映画『殿、利息でござる!』初日舞台挨拶が14日、都内・丸の内ピカデリーにて行われた。この日、主演の阿部サダヲをはじめ、瑛太、妻夫木聡、竹内結子、千葉雄大、松田龍平、中村義洋監督、原作者の磯田道史らが出席した。
磯田道史の著作『無私の日本人』の一編『穀田屋十三郎』を『白ゆき姫殺人事件』『予告犯』の中村義洋監督が映画化した本作。今から250年前の江戸中期、仙台藩吉岡宿を舞台に、年貢の取り立てや労役で困窮する宿場町を守るために立ち上がった庶民たちの奮闘を描く。
ビンボーな庶民が年貢に苦しむ町を救うため、千両(3億円相当)を集めて殿様に貸し付けて利息を取ろうとする、実話に基づく本作。阿部は「最初は本当に信じられなかった」と驚き、「子孫まで喋るなと言われていたお話、それを我々が伝えてしまう状況がすごく面白いなと思いました。最後に穀田屋さんが出てきますが、町の方に『映画化になっちゃいさすけどどうですか?』と伺ったんです。そしたら『この町のためなら』とおっしゃってくださった、さすがだなと思いました。我々は思い切って伝えなくてはならないんです!」と力強くコメントした。
町一番の知恵者である茶師・菅原屋篤平治を演じる瑛太は「時代劇をやるということで、なんとなく髪を伸ばし続けてた。『これで地毛でいける』と思っていたんですが、現場に入ったら地毛の上にもう一つ髪を足すことになって、時間がかかるのでどうせならカツラでやればよかった」と撮影の苦労を明かした。
また、中村監督との再タッグに「9年前に『アヒルと鴨のコインロッカー』でご一緒させてもらった。その時監督は厳しい方で、今回僕もちょっと悩んでしまって」と話すと、中村監督は「瑛太とは今回結構ぶつかったんですよ。確かに髪の毛のことで静かに怒ってた」と明かすと、瑛太は「やりあってないでしょ(笑)」と笑顔を見せていた。
阿部扮する十三郎の弟・浅野屋甚内役の妻夫木は「現場で自然と甚内さんが出てきたので、僕自身は意識することなく、現場が役を作ってくれた」と撮影を振り返り、「そもそも阿部さんと僕がそもそも似てない」と吐露。すると阿部は「それはみんな分かってることだからさ、お芝居なんだから(笑)でも妻夫木くんの演技ほんと泣けるんですよ、だから兄弟なんじゃないかな」と話すと、妻夫木も「兄弟でした!」と微笑んだ。
一方、紅一点の竹内は「確かに男性が多くて、冷房がある部屋が一つしかな買ったんです。でもメイクとかあってそこに私は入れなくて、ずっと機材室にいました(笑)暑かったです」とタジタジ。阿部は「スタッフさんも男性ばかりで、ずーっと山形に泊まってたので。綺麗な人が来ると盛り上がりますよね。竹内さんが来るって日にはちょっといい服を着たりして、そわそわしてましたよ」と現場の雰囲気を明かした。
また、司会者から「映画の壁のような存在」と役どころを紹介された松田は「この映画の壁だなって」とそのまま繰り返すと、阿部が「今起きてる状態なんですよね!?」とツッコミ、笑いが起こった。松田と親交の深い瑛太は「龍平に『いい意味で気持ち悪かった』って何回も伝えてたんですが、伝わってないみたいで何回も言ったらちょっと怒っちゃいました」と松田の演技を褒めていたことを明かすと、松田は「怒ってない(笑)瑛太に『宇宙人みたい』って言われて、狙い通りだと思ってましたよ」と笑顔を浮かべた。
一方、舞台となった宮城県出身の千葉は「『こんなことがあったんだ』と誇りに思います」とにっこり。「今回、宮城代表の羽生選手がいるので、僕はそんなに持ち上げられなくても大丈夫です」と恐縮すると、「そんなことないよ!」とファンからは拍手が起こっていた。
初時代劇となった中村監督は「時代劇感がない、なくていいというか伝えたいメッセージが強くあった」とコメントし、磯田先生は「この話は闇に消えていくはずだった。本人たちがそれを望んでいたので、何百年も限られた人たちが管理をしていたんです。古文書読んで泣いたことはなかったので、本にしました」と執筆に至った経緯を明かした。
イベントでは、原作の基となった古文書『国恩記』保全のため、キャスト陣が全国各地巡った『ゼニ集めプロジェクト』の集計結果が発表された。4月6日よりスタートし、5円玉を集め続けてきたキャスト陣。阿部や瑛太は「4〜5万円くらいじゃないかな」と予想するも、結果は総額117,835円、総数23,567枚の5円玉が集まった。阿部は「人の力ってすごい!」と感激の表情を見せ、本作の舞台となった仙台藩吉岡宿、現在の宮城県黒川郡大和町町長・浅野元 氏へ目録を贈呈した。
映画『殿、利息でござる!』は全国公開中
【CREDIT】
原作:磯田道史『無私の日本人』所収「穀田屋十三郎」(文春文庫刊)
監督:中村義洋
出演:阿部サダヲ/瑛太/妻夫木聡/竹内結子/松田龍平 他
配給:松竹 公式HP:www.tono-gozaru.jp
©2016「殿、利息でござる!」製作委員会