『あゝ、荒野』菅田将暉が“VS山田裕貴”を回想「毎日、世界戦を戦っていた感じ」

映画『あゝ、荒野』後篇の初日舞台挨拶が21日、都内・新宿ピカデリーにて行われ、主演の菅田将暉、監督の岸善幸、サプライズで本作の主題歌を担当しているBRAHMANのTOSHI-LOWが登壇した。

あゝ、荒野

上映後の余韻が冷めやらぬ中、菅田は「皆さん、朝早くからありがとう御座います。今週はずっと雨でしたね。個人的にはある種『あゝ、荒野』っぽいなと」と話し、岸監督も一年前の撮影の頃を思い出しつつ「あれから一年経って、ようやく後編を観ていただけることになりました。今日は朝早くからありがとう御座います」と挨拶した。

あゝ、荒野

まずは先日の釜山国際映画祭でのエピソードを聞くと、菅田は「やっぱり海外の人って素直なので、僕のことを知らない人たちが観てくれる環境ってのは何か、良いな~って思いましたね。伝わるものはちゃんと伝わるなと」と釜山で感じた事をしみじみ振り返りつつ、岸監督も「ヤン・イクチュンさんの母国で上映出来てとても光栄でした。これからの励みになりました。アニョハセヨ!」と述べた。

あゝ、荒野

また、本作の撮影地が新宿ということもあり、様々な撮影秘話を聞きつつ、特に特徴的だった風景として菅田は「象徴的に出てくる西新宿のシーンは、妙な気分になりました。『あの店は何十年も変わってないんだろうな~』と。でも、その背後には太陽を消すような高いビルが建っていたり、ヘリが飛んでいたり。そこを走っているということが『あゝ、荒野』だなって感じたんですよ」と、作品を思い出しながら語り、岸監督も「新宿にある近代的なものも、猥雑なものも、古くから残っているものも取り込もうと思っていたんです。新宿の夜景とかビル群は、今観ている新宿ピカデリーの屋上から撮りました」と撮影した場所で上映が出来る事を喜んでいた。

あゝ、荒野

そして、見どころでもあるボクシングシーンの撮影期間は全5日間で、後半の山田裕貴演じる裕二戦とヤン・イクチュン演じるバリカン戦はうち2日間と話し、その時の菅田の様子を見ていた山田は「人を越えたね」と言ったそう。通常の試合とは異なり、撮影は何テイクも撮り直すので「毎日、世界戦を戦っていたみたいな感じで、見ていたプロの方が『プロよりも過酷だ』と」と話していた。

あゝ、荒野

また、菅田の食事に関しても「撮影日までは節制して炭水化物を抜いたりとかしていたけど、試合の日からは食ってもよかったんです。体のメカニズムで、そこからいくら食っても太らないし、全部栄養になるんです」と話し、続けて「でも、その後『地味にスゴい』というドラマの撮影があり、その時もう、高熱でした。校閲ガールではなく、高熱ボーイでした」と会場を沸かせた。

あゝ、荒野

続いて、菅田から岸監督の格好いいエピソードがあるようで「自分も体験しないとわからないから、岸監督もボクシングをはじめると言っていたんですけど、気付いたらやってないんですよ。でも、あとからトレーナーの松浦さんに『このまま続けて行くとボクシングの辛さがわかってしまうから、カットを早くかけてしまう。だから、それは作品をしては避けたい』という話を聞いて、この人はやっぱりカッコイイ監督だなと思った」と、岸監督に対する尊敬の念を抱きながら語った。

 


原作は、1960年代後半に演劇、映画、文学とマルチに活躍し、今もなおカルチャーアイコンとして注目され続けている寺山修司が唯一遺した長編小説。近未来2021年の新宿を舞台に、兄のように慕っていた仲間を半身不随にした男への復讐を誓う新次と、同じ新宿で吃音・赤面対人恐怖症に悩む”バリカン”こと健二が、ボクシングを通じて出会い、生きること、誰かとの繋がりを模索していくさまを描く青春物語。菅田将暉が新次を、ヤン・イクチュンがバリカンを演じるほか、木下あかり、今野杏南、山田裕貴、でんでん、木村多江、ユースケ・サンタマリアらが共演。監督を『二重生活』の岸善幸が務める。上映時間はこちら

映画『あゝ、荒野後篇は大ヒット公開中

(C) 2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ

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