最高峰のバレエ団×最高峰の演目×最高峰の映像音響 『パリ・オペラ座「白鳥の湖」IMAX』を映画館で観るべき理由とは――。

©︎ Natalia Voronova

▶︎すべての要素にこだわり、世界最高レベルの臨場感を追求したのがIMAX

 ① 視界いっぱいの巨大なスクリーン
IMAXシアターに入ったら、まずはスクリーンの大きさに注目。床から天井、左右の壁から壁まで広がる大スクリーンはIMAXの特徴のひとつ。視野全体で映画を感じることができる。スクリーンと客席の距離が近く、表面も若干湾曲していることから、観客を映像が包み込み、まるで“映画の世界に入り込んだ”かのような臨場感を味わえる。

 ② 圧倒的な明るさ
特許を持つ独自の映像処理技術「デジタル・メディア・リマスタリング技術(DMR)」により、映画製作者の眼に映った映像を最大限のクオリティで表現が可能。上映に際しては最新鋭のプロジェクターを採用。それによって鮮明さと暖かみのバランスがとれ、細部までくっきりと映し出される明るくクリアな映像は、これまでにない圧倒的なリアリティをもたらす。その美しさに、きっとあなたも息をのむはず。

 ③ カラダの芯まで揺さぶる高精度なサウンド
お腹の底まで響く大音響から肩ごしに聞こえるささやき、さらに人の耳では捉えきれない音域までカバーすることで、微妙なニュアンスも忠実に再現。聴くというより、“全身で感じるようなサウンド”を実現している。カスタムな配置と完璧なチューニングで、実際に“その場にいる”かのような臨場感を生み出し、シアター内の“どこに座っていても”理想的なリスニング環境になるよう設計されているから驚きだ。



▶︎史上初の「Filmed for IMAX」バレエ作品だからこそ味わえる究極の没入感 『パリ・オペラ座「白鳥の湖」IMAX』11月8日 (金) 公開

350年以上の歴史を誇るバレエの殿堂、パリ・オペラ座バレエ。世界最高峰のバレエ団の数あるレパートリーの中でも最も人気を集めているのが、伝説のバレエダンサー、ルドルフ・ヌレエフが振り付けた古典バレエの最高傑作『白鳥の湖』だ。このたび、今年6月の最新公演がバレエ作品史上初の「Filmed for IMAX」作品となって、世界同時公開されることが決定。ここ日本でも、全国20のIMAXにて11月8日(金)から、7日間限定で公開される。

悪魔の魔力で白鳥の姿に変えられてしまった王女オデットと、王子による真実の愛の物語。きっと誰もが一度は耳にしたことがあるであろう、チャイコフスキーによる壮麗でドラマティックな音楽と、セリフがないからこそ一層際立つバレエダンサーたちの肉体美や表情。オデットを中心とする白鳥たちの一糸乱れぬコール・ド・バレエ(群舞)や、黒鳥オディールによる32回転の超絶技巧。そして、繊細な刺繍が無数に施された、芸術品とも言うべきチュチュやヘッドピースに、色とりどりのドレスなど、衣裳や舞台装置にも目を奪われる。

誰もが「観たい!」と感じる瞬間の連続をなめらかにつないだ見事なカメラワークと、ななめ上や真俯瞰からステージを捉えたダイナミックな構図の融合。生の舞台では絶対にあり得ない距離や角度からの映像がふんだんに盛り込まれているにもかかわらず、あたかもパリのオペラ・バスティーユ劇場の特等席で観ているかのようなライブ感が味わえる。そしてIMAX認証カメラによる撮影を通して、まるで白鳥たちが舞う世界に入ったかのような没入感が演出されている。視界いっぱいに広がる巨大スクリーンと、高精度な音響設備を兼ね備えたIMAXだからこそ実現できる、全く新しい「良いとこどり」の観劇体験に、ため息がこぼれ、陶酔せずにはいられない。

<ストーリー>

ある国の宮廷で、ジークフリート王子の誕生日を祝う宴の準備が進められている。成人を迎える王子は、舞踏会に参加する女性の中から花嫁を選ぶ必要があったが、理想の愛を夢見ている王子は、現実を忘れようとしている。だが、家庭教師のヴォルフガングは、そんな王子にみずからの務めを思い起こさせ、現実に引き戻そうとしている。

夢に憩いを求めて物思いにふける王子は、湖畔で悪魔ロットバルトの魔力で白鳥の姿に変えられてしまったオデット姫に出会う。「真実の愛だけが、この魔法を解くことができる」と身の上を語るオデットに魅了された王子は、彼女だけを永遠に愛することを誓い、誕生日の祝宴に彼女を招く。だが、誕生日の舞踏会に現れたのは、悪魔ロットバルトと、オデットにそっくりな彼の娘オディールだった。王子は、オディールの中に愛するオデットの姿を見て、オディールに結婚を誓ってしまい、オデットを永遠に失うことになる――。

パリ・オペラ座のルドルフ・ヌレエフ版『白鳥の湖』の最大の特徴は、王子の深層心理に光を当てている上、王子ジークフリートの家庭教師であるヴォルフガングの正体が、悪魔ロットバルトだということ。ヴォルフガングは王子を指導することを通して支配し、破滅へと誘う存在だが、この二人の師弟関係は愛情にも近い特別な絆ともなっているため、物語の深みが増す。さらに、高度な技術の持ち主だったヌレエフによる振付らしく、白鳥のコール・ド・バレエでは非常に難度の高い踊りになっており、宝石のようにきらめく精巧な群舞が堪能できる。男性ダンサーたちのダイナミックな踊りがたっぷり見られるのもヌレエフ版の特徴だ。

白鳥オデット、黒鳥オディールの二役を演じるパク・セウンは韓国出身で、パリ・オペラ座では初めてのアジア人エトワール。華奢な身体で伸びやかに表現する繊細な抒情性、そして32回転のグラン・フェッテを完璧に決める強靭な技術とドラマ性の両方を兼ね備えている。

王子ジークフリートを演じるポール・マルクは、2020年12月、コロナ禍の最中に無観客配信された『ラ・バヤデール』のブロンズ・アイドルの演技でエトワールに任命された。現在のオペラ座のエトワールの中でもトップのテクニックを誇り、驚くばかりに高い跳躍と美しいつま先、オペラ座ならではのエレガンスを持ち合わせている。

悪魔ロットバルトを演じるのは、ドキュメンタリー『未来のエトワールたち パリ・オペラ座学校の一年間』や、かつてユニクロの広告にも出演していた、プルミエ・ダンスールのパブロ・レガサ。また、パリ・オペラ座バレエには、現在日本人、および日本の血を引くダンサーが多数活躍しており、本作でも、コリフェのパティントン・エリザべス・正子、桑原沙希、カドリーユの山本小春、アリシア・ヒディンガが出演している。

今年2月に開催されたパリ・オペラ座バレエの来日公演でも、『白鳥の湖』の回のチケットは瞬く間にソールドアウトとなったほどの盛況ぶりで、見逃したという人も多いはず。今回のIMAX上映は、全国20館での限定公開とはいえ、バレエファンたちが貴重な公演を疑似体験できる絶好の機会となる。たとえ「バレエはまったくの門外漢」という人でも、重力を微塵も感じさせないダンサーたちの、華麗なる跳躍と回転に夢中になること請け合いだ。

世界最高峰のパリ・オペラ座の最高傑作『白鳥の湖』を、前代未聞のIMAXのために作られた映像で現地さながらの臨場感たっぷりに堪能するチャンスは、1週間のみ。ぜひこの機会に究極の没入感を誘うIMAXの大スクリーンで、奇跡の感動を体感してはいかがだろうか。

文/渡邊玲子

 



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