映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』公開直前!プレミアイベントが26日、都内・ユナイテッド・シネマ豊洲にて行われ、岡田准一、木村文乃、堤真一、安藤政信、山本美月、江口カン監督が登壇した。
レディー・ガガとアリアナ・グランデによる主題歌「レイン・オン・ミー」が流れると、ステージに設置された『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』と巨大なタイトルが入った幕前からジェットスモークが高らかに湧き上がり、爆発音とともに振り落とされた幕の中から登壇者陣が登場するという、まさに本作らしいド派手な演出で始まった本イベント。
まずは、どんな相手でも6秒以内に仕留める伝説の殺し屋・ファブル/佐藤アキラを演じた主演の岡田准一が「時給900円、そして伝説の殺し屋の男を演じました。2作目ということで、僕らは1作目を超えなくてはならない、という裏テーマをミッションに掲げて取り組んできました。アクション、笑い、前作をさらにパワーアップした仕上がりになっています。今もコロナで大変な時期ですが、去年、この作品も緊急事態宣言のため撮影が中止になりながら、それを乗り越えてきました。いまの時代にエンターテインメントを届けるということを自分たちに語りかけながら、面白いものを目指そうとチャレンジした作品です。皆様に届くよう願っております」と挨拶。前作に引き続き本作のメガホンを取った江口カン監督は「色々な演出や仕掛けを盛り込んでいるので、前作を超えられているかどうか、是非皆さんの目で劇場で確かめて欲しいです」と力強い言葉を投げかけた。
大ヒットを記録した前作『ザ・ファブル』に続き、本作の大きな見どころの一つはやはりアクション。「日本映画の限界突破」を目標に掲げ、岡田自らがファイトコレオグラファーとして今作でもアクションづくりに参加しながら、主演として自ら挑戦的なアクションを披露。その中でも、カーアクションには“裏テーマ”があったという岡田は、「堤さんと以前共演した別作品でもカーアクションはやらせてもらったことがありますが、その時は道路交通法の規制で出来ないことがあり、CGを使ってトラックの上で戦うという演出がありました。本作では、そのリベンジといったような“裏テーマ”を持ちつつ、原作と同じく立体駐車場で、(道路交通法に触れない)私有地でチャレンジすることができた」と振り返ると、江口監督も「駐車場から車を落としたんですが、この場所を貸してくれた人もすごいなと思います(笑)。新しい撮影手法として、ワイヤーカムというスポーツ中継などで使われる、上空から撮影するカメラも使いました。映画で使うことはなかなかないと思います」と、最新鋭の機材も取り込んだ“限界超えアクション”の撮影裏を明かす。
また、本作のプロモーション映像でその一部が公開されてから、「凄すぎる!!」と話題騒然となっている、団地1棟を丸ごと貸し切って行った”団地パニック”アクションシーンについて岡田は、「振り付けや構成も担当させていただき、監督やアクション監督とも相談しながら進めました。実は、撮影に入る前に、監督やプロデューサーと前作を踏まえてどういうアクションを作りたいのか、共通言語を作ることが出来たので、やりたいことの一歩を踏み出せました」と、当時を振り返る。
主演として演じながら、ファイトコレオグラファーとしても現場を牽引していった岡田は「”熱”は伝染する、ということを意識していました。熱を現場で作らないと、危ないのでやめよう、となってしまうことがありますが、途中で熱意が伝染したと実感したのは、団地アクションの撮影のとき」と語り、「初めはカメラマンさんはその予定ではなかったんですが、僕だけでなくカメラマンさん含め、みんなでワイヤーに吊られながら撮影しました。もちろん安全を考えながらも、お互いに信頼しながら本当に面白いものを目指して行けたという実感があります。構成は、美術さんなどいろんなスタッフのみなさんの準備が必要です。その準備期間からみっちり打ち合わせをしながら作っているので、アクションはみんなの力です」と、チームの力があってこそ完成したと実感を込めて語った。
また今作では、木村文乃演じるファブルの相棒・ヨウコも華麗なアクションシーンを披露したが、このアクション指導を担当したのも岡田。木村は、「宇津帆編でのヨウコのアクションシーンは大事だよ、と色々な方から言われていたので、気合を入れて3ヶ月前から練習しました。岡田さんにご指導いただいたんですが、1つ課題をクリアすると、次は2つ課題をくださるという、厳しい面もありました。ですが、役者さんだからこそ、私がどうしたらいいのか分からなくなって固まってしまった時に、『アクションもお芝居、対話なんだよ』と教えてくださって。そこからアクションが楽しくなりました。貴重な体験でした」と、初の本格的アクションシーンを振り返る。岡田も、「ヨウコのこのシーンは、原作ファンも印象的なシーンだと思います。僕も好きです。大事にしたいシーンだったので、時間をかけて撮影もされていましたし、すごく格好良く撮れていると思います」と太鼓判を押す。
セクシーなアクションを繰り出すヨウコと対峙した、ミステリアスな凄腕の殺し屋・鈴木を演じた安藤政信は、「今まで色々な映画でアクションをやってきましたが、岡田に会ってからは今まで自分がやってきたことをアクションと呼ぶのがおこがましいと思うくらい、本当にすごいと思いました。僕も指導していただいたんですが、初めは『なんで指導されなくてはいけないんだろう?』と思っていました。ですが、岡田の動きや、アクションの哲学みたいなものを目の前で見て、すぐに『弟子にしてください!』と言いました(笑)。岡田の動きは真似できないですけど、自分の体で、芝居としてアクションを伝えたいということが大事だと思いました。岡田は師匠です」と、岡田のアクションを絶賛。さらに、「オープニングのカーアクションがすごい、CGかと思った」と興奮気味に話すと、岡田が「CGです」と冗談を交わす場面も。
本作を語る上で欠かせないのが、殺しを禁じられ一般人として奮闘する、少しズレたファブルのコミカルな日常シーン。そんなファブルのアルバイト先の、佐藤二朗演じる田高田社長率いるデザイン会社「オクトパス」の仲間で、ファブルを優しく見守る・清水ミサキを続投した山本美月は「撮影の時はずっと笑っていました。二朗さんのアドリブがすごくて!二朗さんは真面目に一生懸命アドリブをしていらっしゃるので、私も一生懸命笑いました。完成した作品を観た時は、私はオクトパスの楽しいお笑いの現場しかやっていないのが申し訳ないくらい、あんなにすごいアクションが繰り広げられていたんだと思いました」と語ると、「きつい撮影が多かったので、オクトパスのシーンはスタッフみんなオアシスと呼んでいました」(監督)、「癒しでした。二朗さん、山本さんがいらっしゃって。二朗さんは、僕がやることを全て拾って、誠実にアドリブを入れてくれるんです。なので、色々細かい動きをして、それのアドリブのためにあたふたする二朗さんを見るのを楽しんでいました。アドリブは本番になって出てくるところもあるし、それを楽しんでいくのが現場だと思うんですが、アドリブばっかりやっていると撮影前後の繋がりがわからなくなるので、(前後のシーンの繋がりを管理する)記録さんが来ると、二朗さんが険しい顔をするのが名物になっていました」(岡田)と佐藤二朗のエピソードを明かす。
そして原作ファンの間では”最も泣けるエピソード”として名高い「宇津帆編」を描く本作は、アクションや笑いだけでなく、より濃密で深い人間ドラマの要素も描かれるが、キーパーソンとなる、ファブルが唯一殺せなかった最も危険な因縁の敵・宇津帆を演じた堤真一は、ここまで振り切った圧倒的な悪役を演じたのは自身のキャリアとしても初ということで、「こういう悪党は初めてでした。悪党にも何かしらの理由や思考回路があると思い、どういう人間なのか探ることを意識していました。悪党を演じよう、という気持ちではなかったです。表の顔、裏の顔と分けて考えるのはやめようと思い、表の顔は宇津帆の正義といいますか、そんなに悪いことではない、もしかしたら正しいことをしているのでは、という思いがベースにありました」と宇津帆を演じるにあたっての思いについて語った。
また、これまでも共演歴のある岡田と堤。「会うたびにどんどん体が変わっているんです。今日久しぶりに会ったら、今日もちょっと前とは違って。すっとしていますね。この撮影のときは胸の筋肉がすごかったので」(堤)、「今は撮影がないので絞り期なので」(岡田)と久しぶりの再会を喜んだ。続けて、「堤さんは大事なタイミングでご一緒になることが多くて。安心感、信頼感があると言いますか、共演者として尊敬しています。堤さんがいるということは、これは大事な作品になるな、と思っています」(岡田)。
宇津帆とファブルが対峙するシーンでは、ファブルが4年前のある事件で自分が救えなかった車椅子の少女・ヒナコを演じる平手友梨奈の熱演が話題に。「平手さんの変化する瞬間をどういうふうに出せるかなと思って演じていました。平手さんはとても素晴らしかったと思います」(堤)、「とても大事なシーンで、ヒナコの感情の流れを丁寧に汲み取れるように、3回くらい撮り直したこだわりのシーンです」(岡田)、「堤さんが平手さんの中にあるヒナコを引き出そうとしてくださっているのがすごく伝わってきて。1度はOKを出したんですが、みなさんに頼み込んで、もう一度撮影したんです。そうしたら、こっちが震えるような芝居が平手さんから出てきたので、本当に良かったです」(監督)と、映画クライマックスでの平手の演技を絶賛。
そして、このコロナ禍での公開については、「エンターテインメントの大切さを求められる場面を感じます。緊急事態宣言のために撮影に影響を受けたこともあり、僕たちが戦っている意義や、どういう風に届けられるのかたくさん考えた作品です。届けるからには、映画館にふさわしいものを作ろうという熱意を自分たちは持たなくては行けないなと思って現場に取り組みました。そういう思いを込めてみなさんにお届けしたいなと思っています」(岡田)、「複雑な思いです。僕らはこういう物づくりしかできないですが、本当に危機に直面している方々からしたら、エンターテインメントどころじゃないという気持ちもわかります。ただ、僕らにはこれしかできないということだけなので…。偉そうなことは言えないですが、何かしらの形で救いになったり、元気づけになれば、救われるかなと思っています」(堤)と胸の内を明かす。
最後に、「来月、6月18日に公開になります。前作を遥かに凌ぐ、良い作品になっていると思います。楽しみに待っていただけると嬉しいです」と岡田が公開への意気込みを述べ、高揚感漂う中イベントは締め括られた。
映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』は6月18日(金)より全国公開
(C)2021「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」製作委員会