映画『海よりもまだ深く』完成披露試写会が24日、都内・丸の内ピカデリーにて行われた。この日、主演の阿部寛をはじめ、真木よう子、吉澤太陽、樹木希林、是枝裕和監督ら豪華キャストが出席した。
本作は、団地を舞台に“なりたかった大人”になれなかった大人たちの物語を描く。叶わぬ夢ばかり追い続ける情けない主人公・良多を阿部寛が演じ、そんな良多に愛想を尽かした元妻に真木よう子、良多の人生を穏やかな眼差しで見つめる母に樹木希林ほか、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、橋爪功ら豪華キャストが共演する。
来月11日より開催の第69回カンヌ国際映画祭にて「ある視点」部門への出品が正式決定した本作。是枝作品は『そして父になる』『海街diary』に続き3作連続の参加となった是枝監督は「本当に特別な場所なので、スタッフ・キャストとその時間を楽しめたら」と喜びを明かした。
真木は「運がいいこと。光栄に思っています」とコメントし、樹木も「こんな小さな団地のお話を世界のバイヤーが観てくれて、それで何かを感じて買ってくれて世界で上映される。何か根回ししてできることではない。すごくありがたい事」と笑顔を見せた。
本作で初めてカンヌへの参加が決まった阿部は「嬉しかったですね。カンヌという場所に行けるとは。プライベートでは行ったことがあるんですが、この作品で行けることを誇りに思っています」と感無量の様子。また「団地の狭い空間の中での撮影だったので、みんなでギュウギュウになりながらの撮影、その距離感がすごく僕自身楽しかったので、どのくらい海外の方に笑って頂けるか楽しみです」と期待を込めた。
一方、団地での撮影に樹木は「ローマ風呂に入っていた息子が、団地の小さな風呂に入るなんて。よく入ったわよ」と会場から爆笑を誘い、阿部は「結構狭かったですね」と振り返り、『テルマエロマエ』を思い出したか聞かれ「あれだけ小さいと逆に思い出せなかったですね」と笑顔で答えた。
また、撮影時は小学校6年生だったという吉澤は「いま中2です」と成長した姿を見せ、台本を渡さず現場で教えながら撮影する是枝監督ならではの手法に「台本はいまも受け取ってないです。台本を覚えるのは結構得意なんですが、その場で覚えるのは緊張しました」と振り返っていた。さらに、台本がなく先がわからない撮影に「試写を観た時に初めて物語がわかった。撮影してから2年間、どんなストーリーかわからなかった」とタジタジな様子を見せた。
最後に阿部は「是枝さんの作品に出れたことは、すごく夢のようでした。(今回演じた)良多という人物は、僕の中で一番好きなキャラクターになった。何気ない日常で大きな事件もなく、ちょっとしたことで人の心が動いて感動がある。是枝さんの作品は、セリフがないところでもいろんな人の生き方が映っている。今回も素晴らしい作品になっています」とアピールし、舞台挨拶を締めくくった。
映画『海よりもまだ深く』は5月21日より全国公開
【CREDIT】
原案・監督・脚本・編集:是枝裕和(『そして父になる』、『海街diary』)
出演:阿部寛/真木よう子/小林聡美/リリー・フランキー/池松壮亮/吉澤太陽/橋爪功 樹木希林
製作:フジテレビジョン /バンダイビジュアル/AOI Pro./ギャガ
配給:ギャガ 公式サイト:gaga.ne.jp/umiyorimo
©2016 『海よりもまだ深く』製作委員会