映画『蜜のあわれ』舞台挨拶が2日、都内・新宿バルト9にて行われた。この日、主演の二階堂ふみをはじめ、大杉漣、真木よう子、高良健吾、永瀬正敏、韓英恵、渋川清彦、石井岳龍監督ら豪華キャストが出席した。
金沢三文豪・室生犀星の同名小説を映画化した本作。室生犀星自身を想起させる老作家のおじさまと、彼が愛でる少女の姿に変貌する金魚・赤子、老作家への愛を募らせ蘇った幽霊・田村ゆり子の三角関係を描く恋愛文芸ファンタジー。
金魚の赤子をイメージした真っ赤なドレス姿で登場した二階堂。多くのプロモーション活動を赤で統一したスタイルで参加していたが、「今日で“赤納め”になりますが、それと同時に映画が公開して赤い気持ちで劇場を後にしてほしい」とにっこり。「17歳の頃に原作を読んで、そこからずっと映画にしたい気持ちでいっぱいでした。こうしてお披露目する日を迎えられて、すごく不思議な気持ちです。想い続けていたものが一つの作品になってすごく嬉しい」と喜びを感慨深く明かした。
老作家を演じた大杉は「ちょうど昨年の4月2日がクランクインの初日でした。その時二階堂さんと初めてお会いして、『おじさま』というセリフを言われました。その一言を聞いた時、『金魚がいる』と感じて、きっとこの映画には人間のエレメントのようなものがたくさん散りばめられている」としみじみ振り返り、「二階堂さんと初めて一緒にお仕事させていただいたり、30年の長い時をかけてやっと石井さんの現場に立てたことを非常に嬉しく思っています」と満足げな表情を浮かべた。
石井監督は「ずっとお仕事をしたいと思っていた二階堂さん、大杉さんをはじめ俳優の方々。今回奇跡的にいろんなタイミングが起こって、私の長い映画人生の中でも初めてと言っていいほど有難い出来事。俳優の方々に教えられることがたくさんあった」と万感の様子。
幽霊役を演じた真木は「生きていないのに、感情を持っているところが一番難しかった。でもそういう役をやったことがなかったので、すごくいい経験になりましたし、いいチャレンジをさせていただいた」と撮影を振り返り、二階堂との共演を「赤子がすごくプリティで、本当に幻想的で他の映画とは違う世界観に」とコメントした。金魚売り役の永瀬も「金魚が主役の映画は世界初なんじゃないですかね。僕も若い頃原作を読んだんですが、具体的に金魚をビジュアル化してどうするんだろうと思っていました。二階堂さんはずっと金魚なんですよね。すごいなと」と絶賛していた。
一方、芥川龍之介(幽霊)を演じた高良は「芥川さんが動いている映像があるので、それを観て演じました。監督から『幽霊だからこうして』っていうのがなかった。幽霊ということを意識せず演じ切りました」と笑顔。「すごい不安なまま現場に入りましたが、ドキドキしてワクワクして、そういう現場はすごい気持ちいいっす」とはにかんだ。
映画 『蜜のあわれ』 は新宿バルト9ほか全国公開中
【CREDIT】
原作:室生犀星「蜜のあわれ」
監督:石井岳龍
出演:二階堂ふみ/大杉漣/真木よう子/韓英恵/上田耕一/渋川清彦/高良健吾/永瀬正敏
©2015『蜜のあわれ』製作委員会