日本・ベルギー友好150週年記念映画にあたる『神様メール』。神様がパソコンでいたずらに人間の運命をコントロールしているブリュッセルを舞台に、神様の娘・エアが人間に「余命を知らせる」“神様メール”を送ったことをきっかけに起こる奇想天外な痛快コメディだ。そんなユーモア溢れるアイデアを映像化した監督、ジャコ・ヴァン・ドルマルに話を伺った。
──神様がパソコンでいたずらに世界を支配する、世界を創っていく設定ですが、そのユニークな発想はどのようにして生まれましたか。
監督:最初は旧約聖書とか新約聖書に書かれていることを、今風にして、寓話のような作品にしようと思った。現代ならコンピューターとか携帯電話によって人生が描かれていく。そして女性が男性と同じくらい力を持っている設定にしたんだ。聖書とか宗教というものは、あくまでも物語の前提として使っただけなんだよ。実際の聖書では、女性は2行くらいしか発言していない、男性が男性のために書いたようなものなんだ。だから映画では、神様には奥さんがいて、反抗的な娘がいて、それで事件が起こることを考えたんだ。
──旧約聖書「創世記」では「神は自分を象って男と女を創造した」とありますね。そう考えると監督の考えは実はとても正確なのかなと。非常に偉大な哲学映画でもあるのかなと思いました。
監督:どの宗教もそうなんですが、男性が男性のために書いたような宗教ばかりで、女性が出てこないんですよね。使徒にも女性を入れることで恋の物語とかも作れるのかなと思ったんだ。私は信仰は無いですが、カトリックの環境で育ち教育を受けました。その時には神様は存在し、善なるもので、全能であると習いました。しかし私は権力を持っているなら善人じゃないし、善人なら権力を持たないのではと思っている。なので自然とそういう見え方になったのかもしれないね。
──本作で可愛らしくもあり、好奇心旺盛な主人公エアーを演じられたピリ・グロワーヌについて教えて下さい。
監督:彼女は意思があって、意思が濃縮したような感じの子だよ。演技が大好きで、キャリアとかは気にしない。好きだから一生懸命に演じてくれた。とても可愛くて良い子だったよ。
──監督の作品はいつも音楽の使い方が素晴らしいのですが、本作でこだわったことは。
監督:今回に関してはシナリオを書いている途中で音楽を選ぶことにしたんだ。それぞれのエピソードのタイトルに結びついたものを選んでいるよ。
──もし監督自身が劇中のような余命宣告のメールを受け取ったらどうしますか。
監督:まず、受けとりたくないね(笑)。もしそういうことがあったら、なるべく長い間何もしないと思う。仕事はしない!(笑)
──最後に残したい映画を作るとか。
監督:もう作っちゃった(笑)。私たちが忘れられるように、映画も忘れられていくもの。もちろん数十年の間は覚えて頂けてるかもしれないけど、千年経ったら今の時代の事なんて誰も考えようとはしないはず。それで良いんだ、私は今を生きているからね。
──最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
監督:難しいんだよねこれが(笑)。賢くて楽しいこと言わないといけないでしょ(笑)。この映画を上映した時に面白かったのが、最初の方は男性が笑っていて、最後の方は女性が笑ってるんだよ。そういう部分も楽しんで頂けたら嬉しいね。アリガトー!
映画『神様メール』はTOHOシネマズシャンテ他全国公開中
【CREDIT】
監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル
出演:ピリ・グロワーヌ/カトリーヌ・ドヌーヴ/ブノワ・ポールヴールド/フランソワ・ダミアン/ヨランド・モロー
配給:アスミック・エース【PG12】
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