ソフィア・コッポラ『ロスト・イン・トランスレーション』(2003)と、彼女の元夫スパイク・ジョーンズ『her/世界でひとつの彼女』(2013)の比較検証したビデオ・エッセイを紹介します。東京と近未来のロサンゼルス──都市風景を美しく切り取り、そこで周囲に馴染めない孤独感、中年男と若い女のラブストーリーを描いた2作であり、どちらもアカデミー賞脚本賞を受賞しています。虚ろな心象風景や、まるで呼応するかのような動きなど、こうやって並べて見てみると似たようなシーンがたしかに多い気がします。偶然でしょうか、いや、あるいは……。
片やソフィア・コッポラは、当時の夫スパイク・ジョーンズとともに東京に訪れた時の経験をもとに『ロスト・イン・トランスレーション』を脚本・監督し、自身を投影した役にスカーレット・ヨハンソンをキャスティング。片やスパイク・ジョーンズもまた自分の経験をもとに『her/世界でひとつの彼女』を脚本・監督したと言われ、彼自身であろうホアキン・フェニックス演じるセオドアが恋するAIの声を担当したのが、スカーレット・ヨハンソンです。『ロスト・イン・トランスレーション』=元妻へのアンサーであるかのようにすら見えるスパイク・ジョーンズ『her/世界でひとつの彼女』ですが、やはり何かソフィア・コッポラを意識した部分があったのかと思わざるをえないほどに、この2作は調和していることがわかります。
この2作から切なくも愛おしい「三人、二都市、一つの感情」に着目し、シンメトリカルにつなげた作成者はビデオ・エッセイストのJorge Luengo Ruiz。
source:http://blogs.indiewire.com/theplaylist/watch-fall-in-love-with-the-symmetry-of-spike-jonzes-her-sofia-coppolas-lost-in-translation-in-this-video-mashup-20150401