映画『ユリゴコロ』キックオフ会見が9日、都内・東京国際フォーラムにて行われ、主演の吉高由里子をはじめ、松山ケンイチ、松坂桃李、佐津川愛美、清野菜名、木村多江、監督の熊澤尚人が出席した。
沼田まほかるのベストセラー原作を映画化した本作は、殺人者の告白文が綴られた一冊のノート、その登場人物である美紗子(吉高由里子)を中心に過去と現在が交錯しながら、登場人物たちが愛と宿命の渦に翻弄されていくさまを描くミステリー・サスペンス。主演に吉高由里子を迎え、『君に届け』『近キョリ恋愛』などを手がけた熊澤尚人が監督を務める。
ノートの中で美紗子(吉高由里子)と運命的な出会いを果たす男・洋介を松山ケンイチが演じ、物語が動き出すきっかけとなる一冊のノートを見つけ、その秘密に迫っていく上で自らの運命を狂わせてしまう男・亮介に松坂桃李が扮する。ほか共演に清野菜名、木村多江、清原果耶、佐津川愛美らが名を連ねる。
本作は吉高、松山、佐津川らが出演している<過去編>と、松坂や清野、木村らが出演する<現在編>に分かれて撮影を敢行。昨年の9月〜10月頃に撮影を終えた過去編だが、現在編は7月8日(日)に撮影を終えたばかり。中でも、松坂は「昨日終わりました!」と充実感をのぞかせていた。
それぞれに脚本を読んでの感想や、役を演じてみての心境を聞かれたキャスト陣。吉高は「脚本を読むのに普段は時間がかかるんですが、今回はあっという間に読み終えていたことを今思い出しました」と明かし、自身初の殺人者という役どころを演じてみて「今までやったことがない役だったので、すごく興味が湧きました」とにっこり。続けて、松坂ら現代編キャストと揃う初の機会に「こうして並んでいますが、全然親近感がわかないです(笑)別の現場の方たちなのかな?と思うくらい交わることがなかったので、早く(繋がった)映像になったものを観たいです」と話した。
松山は「ミステリーなんですが、なかなか観たことのないジャンル。あまり自分はやったことのないテイストなんですが、脚本に書かれている“匂い”というのは、なんとなく90年代の映画な感じがして、すごく好感が持てました」と語る。オファーを受けて「由里子ちゃんだし、熊澤監督だし、何か新しい発見・感覚が得られるんじゃないかなと思ったのがすごく印象に残ってます」と明かした。
続けて、過去編に出演してみて「(現代編とは違って)最初に撮ってるので、やっぱり楽ですよね!現代編の方々は“答え”を与えられている分、難しかったんじゃないかなと思います。こっち(過去編)は好き勝手やっていたので」と振り返った。
そんな過去編に出演している松坂は「(先に撮影した過去編の映像は)観ませんでした。一冊のノートが鍵になるんですが、その内容が過去編ではすごく関わっているので、なるべく(過去編の)映像は観ずに、想像していきたいなと思っていました」とコメント。「台本を読むと、結構ト書きでシーンを想像させるようなことが書いてあって、ワクワクしながら作品に臨みました」と笑顔をのぞかせた。本作については「松山さんもおっしゃっていましたが、ミステリーなんだけれども、すごく愛のある話だなと思いました」と明かした。
本格的な共演は今作が初という吉高と松山。「もっとお芝居がみたいなって思う役者さんでした」と語る吉高に対し、松山は「ありがとうございます」とにっこり。10年以上前にプライベートで吉高と初対面を果たした松山は「すごくクセの強そうな女の子だなと思って、もちろんポジティブな意味で。テレビとかで観てても『クセの強い演技だな〜』と思っていて、僕そういう人が本当に大好きなんです。これまでも何度か共演はあるんですが、僕がただ刺し殺す役だとか、出番が違うシーンばかりで...今回ちゃんと一緒にできて嬉しかったです」と笑顔をのぞかせ、「思っていたより過酷なシーンばかりだったけど、由里子ちゃんだったから一緒に乗り越えられた部分はたくさんありましたね」と回顧していた。
また、佐津川との共演に、吉高は「目の表情がすごくて、自分の台詞を忘れてしまうくらい食い入って観てしまうシーンがいくつもあって。お芝居をしていて、楽しいとか好きだなとか、あまり思ったことはないんですが、彼女と一緒にやっていて楽しかったです!すごいパワーをもらいました」と刺激を受けた様子。
佐津川は「拒食症の役だったので、撮影前に減量はしたんですが、撮影中も血の気のない状態にしたくて、食べるものに気をつけていた時期があって。お肉が入ったお弁当とか食べないようにしていたんですが、ハードな撮影を地方でやっていたこともあって...食事を買いに行く暇がなかった時に、吉高ちゃんがサラッとサラダとゆで卵を持ってきて『一緒に食べよ〜!』って言ってくれたことがあって。優しくて『もう好き!!』ってなりました!素敵な主役です!」と仲睦まじいエピソードを明かした。
熊澤監督は「映像化を何チームもアプローチしていた原作。映像化が困難な原作の一つとも言われていたんですが、難しさもある中どうしても映画にしたかった。今回、こういう形で撮影できて嬉しく思います」と語り、過去編・現代編のキャスト陣を「それぞれのパートに難しさがあって、それを俳優の皆さんがすごくいい形でお芝居をしてくれた。(映像化が)不可能だと思っていたものが可能になった。それは撮影中にも感じていたもので、過去編・現代編、両方撮り終えてみて...本当に難しかった原作がやっと形になったなと感じている次第です」と心境をあらわにした。
また、過去編・現代編と2つのパートを別々に撮影した意図に対し、熊澤監督は「連続で撮る話も当初はあったんですが、内容も濃く、スタッフ・キャストの体力や知力をすべて奪うような過酷な撮影が続いていたので、過去編・現代編に分かれて撮ったことは良かったと思います。過去編で頑張り切った俳優陣のパワーに、現代編に出演してくれた俳優陣が『負けないぞ』という気持ちで頑張ってくれた。本当に良い掛け算になったと思います」と言及した。
映画『ユリゴコロ』は9月23日(土)より全国公開
【CREDIT】
原作:沼田まほかる『ユリゴコロ』(双葉文庫)
脚本・監督:熊澤尚人
出演:吉高由里子、松坂桃李/松山ケンイチ、佐津川愛美、清野菜名、清原果耶/木村多江
企画・製作幹事:日活 制作プロダクション:ジャンゴフィルム
製作:「ユリゴコロ」製作委員会 配給:東映/日活
公式サイト:http://yurigokoro-movie.jp/
©沼田まほかる/双葉社 ©2017「ユリゴコロ」製作委員会