『北の零年』『北のカナリアたち』に続く“北の三部作”最終章、『おくりびと』の滝田洋二郎が監督を務める吉永小百合120本目の出演作となる『北の桜守』が2018年3月に公開される。この度、本作の撮影現場から写真とコメントが到着した。
吉永小百合120本目の出演作となる本作。ソ連の侵攻により樺太の土地を追われ、北海道の網走で、凍えるような寒さと食べるものがない程の貧しい生活の中で、息子・修二郎を命がけで守り抜き、修二郎を育てた後も、1人で夫を待ち続けながら網走でひっそりと暮らしていく“江蓮てつ”と家族の物語。
江蓮てつを吉永小百合が、大人になった修二郎を堺雅人が演じる。共演に、堺扮する修二郎の妻・江蓮真理役に篠原涼子、闇米屋として貧困に喘ぐ江蓮親子に仕事を与える菅原信治役に佐藤浩市、吉永演じる江蓮てつの夫・徳次郎役に阿部寛、ほか高島礼子、中村雅俊、笑福亭鶴瓶、岸部一徳ら日本映画界を代表する豪華キャスト陣が出演。監督を『おくりびと』の滝田洋二郎が務める。
2月16日に北海道・網走でクランクインし、現在、春パートを東映東京撮影所や関東近郊にて撮影を進めている本作。写真には、吉永&堺&篠原、滝田監督の4ショットをはじめ、吉永が家族になじみ深い太鼓型のおにぎりを握るシーンなどが捉えられている。このシーンのため吉永は、約1か月前におにぎりの握り方を料理学校の先生に教わり、握る姿を動画に撮った映像などを見ながら、自宅で練習を重ねたという。その結果、プロも顔負けの腕前を披露。なお、吉永と堺・篠原が一同に会すのは今回が初。春パートの撮影が開始して2週間、キャスト・監督の現在の想いがコメントとともに到着した。
吉永小百合×堺雅人×篠原涼子、5月14日 撮影現場でのコメント
──吉永さんは、120本目ということをどのように考えていますか?
吉永:よくここまで無事で、映画の仕事を続けてこられたなという思いがありますね。これからはどうなるかわからない。とにかくこの120本目の映画を大事に。なんとか完走したい。7月までかかるんですけど。これからも大変なシーンはいっぱいあります。稚内でマイナス11度の海に入ったり、、、
堺:マイナス11度じゃなくて、11度ですよ!
吉永:間違えちゃった(笑)!
堺:マイナス11度は死んでしまいますね(笑)。
吉永:マイナス11度は2月に行った網走ですね。そういう大変なシーンもたくさんあるので、しっかり母を務めて、良い作品にしたいという気持ちでいっぱいです。
──道内ロケの楽しみは?
吉永:食べ物がとてもおいしいんでよね。堺さんがとにかくウニがお好きだと言うので、今回、ウニを食べることが楽しみですよね。
堺:はい。倒れるまで食べたいと思います。
吉永:私は以前に『北のカナリアたち』で、一生分のうにを食べたんですね。一生分って“一升”じゃなくて、わたしの一生ということですよ(笑)それくらい、ウニを食べることができたので。篠原さんも来てくれますし、3人で食べたいですね。
篠原:そうですね。
吉永:北海道はジャガイモが今年は、台風の影響で少なくなっているっていいますけど、じゃがいももおいしいですし、また北海道の景色も大好きなので、早く春夏の北海道を感じたいです。
──一緒にお芝居をして、吉永小百合さんだな、と思ったエピソードはありますか?
堺:僕は初めてご一緒させていただくので、どんな方だろう?と非常に楽しみにしていたのですが、今日も一緒に芝居しながら見とれるというと、ちょっとおかしいんですが、見入ってしまいました。セリフのない間がどれだけあってもお芝居が成立するので、ずっと見ていられます。まるで引き込まれるようです。本当にこの後も楽しみです。
篠原:女優さんとしても、人間としても手の届かないような方と今こうやってこの場所にご一緒できるということが、絶対に巡り合えないと思っていたのに、こういう形でお仕事させていただくというのは本当に感謝していますし、幸せだなと思っています。こんな場所でいうのも変なんですが、とてもお綺麗で・・・、そして、毛穴がないんです!どうしたらそんなにきれいなお肌でいられるんだろうと思います。また、元気でエネルギッシュで、アクティブですし。一緒にお話をしているだけで、こちらもエネルギーをいただけるようなすごくエネルギッシュな方。絶対なれないですけど、生まれ変わったらこういう方になりたいです。一日でいいからなってみたい。ってくらい毎日毎日すてきな姿を見ています。
吉永:逆!逆です!涼子さんみたいにパンツスーツでぱっぱって歩くようなそんな役もやってみたい。本当にかっこいい方で。今回、堺さんもそうですけど、ご一緒させていただけるのを、わくわく楽しみにしておりました。
──今日はちょうど高度成長期あたりの撮影で、この作品を大きく言えば、日本の戦後は何だったのかというところまで届くような映画かと思うのですが、それを今現在の日本の人に見てもらう意味があれば教えてください。
吉永:今何をしたいかわからないような若者がたくさんいると思うんですけど、戦後の大変な時期に必死で生きてきた人たちを忘れてはいけない。そういう中から立ち上がって生きてきた人がたくさんいる。これからの若者たちにも、もっといろんなことをたくましく乗り越えて生きていってほしいです。そういう願いも込めて、今回、息子の修二郎が別人格のように、子供のころから成長する。成長したあとに世間の中でしっかりと生きていく姿も描かれています。
いろんな要素がある映画なんですけど、日本の何十年かのうつろいの中で、生きてきた人たちのことをこの映画を通じて思っていただけたらという気がします。
堺:自分の居場所がないなと感じている人間が、なんとか自分の居場所を求めて、僕はこの作品では主に母なんですが、母にくらいついていければと思います。目の前の人を幸せにするってことが、ひいては大きな問題につながると思うので、手の届く範囲の人間関係をしっかり見つめる。しっかり結ぶのが大事なのかなと個人的には思っています。
篠原:この作品を見ていただいた方々に、活力が生まれるような作品になっているのではないかなと思います。ぜひ若い方から様々な方々に見ていただきたいなと思います。
吉永小百合 コメント(5月14日)
──今日は母の日ですが?
先ほど、涼子さんと堺さんから母の日の花をいただいたんですけど、子供がいなくても、究極の母という役を演じていられる。自分は母親ではないのに、本当にこういう仕事をしていてよかったという思いがします。
──母親にしたい著名人ランキングで吉永さんが一位。どのように感じられますか。
母と暮らせば、もそうでしたが、いろいろな映画でとても素敵な母を演じさせてくださったスタッフ、山田監督をはじめ、みなさんのおかげだと思います。私は自分が母親になる自身がなくて、母親になることを止めた人間なので、虚構の世界でそういう風に選んでいただけるというのは本当にありがたいことです。
──今日のシーンはおにぎりを握るシーンで、指導の先生もみるみる上達していったと仰っていましたがやけどなどはありませんでしたか?
やけどはしていないんですけど、150個くらいは握りましたね。スタッフに毎晩食べさせて、スタッフがおにぎり中毒で嫌になるんじゃないかなって心配しています。子供のころお汁粉屋になりたいと思ったことがあるんですね。でも今は、これだけおにぎりを作ったし、作ったものをみんながおいしいって言ってくれるので、おにぎり屋もいいかなーって。引退後はそんな気がしています。楽しいです。今のおにぎりって、コンビニで売っているものとかは、手を触れてはいけないんですよね。衛生上ね。私は直にやってますから。直に握るとお塩の周り方が良くなるとか、本に書いてあったんですよね。これからも食べてくれる人がいれば握っていきたいなと思います。
──11度の海の中に入るといっていましたが、継続してやられているトレーニングについておしえてください。
今度の映画でも、すごく危険な場所を上っていくシーンがあるんです。そういうことも含めて、やっぱりもっと足腰を鍛えないといけないなって。去年は骨折もしましたし。筋トレというか、ウエイトトレーニングをやりはじめたんです。結構はまっていて。バーベルをもって、スクワットとかそういうのをやっているんですが。
──バーベルは何キロですか?
今はまだ25キロなんですが、三宅宏美さんの何十分の一ですが(笑)。楽しいです。
映画『北の桜守』は2018年3月より全国公開
【CREDIT】
出演:吉永小百合 堺雅人 篠原涼子 岸部一徳 高島礼子 永島敏行 笑福亭鶴瓶 中村雅俊 阿部寛 佐藤浩市
監督:滝田洋二郎