『そして父になる』『海街diary』の是枝裕和監督が、阿部寛主演で描く最新作『海よりもまだ深く』が5月21日(土)より公開されることが発表された。共演に真木よう子、リリー・フランキー、池松壮亮、樹木希林ら豪華キャストで贈る、夢見た未来と少し違う今を生きる家族の物語。
阿部寛と是枝監督がタッグを組むのは、映画では『歩いても 歩いても』(08)、『奇跡』(11)に続き3作目。阿部は「監督は僕らの演技をしっかりと見ていてくださるので、すごく安心感があります。監督の判断にゆだねれば絶対大丈夫だという安心感。作品を最良のものにするための監督の精神は、本当に尊敬しています」とコメント。
小説家を目指すも一向に才能が開花せず、夢ばかり追いかけ続けるダメな中年男を演じるが「こういう役を演じるのは初めてなので、新鮮で楽しい経験でした。〝いつまでも夢を追いかけている人間″の甘えを演じることで、今までにない、面白い人間味を出せたのではないかと思います」と自信をみせた。
阿部扮する良多を、影ながら見守る母親役を演じた樹木は「背が高すぎて苦労した時代が長かった阿部さん、ローマ風呂だけじゃない居場所を見つけたのね」と阿部を労った。そんな樹木との共演に「親子を演じるにあたり、最高の環境を頂いた」という阿部は、「是枝監督が樹木さんにしか言えないセリフを書き、それを「バチーン!!」と演じられる樹木さんがいる。そういう場面が見られる現場は、本当に貴重な経験でした」と名タッグを絶賛した。
『そして父になる』以来2度目の是枝組参加となる真木は、「不思議な安心感や居心地の良さがあるので、今回も自然でいられる現場でとても充実していました」と振り返り、別れた元妻・響子を演じて「子供や自分の将来を見据え、それを行動に移せるしっかり者。だから、阿部さんが演じた良多のような、夢見がちな男性が寄ってきてしまうし、反対にそういう男性を好きになってしまうのではないかと思います」とコメントした。
また、樹木演じる母親が暮らす団地のシーンは、実際に是枝監督が9歳から28歳までの19年間住んでいた東京都清瀬市の旭が丘団地で撮影しているという。阿部は「監督の小さい頃を知っている方もいらっしゃったので、皆さんすごく温かく盛り上げてくださって。盛り上がりすぎて、撮影できるのかな、っていうくらい(笑)。なんだか、僕まで誇らしい気持ちでした」と明かすも、樹木は「あの時代は憧れだった団地、70過ぎた婆さんにとって、エレベーターのない団地の撮影はヨッコラショ」と苦労した様子。
是枝監督は「この映画は、どうしようもない現実を抱えながらも、夢を諦めることも出来ず、だからこそ幸せを手に出来ないでいる、そんな等身大の人々の今に寄り添ったお話。なんというか、僕が死んだ後に、神様か閻魔様の前に連れて行かれて、お前は下界で何をしたんだ、と問われたら、真っ先にこの『海よりもまだ深く』を観せると思います。自分の今を一番色濃く反映出来た作品であることは間違いないです」と自信をのぞかせた。
映画『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より公開
公式サイト:gaga.ne.jp/umiyorimo
原案・監督・脚本:是枝裕和(『そして父になる』『海街diary』)
出演:阿部寛/真木よう子/小林聡美/リリー・フランキー/池松壮亮/吉澤太陽/橋爪功/樹木希林
製作:フジテレビジョン/バンダイビジュアル/AOI Pro./ギャガ
配給:ギャガ
(C)2016フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ