映画『オーバー・フェンス』東京プレミア上映会が28日、都内テアトル新宿にて行われ、主演のオダギリジョーをはじめ、蒼井優、松田翔太、北村有起哉、満島真之介、松澤匠、鈴木常吉、山下敦弘監督が出席した。
『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』に続く、孤高の作家・佐藤泰志の函館三部作最終章「オーバー・フェンス」を映画化した本作。佐藤自身が執筆活動を諦めかけた頃、函館の職業訓練校で過ごした自身の経験を紡いだ愛の物語を描く。
6月から7月にかけて函館で撮影された本作。オダギリは「脚本がすばらしかった。セリフに惑わされない作品というか、セリフよりももっと役者がやらなきゃいけないことがたくさんあった。とても役者として刺激を受けた作品でしたね」とコメント。オダギリ扮する白岩と恋に落ちる女性・聡を演じる蒼井は「すごく難しい役だったので、何か掴めたっていう瞬間がないまま撮影を終えました。なので、出来上がりを観るのが怖いくらい不安でした」と明かすも、「でも実際観てみると、素晴らしい本があって、監督・キャスト・スタッフの皆さんがいて、自分の中で大切に思える作品になったと気付かされました」と不安が払拭された様子。
白岩と同じ職業訓練校の生徒・代島役の松田は「僕が2人を出会わせるきっかけを作る役なんですが、2人が人見知りで全然喋ってくれないし、弁当とか別々のとこ行っちゃうし(笑)」と吐露。続けて「ここは俺が行かなきゃと勇気を振り絞って、オダギリさんの隣に行って『弁当一緒に食いませんか?』って(笑)それが功を奏したのか、僕自身の役もやりやすくなったし、俳優として尊敬してる2人と仲良くなれて、この作品を違和感なくやれたのが嬉しかった。2人も人見知りを突破するとグッと盛り上がっていたので、その一部になれたことも嬉しかったですね」と笑顔で撮影を振り返った。
一方、ただならぬ雰囲気を醸し出す訓練校の生徒・森を演じる満島は「いつ撮影してたかわからないくらい現場が楽しかった。僕はただただ先輩方とべちゃくちゃお喋りすることがすごく嬉しかったんです」と合宿のような雰囲気だったことを明かし、「翔太さんともふざけたりしてましたし(笑)函館弁で遊んだりしてました!」と無邪気に語っていた。
イベントでは、本作のタイトルにちなみ「見えないフェンスを乗り越えたこと、乗り越えてみたいことは?」という質問が。この日、腰痛のため杖をついて出席していたオダギリは「フェンスっていうものを感じてしまうと、次のステップに進まないといけないと思ってしまうので、感じないようにしています」と語り、「『乗り越える』なんてめんどくさいじゃないですか。わざわざ体が痛いときに…」と笑わせた。蒼井は「人生に目標を持つようなタイプじゃないですから、夜さえを越えれば朝が来る。ということを繰り返しているうちに、楽しくポックリ逝けたら」と笑顔で答えていた。
また、本作が釜山国際映画祭に正式出品されることが発表されるも、キャスト陣はリアクションが薄く、蒼井は「知ってました(笑)」と笑い、松田が「さっき(蒼井から)『翔太くんも(映画祭に)一緒に行こうよ』とか言われてたんですよ」と裏話を明かした。
最後にオダギリは「僕からもサプライズで…9.17の初日に、ちょっと諸事情でいないんです。主演作品の初日舞台挨拶を欠席しちゃう、そんなこと許されるのかと思うんですが、海外に行っちゃうのでどうしようもなくて…すみません」と謝罪した。
映画『オーバー・フェンス』は9月17日よりテアトル新宿ほか全国公開
【CREDIT】
監督:山下敦弘 脚本:高田 亮
出演:オダギリジョー/蒼井 優/松田翔太
配給:東京テアトル+函館シネマアイリス(北海道地区)
公式HP:overfence-movie.jp
©2016「オーバー・フェンス」製作委員会