
脳内に相談役「A」を持つ、31歳おひとりさま・みつ子。悠々自適におひとりさまライフを満喫していたみつ子が、年下営業マン・多田くんと出会い、久しぶりに訪れた恋に戸惑いながらも一歩踏み出していくさまが描かれた物語。
【監督賞】は、『恋するマドリ』(07)で劇場長編デビューを果たし、『勝手にふるえてろ』(17)、『美人が婚活してみたら』(19)、『甘いお酒でうがい』(20)などで女性の生き方や恋愛にスポットを当てつづけてきた大九明子監督が受賞。日本映画批評家大賞は選考理由として「誰しもの心にある“ダーク”なところを描きながらも、それを弾けるようなポップさで昇華させる。『私をくいとめて』はまさに“今“を感じさせる、クオリティの高い大九監督の代表作になったといえるだろう。」と評価した。
さらに【主演女優賞】を受賞し、主人公・みつ子に扮したのは劇場アニメ『この世界の片隅に』(16)で主人公・すずの声や、YouTube Originalsドキュメンタリー「のんたれ」で『おちをつけなんせ』(19)の脚本・監督・編集・主演他を務めるなど、活動の幅を広げる女優・創作あーちすと のん。「脳内に相談役のAという存在を誕生させてしまった31歳のひとりの女性を、これほど説得力を持って演じ切ったのんの演技力は素晴らしかった」と評した。
のん、大九明子監督は「演技をする事は私にとって生きる術で、これがなかったら自分は何者にもなれずにモヤモヤとした日々を送っていただろうなと確信しています。そんな私が役を演じて賞をいただけるのは、こんなに幸福な事はないっていうくらいに嬉しい。」(のん)、「私に、映画監督という立場を与えてくれる全スタッフ・俳優、そして何より、私の映画を観てくださる全ての皆様に感謝申し上げます。」(大九監督)と歓喜のコメントを寄せている。
映画『私をくいとめて』は全国上映中。今後も都内では3月20日(土)より1週間、下高井戸シネマでの上映が決定している。
大九明子監督 コメント(全文)
監督賞。なんと畏れ多い。何かを作りたくて模索して、映画の道にたどり着いて以来私は、映画作りに夢中です。しかし撮りたいものが私の脳内にどれほど湧いたとて、それを形にしてくれるスタッフ、俳優がいなければ、1フレームたりとも作ることができません。私に、映画監督という立場を与えてくれる全スタッフ・俳優、そして何より、私の映画を観てくださる全ての皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
のん コメント(全文)
この度は、素敵な賞をいただき心から嬉しく思います。
演技をする事は私にとって生きる術で、これがなかったら自分は何者にもなれずにモヤモヤとした日々を送っていただろうなと確信しています。
そんな私が役を演じて賞をいただけるのは、こんなに幸福な事はないっていうくらいに嬉しい。明日からも元気に演技に励めそうです。
これからも楽しく、精進して参ります。
ありがとうございます。
日本映画批評家大賞 からのコメント(全文)
監督賞:大九明子監督について
とてもポップな感覚、そして誰も想像し得ないような映像の使い方。
大九明子監督はそんな稀有な映像センスを用いて、嫌味になることなく、ただただ新鮮で楽しい映画を生みだしてくれた。これは監督自身による脚本の良さももちろんだが、映画というメディアへの卓越した確かな手腕によるものだろう。
第30回の選考会では、大九監督の卓抜したセンスが多くの選考委員に響いた。誰しもの心にある“ダーク”なところを描きながらも、それを弾けるようなポップさで昇華させる。『私をくいとめて』はまさに“今“を感じさせる、クオリティの高い大九監督の代表作になったといえるだろう。
主演女優賞:のん について
役者はリアリティがあればそれでいいという訳ではない。
リアリティがありつつも、演劇的なところでも芝居を成立させる力を併せ持つ女優、のん。
特に今作は少し現実離れした難しい役柄だった。脳内に相談役のAという存在を誕生させてしまった31歳のひとりの女性を、これほど説得力を持って演じ切ったのんの演技力は素晴らしかった。
彼女は映画を観るわれわれの心を、スクリーンの向こうで悩む主人公みつ子に同化させ、見事に巻き込んでしまった。さらりと観客の応援を味方につけてしまう、のんの魅力と見事な演技に拍手を贈りたい。
映画『私をくいとめて』は大ヒット公開中
(C)2020『私をくいとめて』製作委員会