『デトロイト』キャスリン・ビグロー監督インタビュー、実際に起きた暴動の惨劇を描く

ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャスリン・ビグロー監督最新作『デトロイト』が1月26日(金)より公開される。この度、本作の監督を務めたキャスリン・ピグローのインタビューが到着した。

デトロイト
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本作は、1967年にアメリカ・デトロイトで実際に起こった残虐な“暴動”の中の恐怖に満ちた“戦慄の一夜”の事件を描く。主演に『パシフィック・リム:アップライジング』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のジョン・ボイエガを迎え、共演にレヴェナント 蘇えりし者』のウィル・ポールターが名を連ねる。監督をハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャスリン・ビグローが務める。

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──実話に挑み、実在の人物も何人か登場しますが、ご留意されたのはどんなことでしたか?

今回のように、現実のストーリーを語る場合には、語り手として歴史とそれに関わった人々〜生存者にも亡くなった人たちにも〜、自ら責任を持つ心構えが必要です。

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──実際にアルジェ・モーテルの事件の被害者となった3人(メルヴィン・ディスミュークス、ラリー・リード、ジュリー・アン・ハイセル)はコンサルタントとして制作に参加していますね?

この映画の製作準備の中で最も貴重な体験は、不幸な事件を経験しながらも生き抜いてきた人々との時間を過ごせたことです。彼らのおかげで、事件当夜の状況を細部に至るまで解明することができました。50年経った今も、彼らの多くは事件の話になると動揺を隠せないことは明らかでした。それは当然のことです。

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──今回も徹底してリアルな臨場感を追求されたと伺っています。オーディションから即興的な演技を求められたとのことですが?

キャスティング用のシナリオは脚本を模したもので、状況に応じて臨機応変に対応しなければならない部分を残してありました。俳優たちの機敏な対応や想像力の高さを確認するためです。また、流動的な状況でどれだけ彼らがリラックスして演じているかを評価することができました。この方法で、私はキャストを選定したのです。今回出演が決定した俳優は皆、例外なく深みのある演技力を備え、豊かで複雑な感情を、スクリーンを通して伝えることができる人たちでした。

──凶悪な警官を演じたウィル・ポールターは泣きながら演技を続けたと聞いていますが。

キャストたちが、演じる時に抱く感情には気に掛けていました。特にウィルにとっては、役柄としても精神的につらいものだったはずです。

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──事実とフィクションのバランスを取るに当たって、難しかった点は?

事実にフィクションを加える場合、批判の的になることは避けられません。『ハート・ロッカー』の場合はイラク、『ゼロ・ダーク・サーティ』の場合はオサマ・ビンラディンの捜索が実際に起こった事ではあるものの、私の映画はフィクションであり、ドキュメンタリーではないと分かります。『デトロイト』について言えば、1967年7月について30時間のミニシリーズという形で作ることも可能なはずです。映画にするということは、事実を凝縮し物語を作り上げることが必要になります。しっかりとリサーチをして事実を知り、その中から正確な判断によって物語を作り上げていくことが必要です。この事件の場合、たくさんの記録が残っていました。だから事実を埋めるための大きな工作、でっちあげをする必要はなかったのです。

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──3作品連続で政治的な作品が続きましたが、またアクション映画を撮りたいとお考えですか?

この分野で仕事をする機会をもらった自分は幸運だったと思います。ただアクション映画のジャンルについていえば、もっと内容の濃いアクション映画が出てきてほしいですね。現在の私にとって、映画で社会的な話題性のあるテーマについて取り組むことに切実さを感じます。大切なことだと思います。映画のような媒体をとおして大きな観客に触れることができるのは、少なくともその機会をもらえるのは、映画監督として嬉しい事です。映画が成功するかしないかに関わらず、そのテーマの話題性を広げるという点で有意義なことだし、責任のあることだと思いますから。ジャーナリストにしても同様です。ある種の責任が自分の仕事にかかってくる。事実を確認する必要もあるし、書いていることがどれほど信頼性かがあるのかを確認することも必要。また、そこに自分の角度というものを加える点も大切だと思います。

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──映画『デトロイト』の可能性をどのようにお考えですか?

芸術(映画)の目的が変化を求めて闘うことなら、そして人々がこの国(米国)の人種問題に声を上げる用意があるなら、私たちは映画を作る者として、喜んでそれに応えていきます。この映画が、少しでも人種に関する対話を促すための役に立つこと、そしてこの国で長きにわたって根強く残っている傷を癒すことができることを願ってやみません。

映画デトロイトは1月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開

【CREDIT】
監督:キャスリン・ビグロー 脚本:マーク・ボール
出演:ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールター、ジャック・レイナー、アンソニー・マッキー
提供:バップ、アスミック・エース、ロングライド

配給:ロングライド

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