『64-ロクヨン- 前編/後編』などで知られる瀬々敬久監督の新作『菊とギロチン』が7月に公開されることがわかった。
2010年の『ヘヴンズ ストーリー』に続き、8年ぶりに瀬々敬久が放つオリジナル映画『菊とギロチン』。瀬々監督は30年前に本作を企画し「今こそ撮らねばならない」と製作をスタートさせた。
物語の舞台は、大正末期・関東大震災直後の日本。混沌とした社会情勢の中、急速に不寛容な社会へとむかう時代。登場するのは、かつて実際に日本全国で興行されていた「女相撲」の一座と、実在したアナキスト・グループ「ギロチン社」の青年たち。女だという理由だけで困難な人生を生きざるを得なかった当時の女たちにとって、「強くなりたい」という願いを叶えられる唯一の場所だった女相撲の一座。様々な過去を背負った彼女たちが、少し頼りないが「社会を変えたい、弱い者も生きられる世の中にしたい」という大きな夢だけは持っているギロチン社の若者たちと運命的に出会う。立場は違えど、彼らの願いは「自由な世界に生きること」。次第に心を通わせていく彼らは、同じ夢を見て、それぞれの闘いに挑む。
ヒロインである新人力士・花菊役に、野尻克己監督作『鈴木家の嘘』のヒロイン役にも抜擢された木竜麻生。「ギロチン社」のリーダーで実在した詩人の中濱鐵に東出昌大が扮する。ほか共演に寛一郎、韓英恵、渋川清彦、山中崇、井浦新らが名を連ねる。ナレーションを永瀬正敏が務め、脚本に『バンコクナイツ』などで知られる、映像制作集団「空族」の相澤虎之助が参加する。
瀬々敬久監督 コメント
十代の頃、自主映画や当時登場したばかりの若い監督たちが世界を新しく変えていくのだと思い、映画を志した。僕自身が「ギロチン社」的だった。数十年経ち、そうはならなかった現実を前にもう一度「自主自立」「自由」という、お題目を立てて映画を作りたかった。今作らなければ、そう思った。映画は多くの支援があったからこそ完成できた。何かを変えたいと映画を志した若い頃、自分はこういう映画を作りたかったのだと初めて思えた。あとはいざ、世界の風穴へ。そうなれれば本望だ。
木竜麻生 コメント
花菊の真っ直ぐなところや、強くなりたいという想いを感じて演じるのにとにかく必死でした。監督をはじめ、この作品に関わった人たちの熱いものがそこにあったと思います。
東出昌大 コメント
関東大震災後の混沌とした時代を生きる滅茶苦茶な人々の姿が、衣食住足りた現代に生きる我々の閉塞感をぶち破ります。変な映画です。ですが、この変な映画を心から愛しく思います。
寛一郎 コメント
実在の人物をモチーフにバラバラの実話を組み合わせ、フィクションを作り出しているところに面白さを感じて撮影に挑みました。僕はアナキストの役でしたが、一見非情に見える彼らも意外と繊細で、思想は極端ですが、今の若者と似てる部分があると感じました。何かをぶっ飛ばせるパワーを持った映画、そこに参加できて本当に嬉しいです。
韓英恵 コメント
腹がよじれる程本気で笑って、本気で喧嘩した日もあった。土俵の上では本気で戦い、このヤロゥ、負けるもんか!と本気で思った。私たちは、いつの時代も力強く生きるべきだ。もう戻れない私たちの青春、ぜひご覧ください。
映画『菊とギロチン』は7月よりテアトル新宿ほかにて全国順次公開
©2018「菊とギロチン」合同製作舎