公開初日から10月8日までに観客動員1,061万人、興行収入138億円を記録した大ヒット公開中の映画『君の名は。』が、韓国・釜山で開催中の第21回釜山国際映画祭「ガラ・プレゼンテーション部門」に正式出品。メイン会場であるハヌルヨン劇場(Haneulyeon Theater)にて10月9日、公式上映が行われた。
釜山国際映画祭は1996年に創設されたアジア最大の国際映画祭。近年では特にアジアの新人監督の発掘と新作プロモーションに力を入れており、今回『君の名は。』は今年話題の新進気鋭監督の新作を上映する「ガラ・プレゼンテーション部門」に、アニメーション作品として初めて正式出品された。
10月9日の公式上映に合わせ、監督の新海誠、主人公・立花瀧の声を担当した神木隆之介、ヒロイン・宮水三葉を演じた上白石萌音が現地入り。3人とも釜山国際映画祭へは初の参加となり、上映に先駆けて釜山市内を散策し、高校生の恋愛ストーリーを描いた本作にちなんで、若者のデートスポットとして人気の冬柏(トンペク)公園展望台を訪れた。
釜山の印象について、新海監督は「アジア最大の国際映画祭、ずっと来てみたかったので、すごくワクワクしています。街全体で映画祭を盛り上げようとしている雰囲気をとても感じます」とコメント。神木は「初めて釜山映画祭に参加して、未知数ですけど嬉しいです!」と喜び、上白石も「『君の名は。』は、都会と田舎をすごくリアルに描いているので、まさに“今の日本”というものがダイレクトに伝わる映画なんじゃないかなって思います。韓国の方にどう感じていただけるのかもすごく楽しみですね」と感想を語った。
釜山市内を散策した3人は、東西大学校centum campusコンベンションホールで行われた記者会見に参加。100人を超える海外メディアが集まる中、新海監督は「2011年に日本を襲った地震は、私に大きな影響を与えました。その時に日本人が想った願いや祈りの結晶をこの作品に込めました」と語った。さらに、待望の次回作について質問がおよび「今は白紙だが、多くの人を楽しませるエンターテインメント映画をもう1本つくりたいです。その能力が自分にあるのか、確かめたい」と回答した。
その後、野外にて行われた舞台挨拶に登壇した3人。現地でも注目が高まっている『君の名は。』の舞台挨拶ということで、会場には20代の男女を中心に、熱狂的な新海誠ファンやアニメーション映画ファンなど600人以上の観客が駆けつけた。大歓声と歓迎の拍手で迎えられた3人。新海監督は「『君の名は。』は、入れ替わりから始まるコメディの話ではありますが、観終わった時にはきっと予想もしなかった場所に観客を連れて行ってくれる作品が出来たと思います」と観客を沸かせ、神木と上白石は流暢な韓国語で「釜山映画祭、最高!!!」と喜びを爆発させていた。なお、その夜行われた公式舞台挨拶は、300席の当日券を求めて前日の夜から徹夜組が出るほどの大人気ぶり。当日もわずか4分で全席完売するなど、現地での期待値の高さが伺えた。当日は10~20代を中心に幅広い層のファンが約900人詰めかけたという。
『君の名は。』の韓国公開は2017年1月を予定。邦画アニメーションの中では最大級の公開規模となる300スクリーン以上での公開が決定している。既に89の国と地域での世界配給が決定している本作は、台湾では10月21日、香港では11月17日、イギリスでは11月24日にそれぞれ公開が決定している。
釜山国際映画祭を終えたコメント
新海監督「韓国という国には、とても親近感を感じます。歩いていても安心ですし、食べ物もとても美味しいです。また、韓国では、映画に対する期待がすごく大きいということを実感しました。釜山国際映画祭が映画をとても大事にしていて、さらにそれを強くサポートする場なのだと感じられました。その点、『君の名は。』をとても深く理解してくれているのではないかと思いますが、その反面、それでも文化は違うので、分かってもらえないのではないかという不安もあります。ただ、ヨーロッパやアメリカに比べると、アジアの方が日本と文化面で共有する部分が多いので、大きく受け入れてもらえることを期待しています」
神木「韓国の方は、楽しいと声に出して素直に喜んでくれるのが嬉しいです。思っていることを表現してくれるから、本当に楽しみにしてくれているんだということが分かりました」
上白石「韓国の人は熱い!日本にはないノリを感じます!海外に来ているということをとても実感できます」
現地配給担当 カン・サンウック プロデューサー「日本での大ヒットを受けて、韓国では大きな変化がありました。日本でのメガヒットのニュースを聞いて、『もしかすると、過去ジブリアニメが韓国で大ヒットしたような現象が今回起きるかもしれない』と思うようになりました。メガヒットのニュースを聞いた韓国の映画ファンたちの、とても期待しているという書き込みが、ネット上でかなり増えました。それから最も良いことは、映画館の方からより高い期待をいただけていて、直接、公開に関する問い合わせの連絡が殺到しています」
映画『君の名は。』は全国東宝系にて大ヒット公開中
【CREDIT】
原作・監督・脚本:新海誠
作画監督:安藤雅司 キャラクターデザイン:田中将賀
音楽:RADWIMPS
声の出演:神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子ほか
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム 配給:東宝
©2016「君の名は。」製作委員会