映画『君の名は。』Q&Aトークショーが27日、都内TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、新海誠監督、音楽を担当したRADWIMPS野田洋次郎が出席した。
『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』の新海誠監督最新作は、千年ぶりとなる彗星の来訪を1か月後に控えた日本を舞台に、夢の中で“入れ替わる”少年と少女の恋と奇跡の物語。世界の違う2人の隔たりと繋がりから生まれる「距離」のドラマを圧倒的な映像美とスケールで描く。三葉が夢の中で出会う青年・立花瀧を神木隆之介、自らの運命に翻弄されていくヒロイン・宮水三葉を上白石萌音が演じるほか、瀧のアルバイト先の先輩・奥寺ミキ役で長澤まさみが出演する。音楽をRADWIMPSが務める。
新海は「音楽だけでなく、キャラクターの言葉やモノローグの部分は『洋次郎さんに任せてしまえばいいんだ』と思っていました」と野田への信頼を語り、「キャラクターに言わせたい気持ちってたくさん出てくるんですが、その気持ちを普通の言葉で言うと伝わりにくい。何か詩のような言葉にする必要があると思っていました。洋次郎さんの詩を楽しみにしていましたし、もっと言うと(映画の)タイトルになる言葉も洋次郎さんの歌詞の中にあるんじゃないかと思っていた」と述懐した。
野田は「映画の音楽を作るという意識だったので、言葉の伴わない音楽をメインに考えていました。言葉が映画を邪魔してしまうんじゃないかという意識が常にどこかにありながら、監督の強い意志を感じていました。特に『前前前世』とかは『攻め切ってやろう!』という思いに、監督にしていただけたので、すごく励みになりました」と制作時を振り返った。だが、「気持ちとしてはインストゥルメントな音楽をやってるときのほうが楽しかったです」と心境を吐露し、新海を「本当ですか!」と笑わせる一幕も。
Q&Aでは、観客から終盤の展開について「最初からあの展開は決まっていたのですか?」という質問が。新海は「決めていました。映画の中で、一度大きな奇跡が起きる話にしたかった。現実がハードすぎるので、何か願いのようなものでもいいから奇跡を起こしたいという気持ちがありました。洋次郎さんにエンディング曲の『なんでもないや』の歌詞をいただいた時、『もう少しだけでいい あと少しだけでいい もう少しだけ くっついていようよ』という部分。奇跡を起こして、本当に終わりにしていいんだという確信を持てたんです」と、野田が紡いだ歌詞がストーリーの重要なシーンに反映されていることを明かした。
10月25日より開催中の第29回東京国際映画祭Japan Now部門に正式出品された本作。8月26日の公開初日から10月23日までの59日間で観客動員数1260万8,655人、興行収入164億10,815,600円を突破。日本映画史に残る記録的な大ヒットを更新し続けている。さらに、第18回プチョン(富川)国際アニメーション映画祭 長編コンペティション部門で優秀賞&観客賞をW受賞するなど、海外からも絶大な評価を得ている。
映画『君の名は。』は全国東宝系にて大ヒット公開中
【CREDIT】
原作・監督・脚本:新海誠
作画監督:安藤雅司 キャラクターデザイン:田中将賀
音楽:RADWIMPS
声の出演:神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子ほか
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム 配給:東宝
©2016「君の名は。」製作委員会