『おじいちゃんはデブゴン』サモ・ハン、20年ぶり監督作に自信!「ブランクはまったく感じなかった」

ジャッキー・チェンに並ぶ香港映画界のレジェンド、サモ・ハンが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ/天地風雲』以来20年ぶりにメガホンを取り、自ら主演、アクション監督を務めた新作『おじいちゃんはデブゴン』が5月27日(土)より公開。この度、サモ・ハンが来日した際に行われたインタビューが到着した。

おじいちゃんはデブゴン

1961年の映画デビューから56年、香港映画界で俳優、武術指導、監督、プロデューサーとして様々な重要作品やヒット作に関わってきた香港映画界のレジェンド、サモ・ハン。日本では“デブゴン”の愛称で知られ、盟友ジャッキー・チェンと並び今も根強い人気を誇る彼の最新傑作を連続上映する<サモ・ハンis BACK!>の第1弾にあたる本作は、サモ・ハン扮する認知症気味の退役軍人が、中国マフィアとロシアン・マフィアの抗争に巻き込まれた隣人の父娘を救うため、封印していた無敵の必殺拳を振るうさまを描くアクション巨編。

おじいちゃんはデブゴン

サモ・ハン インタビュー


製作会社の社長から脚本を読んでほしいと言われ、読んだところもの凄く面白かったので監督の依頼を快諾したんだ。それで、高度な演技力が要求されるこの主役を誰にしようかと考えたときに「自分でやるしかない!」と思ったんだ(笑)。脚本も私にあわせて書き直したんだ。最初の脚本でアクションはまったくなかったんだが、後半にアクションを入れた。とてもいい映画になったと思っているよ。

──『おじいちゃんはデブゴン』は香港では興収970万香港(約1億4千万円)ドルをあげて年間興行成績第7位に入り、中国では興収4900万ドル(約55億円)をあげる大ヒットを記録した。監督作としては20年ぶりだが、ブランクは感じず、プレッシャーもまったくなかったという。

おじいちゃんはデブゴン

サモ・ハン:確かに監督は20年ぶりだけれど、アクション監督や武術指導者としてはずっと現場で仕事をしていたからね。俳優としても多くの作品に出演していたからブランクはまったく感じなかったよ。ただ、アクション・シーンだけを見るだけでいいアクション監督と違い、監督はやることや決めなければならないことが山ほどあって忙しいんだ。でも、楽しいし、やりがいがある。私は演出家としては演技やアクションに関してかなり細かく指示する方なんだ。

──この映画で最も注力したポイントはどこだったのだろうか?また最も大変だったことは?

サモ・ハン:すべてだよ。とにかく演技もアクションもかなりこだわった。でも、それは大変なことではないんだ。老人役にしても私自身がもう十分老人だからそのまま演じればよかったし、物忘れが激しいのも一緒だよ(笑)。老人が主人公のアクション映画なんてあまりないので、監督としても俳優としても、貴重な機会だし、やれてよかったよ。

おじいちゃんはデブゴン

──撮影期間はどれくらいかかったのだろうか?

サモ・ハン:全部で3ヶ月。そのうちアクションには2週間かかったよ。

──アクションで最も力を入れた部分は、何と敵の骨をボキっと折るシーンだという。だから劇中、骨が折れるシーンにはCGによるレントゲン映像まで挿入され、もの凄い迫力だ。

サモ・ハン:主人公は人民解放軍で要人警護を長年担当してきた人物という設定なので、ボディガードとしての戦い方を一番に考えた。プロのボディガードはただ敵を倒すだけでなく、敵が二度と立ち向かってこれないようにしなければならない。だから相手の骨を折り、砕くことが重要なんだ。主人公は過去のいろいろな記憶を忘れてしまうけれど、この戦い方だけはしっかり体に染み付いていて、無意識に敵を倒していくんだ。

おじいちゃんはデブゴン

──『コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝』は、1914年内戦時代の中国が舞台。各地で略奪や虐殺を続ける軍閥の大軍勢に包囲されたある村で、理不尽な悪に徹底抗戦を繰り広げる英雄たちの攻防戦を描いたアクション超大作。黒澤明監督の『七人の侍』や『用心棒』、セルジオ・レオーネ監督のマカロニ・ウェスタンを彷彿とさせながら、香港映画界全盛期のバイタリティとエネルギーが全編にみなぎる傑作大活劇に仕上がった。

サモ・ハン:アクション監督としてやりがいのある大作といえるね。製作費が多いのがいい(笑)。まずは監督と話し合って、監督が決めたキャラクター設定をつかむことから始めたんだ。アクションに関してはすべてを任せてもらった。それぞれの登場人物のキャラクターに合っていて、同時に見たこともないようなアクションを目指したんだ。

──全編に香港映画伝統の武侠映画やカンフー映画を思い起こさせる見せ場が満載で、クライマックスの紹興酒の甕の山でのエディ・ポンとウー・ジンの槍での対決は、格闘技映画史に残る名場面となっている。その迫力には誰もが驚くはずだ。

サモ・ハン:ベニー・チャン監督はアクション映画の大ファンなんだ。だから昔の香港アクションのリスペクトもいろいろ入っているよ。撮影場所は紹興だった。あの甕は現場近くにあった本物の甕だよ。私はいつもそこにあるものを最大限に有効利用してアクションを作っていくんだ。あのシーンの撮影には丸8日間かかったよ。

──この映画は昔ながらの武侠系アクション、カンフー・アクション、そして伝統のワイヤー・ワークに、CGやドローンによる空撮など最新技術もふんだんに取り入れた最新進化形のアクションになっている。

サモ・ハン:CGに関しては、私は技術的には何もわからない。ただ、アクションに関していえば、昔も今も全然変わらないよ。今も昔と同じく大変だし、時間がかかる。ワイヤー・ワークなんか昔とまったく同じ方法で、すべて人力でやっている。格闘シーンも俳優本人が本当にやらなければ迫力が出ないので撮影までの苦労は昔と変わらない。撮影が長引けば長引くほど、費用は昔よりかかるので、逆に今の方が大変かもしれない。いいアクションを作るにはとにかく時間がかかるんだ。

映画『おじいちゃんはデブゴン』は5月27日(土)より新宿武蔵野館、シネマート心斎橋ほか全国順次公開

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