『友罪』完成披露、生田斗真×瑛太が信頼関係のぞかせる「身を委ねていました」

映画『友罪』完成披露試写会が24日、都内・TOHOシネマズ日比谷にて行われ、主演の生田斗真、瑛太をはじめ、佐藤浩市、夏帆、山本美月、富田靖子、監督の瀬々敬久が登壇した。

友罪

「この映画、はっきり言って問題作です。賛否両論巻き起こると思っています。ですが、瀬々監督の指揮の元、全てのキャスト全てのスタッフが尋常じゃない覚悟をもって作り上げた作品ですので、この映画をしっかりと受け止めてほしいなと思います」と、生田が主演として力強く挨拶しスタートした本イベント。

一方の同じく主演の瑛太も、「撮影時、結構雨が降っていたんですが、これは多分、生田斗真が“雨男”なんだなと思って。今日も雨が降ってきましたしね(笑)」と、冗談を飛ばしながらも、「本当に素晴らしい映画ができあがったので、皆さん楽しんでいってください!」と挨拶した。

その衝撃的かつ重厚なテーマに触れた生田は、脚本を読んだ際の想いを「これは絶対にやらなくてはならない題材だなと感じました。とはいえ製作中も、スタッフの皆さんと『この映画を本当に作って良かったんだろうか』と考えながら、撮影に臨んでいました。ですが、やはり同じ時代に生きる者として、エンターテインメントとして僕らが表現することは必要じゃないかとも思い、覚悟をもってこの映画に挑むことにしました」と述懐。「薬丸学さんによる原作小説と同様に、脚本も真に迫るものがあると思うので、自分が持つ最大限の力で表現できればと思いました」と、続けた。

生田演じる元週刊誌ジャーナリストの益田純一と次第に心を通わせていく、元少年A・鈴木秀人役を演じた瑛太も、生田に続いて「衣装合わせの際に、瀬々監督から『僕が俳優だったらこの役は受けない』と言われましたね(笑)。やはり演じる上での覚悟は必要でした。全面的に殺人を犯した人間に対して否定的なことを感じますが、観てくれる方に対して、役を通してどんな光を与えられるのかということを想像しながら演じていました」と、難解な役作りへ想いを巡らせた当時のことを振り返った。

そんな元少年A・鈴木を取り巻く周囲の人間が、それぞれ抱える罪や後悔と向き合っていく姿を描いた人間ドラマである本作。元AV女優として暗い過去を持ちながらも、鈴木に次第に惹かれていく藤沢美代子に体当たりの演技で挑んだ夏帆は「瀬々監督の過去作は拝見していて、瀬々組に参加したいと思っていました。お話しいただいた時は率直に嬉しかったです。ただ、脚本を読んでいくと皆さんと同じく、なかなか覚悟が必要だなと感じました。この役を好きになれるのかなと思って正直すごく悩みましたが、この難しい題材を瀬々監督がどういう風に作っていくんだろうと、私自身現場で観たかったので、覚悟を決めました」と、オファーを受けた時の率直な気持ちを告白。

続く山本美月は、益田の元恋人でありながら自身も雑誌記者である杉本清美を演じ、「監督から『唯一君の演じる役は普通の役だから、普通を演じてくれ』と仰っていただいて、“普通”ってなんだろうとすごく考えさせられました」と現場での様子を語った。

一方、医療少年院でかつての鈴木を担当していた白石弥生に扮した富田靖子は、鈴木を救おうとする一方で、自らの家族を壊してしまう複雑な役どころのなか、「脚本を読んだ時にやらなきゃと思い、そして完成した作品を観た時に、作品に息遣いや血の流れをすごく感じたので、参加できて本当に良かったです」とコメント。

また、4作品目の瀬々監督作品出演となる佐藤浩市は、本作では家族を離散し息子の罪を償い続けるタクシードライバーの山内修司を熱演。完成した作品については「瀬々監督らしいな」と一言で評価しながらも、「昨今、勝った負けたとか、白か黒かとか、二面的な物事の捉え方が多い気がしていますが、やはり物事には色んな側面があり、多面的である。私も考えていたことですので、瀬々監督が常にこうした題材に取り組んでいかれるというのは、非常に気持ちがよく分かります」と長年苦楽をともにする戦友ならではの言葉で称賛を贈った。

各キャストが各々の視点で本作への強い想いを語る中、メガホンを取った瀬々監督は「素晴らしい俳優陣の方々が、本作では今まで見せたこともない表情をしているので注目してほしい」と力説。対する役者陣からも、瀬々監督への強い信頼が見て取れ、「良いシーンが撮れた時は、録音部の方に『静かにしてください』と言われるくらい、現場のモニターの前で号泣するんです(笑)。すごく純粋に役者にぶつかってきていただき、愛情を向けてくれる方なので、瀬々監督と一緒に仕事をした人は皆、瀬々監督を好きになるんです」(生田)と、現場での様子が明かされると、佐藤も「確かに、現場で泣いているよね」と同調した。

トークは続き、話は再び主演の生田と瑛太の話題に。過去に何度か共演経験がある2人は、「もはや多くを語らなくても、どこか太い部分で繋がっているような関係を築けていると思います。心地良い現場でした」(生田)、「もう共演も3度目なので、生田斗真という俳優が現場でどういった覚悟で来るのかわかっていたので、僕は鈴木というキャラクターを一貫して集中して演じていれば、あとは化学反応が自然と起きてくると感じていました。斗真に身を委ねていましたね」(瑛太)と、互いを絶賛していた。


ミステリー界の若手旗手として注目される作家・薬丸岳が2013年に発表した同名小説を映画化した本作は、赦しのない罪に囚われた男2人の、極限の友情を描くヒューマンドラマ。ジャーナリストの夢に破れて町工場で働き始める益田役に生田斗真、周囲との交流を避ける影のある男・鈴木役を瑛太がそれぞれ演じ、お互いを想うが故に、疑心や後悔と向き合い葛藤する難役に挑む。共演に佐藤浩市、夏帆、山本美月らが名を連ねる。

映画友罪』は5月25日(金)より全国公開

©2017映画「友罪」製作委員会 ©薬丸岳/集英社

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