『シン・エヴァンゲリオン劇場版』大ヒット御礼舞台挨拶が11日、都内・新宿バルト9にて行われ、庵野秀明(総監督)、鶴巻和哉(監督)、前田真宏(監督)、
総監督の庵野秀明が『エヴァンゲリオン』シリーズにおいて一般の方々に向けたイベントに登壇するのは初めて。興行収入70億円を超える大ヒットを記録していることに、庵野総監督は「僕がエヴァ関連で表に出るのは、最初の制作発表の時と(作品の完成が)間に合わなかった時の謝罪会見以来なんです。今日は皆さんに直接、スタッフを代表して御礼を伝えるチャンス。本当にありがたいです。前作の『:Q』を超えて、80ちょっといったら『シン・ゴジラ』を超える。僕のレコードになりますね!100億にいくとアニメ業界の活性化にいい。ロボットアニメで100億を目指しています!」と感謝と喜びのコメントをした。
作品の完成を迎えた際に、鶴巻監督は「最初に試写を観たときに涙しているスタッフが結構いて、ただ『終わってよかった』と思いました」と振り返る。前田監督も「同じ気持ちです。直しが『もうこないの?本当にこないの?』と、疑ったこともあるくらい安心してホッとしました」と明かした。庵野総監督は「安堵。感謝ばかりだった。スタッフに御礼を伝えて終わり」と話すと、緒方は「我々(キャスト)は『初号試写が終わっても公開されるまで油断できぬ』とグループLINEで話をしていたんです(笑)」と吐露。庵野総監督は「それは大丈夫!無茶はほんとにしないから。その辺は誤解しないでほしい(笑)」と笑みをこぼした。
また、ミニチュア模型やモーションキャプチャーでの映像制作にも取り組んだ本作。庵野総監督は「ミニチュアやモーキャプがなくてもアニメーションは作れる。『:序』の頃からずっと、手で描いたものだけにしたくないと思っていました。時間が経ち、いろんな技術が上がって、ようやく今回できるようになった。実際に存在するものでアニメーションを作る。時間もお金もかかって大変なので他の方はあまりやらない、やらない方がいいです(笑)『シン・ゴジラ』を作っていなければ、今回のような作品にはならなかった」とコメント。鶴巻監督は「ニュアンス的にはアニメと実写のハイブリッド。庵野は実写を経験しているから、良いところも悪いところもわかっている。けれど僕やスタッフは実写を経験していないから、どこまでやっていいのかわからず不安でしたね(笑)」と苦労を滲ませた。
イベントの進行役を務めた緒方から「アフレコは…いかがでしたか?」との声が。「今までと撮り方がだいぶ違った」といい、キャストがバラバラで細かく収録したものをパズルのピースのように組み合わせて完成させた。庵野総監督は「一人一人バラバラで撮っていて、テイクもバラバラ。だけど声優さんに演技力があるので、バラバラに撮っていることを感じさせない。収録では掛け合いをしていないけれど、作品を観ると掛け合いをしている。これはすごいことだと思います」と絶賛した。
鶴巻監督も「シンジの気持ちは緒方さんに託しているところが多かった」と信頼をのぞかせ、緒方は「今回のセリフは特に、いろんな受け取り方が出来るセリフが多くて、ちょっと感情の込め方が違うだけで全然違うニュアンスのものになってしまう。難しかったなと思います」と明かした。
また、劇中の小ネタについて庵野総監督は「ラストカットの実写には、ものすごくお金をかけて好きなものを一個入れているので、観ていただけると幸いです」とコメントした。
最後に前田監督から「観る方を選ぶ作品ですし、様々なハンデのある作品かと思います。それでも面白いと言ってくださる方がたくさんいて…本当にありがとうございます!」、鶴巻監督から「コロナの不安がある中で観ていただきありがとうございます!」、庵野総監督から「本当にありがとうございます。制作の途中からコロナ禍に見舞われ、世界中が大変な時期が続いています。こういう厳しい時期になっても映画館に足を運んでいただけること、本当に感謝しています。ありがとうございます!」とメッセージがあり、イベントは幕を閉じた。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は大ヒット公開中
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