『シマウマ』インタビュー 竜星涼×須賀健太、2人が魅せる新境地「イメージを変えるチャンス」

2010年よりヤングキングにて連載され、“絶対に読んではいけない漫画”と称される人気作品を実写映画化した『シマウマ』が5月21日(土)より全国公開される。他者に受けた屈辱などをありとあらゆる方法を用いて昇華させる“回収屋”の世界をシリアスに描き出す今作。その世界へ足を踏み入れる主人公・ドラこと倉神竜夫を演じる竜星涼、顔に奇抜なメイクを施した猟奇的な快楽殺人者・アカを演じる須賀健太、2人が魅せた新境地について話を聞いた。

シマウマ


──完成した映画を観ていかがでしたか?

竜星:漫画ではいろんな描写があって「これ、映像化できるのかな?」って思えるようなシーンばかりでしたね。まあ、映像が完成して「やっちゃったよ」みたいな(笑)。中途半端にやることなく、ちゃんと『シマウマ』という作品に向き合えたかなと。観てる人に優しくなりすぎないというか、この映画の良さをそのまま貫き通せたかと思います。

須賀:やっぱり最近はない作品というか、いい意味で時代に沿っていなくて、チャレンジできた作品になったなと思います。出てくる人間が全員おかしな人たちばかりなので、そういう面ではやっていても理解できない部分があったんです。でも、なにかかっこいい人たち、どこかグッときてしまうような人たちをちゃんと描けたんじゃないかなと思いますし、原作の持つ魅力を映画にも落とし込めたと思いましたね。


──演じている時の心境をお聞かせください。

シマウマ

竜星:楽しかったですね!僕なんかは殴っているシーンが多かったですし、マットとかに僕は殴ってるわけですよ。殴って殴って、そうするとマットがズレて床をほんとに殴ったりし始めて、血が出たりしても全然カットをかけないんですよ!(橋本一)監督は血とかが大好きなので(笑)。すっごい楽しそうにニタニタしながら観ていて、サディスティックだなと思ってました(笑)。

須賀:もう現場もおかしな雰囲気というか、「今の良かったよ!」っていうのが、どれだけ暴力的だったかということになってくる。特殊な現場でしたね(笑)。僕のキャラクターは濃いというか、監督の「もっとやってくれ!」の一言で、さらに振り切ってやれましたね。

 


──今回が初共演でしたが、お互いの印象や初タッグの感想は?

シマウマ

竜星:すごい楽しそうに「アカ」っていう役をやってるから、僕はそれを見ていて気持ち良かったし、「いいなぁ」「羨ましいなぁ」「こんだけこの役を楽しそうにやってる」って。役者としてのある意味の嫉妬というか、逆にそっち側の役をやってみたいなぁと思いましたね。“ジャパニーズ・ジョーカー” って感じ。

須賀:アカにとってドラはすごく大きなキャラクターで。一番最初にアカの過去のシーンを撮影していたんですけど、その時すごく竜星くんに助けられた。時系列的には過去のシーンを最初に撮れたのは良かったですし、そこで僕の脳裏に焼きついた竜星くんの表情みたいなのを、すごく芝居の中で思い出しながら常に一緒にやってましたね。普段は気さくに、役の関係性は無しにして付き合えたので良かったですね。

 


──今までにない2人の新境地を観られてとても新鮮でした。

シマウマ

竜星:僕はそれこそキョウリュウジャー、戦隊のレッドとして子供達のヒーローをやっていた。今回、割と早い段階で「やってやったぞ」と(笑)。 やっぱりイメージで僕らは生きてるから、それを毎回壊したいって思うのが正直なところで。そういう意味では今回すごくいいきっかけをもらって、イメージを変えるチャンスをいただけたかなぁと。いろんな役をやる意味での幅を広げる、今回すごくやってよかったなぁと思いますね。

須賀:僕もイメージをすごく変えられる作品になったんじゃないかなぁと思います。子役の頃からやっていて、(今作の)作品のイメージを持っている方ってすごく少ないと思うので、今後の引き出しというか。ありがたいことに、こういうダークなキャラをやる機会が少しづつ増えてきてはいるので、そのきっかけになった作品でもあるので、特別に思ってます。


──ドラの宿敵・網川を演じる福士誠治さんの狂気っぷりもすごかったです。

シマウマ

竜星:誠治さんとは僕初めてだったんですけど、やっぱアクション。特にファミレスで手にフォーク刺されるシーンとかは、もうほぼ段取りがなくて。誠治さんが「俺が殴るから、ちょっと受けてよ。それでやろ!」みたいな感じで言ってくださって、それは信頼がないとできないことですし、逆に俺が今までアクションをやってきた中で、No.1と言っていいほど楽しかったですね。あんなやられてるのに(笑)。だから「やられる美学」というか、やられる方が上手くないとアクションがうまいとは言えないし、やられる方はそこを重要視されるから。段取りがなく「どう殴ってくるかわからない」ってのは、なかなかアクションでは出来ないので、いい経験ができて、すごいありがたかったし楽しかったですね誠治さん。あとカラオケがうまい、替え歌メドレーとか歌い出すんです(笑)。

須賀:すごい気さくな方で、以前全然共演はしてないんですけど、一緒にご飯に行かせていただく機会があって。で今回初めて一緒になったんですが、フィルターを通すというか、カメラを通して見る強さ、オーラみたいなものがやっぱすげーカッコよかったですね。

竜星:いろんなことやってらっしゃるから、網羅してるというかどっしりしてるよね。かっこいいね。


──『シマウマ』にちなんで、これまでお互いが思った「こいつやばいな」って感じたエピソードはありますか?

シマウマ

須賀:ある取材の写真撮影の時に「ちょっと叫んでる感じで」ってリクエストがあって。そしたらガチで叫び始めて、「うわ、こいつやばいな!」って(笑)。「叫ぶ感じ」って言われてるのに叫び始めたからびっくりしました(笑)。

竜星:全てに対して全力なんです!(笑)

 


──今作で役者として様々な刺激を受けたかと思いますが。

シマウマ

竜星:こういう役もコンスタントにやっていきたいですね。こういうことをやってないと「あ、出来るんだ」って思われないので、そういう幅を広げるには、今回絶対いい機会になったと思う。これをきっかけにね、アウトローな役だったり、また違う役のお話をいただけたら嬉しいですね。

須賀:新しい引き出しになった。自分の中にない部分を増やせたので、すごく有意義な役をやらせてもらえました。自分の中で、悪役というかダークなキャラが増えてきていて、その中でも結構振り切ってやっていたキャラだったので、得たものはすごく大きかったですね。ここが基準になってどんな自分が出せるのか、すごく楽しみではありますね。


──インタビューレポート

シマウマ

これまでにない新境地を見せてくれた竜星涼×須賀健太。新たな作品に出演するたびに「イメージを毎回壊していきたい」と意気込みを見せ、今作の共演を機にお互い刺激を受けたことを語ってくれた。対談の最中、「新しい引き出しになった」と話していたが、逆に“まだ開けたことのない引き出し”についても伺った。須賀は「コメディやってみたいですね!笑わせるってすごい難しいことだと思うし、常に魅力的なキャラをやりたいってのはありますね」、竜星は「俺は泥にまみれたい。物理的でも内面的でもそうかも、なんかもっとぐっちゃぐちゃに。でも血とかじゃなくてね」と役者としての好奇心を見せてくれた。今後の活躍が楽しみな注目俳優だ。

映画『シマウマ』は5月21日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

【CREDIT】
原作:小幡文生「シマウマ」(少年画報社刊)
監督:橋本一 脚本:髙橋泉
出演:竜星涼/須賀健太、日南響子、高橋メアリージュン/天乃舞衣子、脇知弘、松田賢二・福士誠治/加藤雅也
配給:ファントム・フィルム
公式サイト:http://shimauma-movie.com/

ⓒ2015東映ビデオ

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