『蜜のあわれ』 高良健吾、役者として凛とした姿勢見せ「少しでも熊本のことを考えてもらえたら」と故郷を想う

映画『蜜のあわれ』大ヒット御礼舞台挨拶が16日、都内・新宿バルト9にて行われた。この日、大杉漣、高良健吾、石井岳龍監督が出席した。

金沢三文豪・室生犀星の同名小説を映画化した本作。室生犀星自身を想起させる老作家のおじさまと、彼が愛でる少女の姿に変貌する金魚・赤子、老作家への愛を募らせ蘇った幽霊・田村ゆり子の三角関係を描く恋愛文芸ファンタジー。

蜜のあわれ

舞台挨拶冒頭、石井監督は「震災が心配される中、熊本に縁のある高良さんが来てくれたことに感謝してます」と熊本出身の高良を気遣い、高良と親交のある大杉も「震災のニュースを受け、朝、高良君に『どうする?』と聞いたんです。そしたら『こういう時だからこそ、舞台に立ちたい』と言ってくれました。背中を押された思いでした」と告白した。

蜜のあわれ

それを受けた高良は「確かに、震災で自分の地元が大変なことになっています。だからと言って、舞台に立たないという選択はない。こっちでしかできない事があるし、あっちでしかできない事もある。いま自分に与えられた仕事はここなので。楽しんでいってください」と気丈なコメントで振る舞った。

二階堂ふみ扮する金魚の赤子を生み出した老作家・室生犀星を演じた大杉は、「高良君より僕の方がずいぶん年上なんですが、いつも刺激を与えてくれる人。彼は器用にしゃべる人ではないかもしれないけど、気持ちでしゃべるんです。ぼくにはそれが本当に心地よくて」と高良を絶賛。一方、芥川龍之介を演じた高良は「役者を始めた最初の頃に大杉さんに出会って、色々なことを教えてもらいました。背中を見て学ばせてもらった」と大杉に最敬礼していた。

蜜のあわれ

また、互いに名文豪の役柄であり、いい緊張感に包まれた現場だったという大杉は「仕事によっては慣れた方がいい事もありますが、役者において慣れない事が大切と思っています。一つ一つ作品は別だから、いつも初めての緊張感を持たないといけないし、緊張感をなくしたらダメだと思うんですよね」と撮影を振り返り、高良も「緊張感は大切ですよね。なくなると怖い。友達同士だからやりやすいという訳ではないですね。知っていれば知っているほど、緊張感は生まれますし。ちょっとドキドキし、ちょっと嫌だなって思うぐらいの方面に自分を向かわせるのも、この緊張感を大切にしたいからかも」と熱く語っていた。

蜜のあわれ

トーク終了後に大杉の提案で、観客の撮影を許可する異例のサービスが。それは高良への気配りであるかのように伺え、最後に高良は「本当は心配なんです。撮影した写真をみて、熊本のことを少しでも考えてもらえると嬉しいです」とメッセージを述べた。

映画『蜜のあわれ』は新宿バルト9ほか大ヒット公開中

【CREDIT】
原作:室生犀星「蜜のあわれ」
監督:石井岳龍
出演:二階堂ふみ/大杉漣/真木よう子/韓英恵/上田耕一/渋川清彦/ 高良健吾 /永瀬正敏

©2015『蜜のあわれ』製作委員会

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