阪本順治『エルネスト』誕生の原点は“高倉健”の言葉「国籍や人種の話からヒントに」

映画『エルネスト』公開記念舞台挨拶が7日、都内・TOHOシネマズ新宿にて行われ、主演のオダギリジョーをはじめ、永山絢斗、監督の阪本順治が登壇した。

エルネスト

オダギリは「初日から足を運んでいただきありがとうございます。実は、ある先輩俳優から『エルネスト』に関してお褒めの言葉をいただきました。こういう作品にいつも挑戦する姿勢が嬉しいし、こういう作品が作られるよう、お前が引っ張っていけ。と言われました。僕としてもこういう意義のある作品に参加することが出来て、役者冥利に尽きる」と感謝の言葉を口にした。

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また、本作を観終わった観客に対し、阪本監督は「いろんな感想があるかと思いますが、何か気に入った場面があれば、胸に抱いてお帰りください」と感慨深げに語った。

本作を撮るきっかけに高倉健の名を挙げて、「2013年に高倉健さんから、脚本を書かないかと言われた。その時、国籍や人種のお話を高倉さんがされていたのをヒントに脚本を書こうと思い、日系移民を調べていたら、フレディ前村の存在を知りました。その企画は無くなったのですが、高倉さんの言葉が無かったら僕はフレディ前村について知ることも無かったし、この映画も撮っていなかったと思います」と語り、高倉健に感謝の意を述べた。

続けて「僕も高倉さんに感謝していることがあって、実は高倉さんと誕生日が一緒なんです」と発言し、笑いを誘っていた。

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キューバでの撮影について聞かれたオダギリは「キューバの人の優しさ、無邪気さがまだずっと残っています。資本主義の中で生活していると、お金中心で物事が回っている気がしますが、それとは全く違う価値観で社会が動いているのを感じて、色んなことを考えさせられました。キューバ人俳優は映画に対する姿勢も素晴らしく、日本映画に参加するという考えではなく、自分達の映画として参加してくれた。スタッフ・キャストの方には感謝しかありません」と感謝の気持ちを伝えた。

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本作で初めて阪本監督の作品に参加した永山は「阪本監督と一緒に仕事をしたいと思っていたので、ずっと緊張していましたけど、現場にいるのが楽しかったです。やはり阪本監督はカッコいい方だなと思いました」と語り、阪本は「僕にとっても若い俳優さんと仕事するのは新鮮でした」と述懐し、キャスティングに関し「あとは瑛太君より、昭和顔でしょ(笑)?中々50年代の役ができる若い俳優はいない。この間聞いたのですが、彼はスマホからガラケーに戻したらしいんですよ」と話すと、会場からは驚きの声が上がった。

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また、25歳という若さで亡くなったフレディ前村にちなみ、オダギリ、永山、阪本監督の25歳の頃の写真が紹介され、オダギリは『アカルイミライ』のころの写真を手に「初めての主演映画だったので緊張しまくりでしたし、毎日全力を出してやっていた。黒澤清監督に、〈オダギリさん、あんまり芝居しないでくれ〉と言われたこともあった」とコメント。今後の目標について聞かれると、「昨日ネットニュースでトピックに上がっていましたが、仕事せずに遊んで暮らすのが目標です。みなさんもそうでしょう?(笑)」と笑いながら語っていた。

最後に、本作の見どころについて「今の日本映画では珍しい作品だと思います。かなりリスクもあり、挑戦的な作品ですし。でも、10年後にまたこのような作品が作られるには、この時代の映画、本作の答えに掛かっていると思いますので日本映画界にとって意味のある作品だと思います」と熱く語ったオダギリ。阪本監督も「僕としても、こんな清らかな映画を撮るのは初めてです。政治家が笑えない喜劇を演じるこの時代で、こういうまっすぐな映画があってもいい」と語り、舞台挨拶は終了した。

映画『エルネスト』は全国公開中

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